例えば、演歌ショー公演22回。食育子どもミュージカル『アーダコーダと魔女ナンダ』公演20回(東京公演:夏・冬計6回公演含む)。定期公演『朧の森に棲む鬼』2回。大会作品『壁20XX』地区大会、県大会各1回。それに校内公演『ぼくんち』と『超・正義の人』各1回。締めて48回の公演!ここには学園祭とか新入生オリエンテーションでのダンスなどは入っていない。校内公演を除けばすべて校外に出ての公演だ。均せば週に1度の公演ってことだ。
こんなことが高校演劇部で何故可能か?驚くべきは、まずは高校生の能力だ。一つの公演をぶっ通しでやるわけではない。時にこちらの台詞を覚えつつ別の公演をし、忘れた頃に次の公演が待っている、もちろんその間装置作りも衣装製作も入ってくる。大会の翌日に演歌ショー、その3日後に子どもミュージカル、なんてこともある。大人だったらとてもじゃないが、無理!ってスケジュールも高校生はさらりとこなしていく。見くびっゃいけないぜ!高校生!!ってことだ。
次に顧問だ。これだけの公演を組むには、作品制作はもちろん、公演先との交渉、当日の装置・道具の移動等山積みの仕事をこなしていかなくてはならない。部活動だけやってるわけじゃないから、授業や生徒指導の仕事もある、その通りだ。でも、この言葉で自ら武装解除していないか。学校によって事情が違うことは当然ある。学校の理解も異なる。でも、結局はやる気しだいだ。顧問のやる気を見くびっちゃいけない!
他にもある。地域の協力だ。頑張って良い作品を上演し続ければ、小・中学校、地区コミセン、老人介護施設、みんな心待ちにしていてくれる。地域の人たちは高校生がどんどん飛び込んで来るのは大歓迎なのだ。すぐれた舞台でなくてもよい。高校生が精一杯演じきれば、きっと感動が広がる。演歌ショーはいつだって涙、涙のお別れになる。地域の期待、もっと信じてよいことだと思う。
そう、ここまでやるかどうかは別にしても、高校演劇の力はもっともっと信じて良い。今できていることで満足しちゃいけない。それは生徒も顧問も地域も見くびることなのだから。