ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

死して残りし

2011-11-30 21:09:21 | 暮らし
 まずは写真を見て欲しい。Img_2533



Img_2532

 このテーブル世界に二つとないテーブルだ。なんせ素材が凄い!300年以上経つ古民家の根太に使われていた栗材だ。普通、栗は長期にわたって狂い続けるそうだ。だから、まずは家具なんぞには使われない。300年も経ているから、十分に枯れていてそこが狙いだったと言う。

 解体される古民家から出る古材を家具にしようなどと考える家具職人が果たして他にいるのだろうか。家具用に木取りされたものでないから、ところどころ欠けていたり穴が開いていたりして、そこにはしゃれたデザインの詰め物が施されていたりする。寸分の狂いもなく組み合わされた近代家具などとは、発想の根本から違っている。300年もひっそりと生き延びてきた古材だからこそ、味わいもあり、さらに長く命を長らえさせよう。ここにあるのは、木を慈しみ、木を愛でて、木を楽しむゆとりの心だ。

 このテーブル注文してから届くまで1年は優に掛かったと記憶している。もちろん、仕上がった時には職人自ら運び込み足を組み込んで微妙な調節を済ませてくれた。

 忙しくて仕事が遅れたのか、仕事が遅くて時間がかかったのか、はたまた怠け者だったのか。僕の思うところ、やはり怠け者だったのだ。ただし、それは木と戯れることを楽しむ遊び心が勝っていたからだ。木と向き合い、木と対話し、木をなでさすり、木を肴にして一献傾け、やおら作業にとりかかっては、また、ゆるりと眺めいっていたに違いない。
 
 そんな人柄を忍ばせるエピソードを幾つか紹介する。

 彼の自宅は鉄道の枕木を自分で組み立てて造られている。その庭には貨物車両が置かれていて、これがゲストハウスだ。なんせ、廃物を集め回るのが何よりの趣味、常に廃品回収業者を回っては、これぞと思うものを目方で買ってきた。そんながらくたを集めて室内の調度がしつらえられていて、これがまた、なんとも言えぬ味わいを醸すのだ。もちろん、家の周囲にはわけのわからぬ品々がごろりごろりと勝手に居を定めている。直径3メートルの電線巻きの木製リール。これなど、JRの架線現場からトラックで運ぶ際、ロープがほどけて路上を転がったのだと言う。それを言う彼の楽しげな表情、尋常ではない。

 なんでも自分でやる、金は掛けない、その真骨頂が自ら掘った9メートルの井戸だろう。僕は中に入ったわけではないが、これはどう考えても命がけの作業だ。いつ崩れたって不思議ではない。そんな冒険をいともたやすく、いや、楽しげにやってのける。

 家を造り、廃品を集め回り、それらと戯れる。家具作りもそんな戯れの一つだったのだと思う。彼ほどの才能なら、性根詰めれば、一流の家具作家になれたろうし、結構裕福な暮らしも手に入ったことだろう。

 でも、そんなことはなんの価値でもない。木と遊び、廃物と遊び、日々を楽しむ。酒を愛し、温泉をこよなく愛した。

 そんな男が深夜の露天風呂で倒れた。心臓麻痺だった。

 享年65歳。早すぎたようにも思う。でも、どこか彼らしい死に様でもあったように思う。

 畏友、今川和彦。







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『町イチ!村イチ!』準備着々

2011-11-28 22:02:19 | 地域文化
 『漂流』公演の仕上げと同時進行で、『町イチ!村イチ!』の準備も進めている。もちろん、『どんでん森はどっきどき』ミニバージョンもそうだが、物販の方の準備も着々だ。川西町ブースの一押しは紅大豆!それも紅大豆本舗の製品なんだ。ワッフル、ソイばぁ、マドローム★紅ダリ、これに「みつ福を加えて、要するに置農ブースってことなんだよ。いいのか?町の一押しが農業高校だったりしても。

 町も紅大豆炒り豆とか甘納豆とか持ち寄るそうだけど、主体は紅大豆本舗。となると、品揃えも手を抜くわけにはいかない。全国の町村が出品する自慢の品々の中で、果たして高校生の作ったスイーツがどれだけ売れるのかさっぱり検討がつかないけど、せっかくの機会だもの、売り切れ品物不足で悔し涙なんてのはご免だ。ぎりぎりいっぱい売り上げたい。

 ってことで、今日は生徒と一緒に半日スイーツ作りに精を出した。生徒たちはワッフルとソイばぁ、僕はマドローム★紅ダリを担当した。作るだけじゃ当然売り物にならない。冷凍してあった在庫も含め三品で600個を準備した。ラベル貼りと箱詰めだけで、3時間もかかっしまった。

 たくさんの出店があるんだもの、そんな売れるわけないだろ、って思いと、高校生の手作りって結構人気集めるかもしれないって思惑と行きつ戻りつ、結局あるったけ出す!ってことにした。後はみんなで一所懸命売りさばくってことだ。3日は置農駅町グループ、4日は演劇部が売り場を担当する。高校生のエネルギーで早期完売と行きたいものだ。

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最後にホッ!紅大豆本舗県大会最優秀

2011-11-25 22:07:11 | 地域文化
 ごはんDE笑顔プロジェクト選手権北海道・東北地区大会で惜敗し、農業クラブ青森県五所川原での東北大会でも僅差で破れと、これまで2回、涙を飲んできた紅大豆本舗チームが最後の最後に笑った。

 農業クラブ県大会文化・生活の部最優秀獲得だ。発表した活動内容は、『お婆ちゃんと一緒!紅大豆弁当プロジェクト』、川西町内の一人暮らしのお年寄りに紅大豆づくしのお弁当を届け、一緒におしゃべりしながら夕食を共にするというものだった。

 6月から11月まで、9人のお年寄りに各5回のべ回数としては9回の訪問を行った。その楽しかった交流の様子や高校生がお年寄りを訪ねることの意義と、紅大豆のお菓子ワッフル、ソイばぁ、マドローム★紅ダリの製造販売活動などをまとめて発表した。

 なんせ僕も忙しい身だから、演劇部に顔を出し、東京ミニ公演の台本を書き、ボランティア賞の応募原稿を仕上げなどしつつの合間仕事になった。だから、原稿が完全に上がったのが、二日前!練習わずかに4回という心細い状態で本番を迎えた。

 幸い発表が午後だったので、リハーサルを済ませた後、控え室に引きこもって練習を繰り返した。このチームは直前の稽古が効果的なことが東北大会の経験で判っていたので、あまり心配することなく本番に送り出すことができた。

 予期した通り、本番は見事な出来で、発表順位2番ながらも、好結果が期待できる発表をしてくれた。なんて本番に強い子たちなんだろう。発表制限時間10分の2分前に一鈴がなるのだが、それを聞いてやや早すぎると了解して、残りの部分をゆったりとたっぷりと読み上げて、9分51秒で終わらせた。見事!スライドの二人も少ない練習をものともせず、ほぼ間違いなく操作してくれた。これまた、見事!!

 結果は最優秀。来年の東北大会出場権を獲得してくれた。一緒に参加した2年生への素晴らしいプレゼントだ。今年果たせなかった農業クラブ全国大会出場の夢に向かって、いよいよ2年生の挑戦の開始ということだ。
 
 その第一歩は、まずは12月3、4日、東京の国際フォーラムで行われる『町イチ!村イチ!』での販売に向けて紅大豆スイーツの製造に精を出すこと。二日間で、合計400個!行けると思うんだけど。冒険だろうか?このブログを町イチ!村イチ!で検索して覗きに来る人も多いので、多分行けるよ。いや、きっと売れる。いや、絶対売り切るんだ!と、早くも心は次のステージに向かっている。

 相変わらずの二足、三足のわらじ履きが続く。




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町イチ!村イチ!どんでん森!!

2011-11-22 21:43:17 | 地域文化
 12月3日(土)置農演劇部『漂流』公演。その翌日、なんと!なんと!!なんと!!!『どんでん森はどっきどき』東京公演だぁぁぁ。それも有楽町だから、東京国際フォーラムだから。

 イベント名は「町イチ!村イチ!」。日本中の町や村が自慢の品、自慢の出し物をひっさげて東京に集う。出展町村数百数十。その一角、川西町ブースを置農が担う。主体となるのは紅大豆関連商品、つまり置農紅大豆本舗のワッフル、ソイばぁマドローム★紅ダリだ。
 
 そして、ステージでは演劇部が『どんでん森はどっきどき』を上演する。津軽三味線あり、八丈太鼓あり、人形浄瑠璃あり、錚々たる郷土芸能に割って入って高校生の子どもミュージカルの登場だ。伝統が勝つか、高校生の若さが勝つか、まっ、勝負ってわけじゃないんだけど、楽しみな企画だ。

 ただ、残念なのは、上演時間が30分と限られていること。うーん!厳しい!!完全版の半分以下の時間だからねぇぇぇ。しかも、演ずるステージは、イベント会場の片隅。こうなりゃ歌とダンスで勝負するっきゃないよね。ってことで、ストーリーには目をつぶって、コントと歌とダンスを中心に28分のダイジェスト版を作った。先週末台本を上げて、今は部員たちで稽古させている。

 今日、改めて正式の出場依頼が町から届いた。当日は朝6時の出発、バスの中で弁当食べて、着いた端から販売活動。13:05~13:35までがステージでその後さらに販売を行って、16:00に出発、学校には夜10時頃の帰還ということになった。前日に『漂流』の2公演をこなしての日帰り公演、厳しい!校長もその点心配していた。でも、演劇部はその程度のスケジュールにへこたれたりはしない。きっとどちらの公演もばっちりと決めてくれることだろう。ただ、心配はここに来ての寒さだ。風邪引きがでなければいいのだが。もっとも、置農演劇部の場合、風邪ひいてたからって出番を免除してもらえるなんてことはさらさらない。まっ、当人がつらいだけのことなんだけど。

 ということで、今週は『漂流』と『どんでん森』短縮版の二つの舞台の稽古を同時進行で行っている。生徒たちも大変だが、僕も結構大変で、今週末には農業クラブ県大会で2年連続の最優秀を目指しているし、「町イチ!村イチ!」で販売するスイーツつくりもしなくちゃならない。かなりせっぱ詰まった状況だ。

 でも、こんな忙しさが僕の元気の素なわけだから、精一杯盛り上がってこの難局を楽しもう。この東京イベントがなにか新しい展開に結びついてくれると本当に嬉しいんだけど、食育子どもミュージカルも紅大豆本舗も。

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追い込みと制約と

2011-11-19 23:46:12 | 教育
 先日NHKの番組「プロフェッショナル」で、三谷幸喜が言っていた。仕事の流儀は、自ら追い込むことと制約の中で楽しむこと。ちょっと言葉は違うかな?内容としてこういうこと。

 今日の食育子どもミュージカル『どんでん森は、どっきどき』長井市公演は期せずして、その二つへの挑戦となった。

 まず、追い込むこと。今回の公演はなんと主役を含め代役が4人!そのうち3人は1年生!ありえねぇぇぇぇ!!

 前にも書いたが、3年生二人が大学受験、2年生一人が検定試験。あれ?なんで4人代役?その秘密は玉突きだ。つまり、主役の代役には他の3年生、その役を1年生、実は妹、が引き受けた、とこういう訳。いくらなんでも主役の代わりは3年生でなくちゃ務まらない。てことで、4人の代役。

 代役指名はすでに2ヶ月前から言い渡してあったけど、実際稽古はわずかに1週間。それも農業クラブ県大会の準備で超多忙の僕がほとんど見てやれないって中での本番だった。

 心配したかって?いいや、全然!絶対うまくやってくれるって信じてたから。まぁ、本役さんと同じには行くはずはない。でも、観客から見透かされることは無いはずだって思っていた。

 結果は予期した通り、まずまずの出来となった。後半の3曲なんかは、歌い終わった時に拍手が湧いたし、劇見ながら涙をぬぐってくれる人なんかもいたしね。おっと、今日の観客はすべて大人、長井市の食生活改善推進協議会の30周年祝賀記念祝典に招かれの公演だった。

 成功の要因はまさしく、「追い込む」こと。無理矢理代役を振られて、喜び恨み、苦しみ悩んでの数週間だったはずだ。そして、ぎりぎりいっぱい頑張った数週間でもあったと思う。引くに引けない、逃げるに逃げられない。追い込まれてのそんな窮地が彼女たちを大きく成長させた。その必死さがまずまずの舞台につながった。やはり人間追い込まれないとダメだよなってことをつぶさに感じた今日の公演だった。さて、僕は本当に自分を追い込んでいるだろうか?

 もう一つの制約は?これは写真見て欲しい。
Img_2309

 どう見たって、式典会場でしょ。会場は長井市の「はぎ苑」結婚式場だ。会場は天井が低く、普段バックに使っている9尺のパネルが立たない。しかも中途半端なステージもある。上にはシャンデリアとか、金屏風とか余計なものも付いていた出てたりりして。

 さぁ、どうする????ここに舞台作るんだ。装置の搬入をしながら、考える、考える。しかも、リハーサルが終わった後は式典会場仕様に戻さなくちゃならない。使える時間もトラックのトラブルでわずかに一時間!!この間に配置を決め、立て込みを完了してリハーサルまで済ませなくちゃなんない。

 久しぶりに緊張した。で、最終的にこんな舞台に仕上がった。

Img_2311

 どんな会場でも、無理!と弱音はかない。ダメと言わない。絶対やる。これが置農演劇部のモットーだ。今日のように制約が大きければ、大きいほど燃えるんだよな。見事!時間内にリハーサル終了。

 
 さらに、終演後は、10分ですべての装置道具を搬出するっていう難題もクリアー。久々にやったー!感のある公演だった。明日は今年度最後の演歌ショー。全員出演で1時間半の公演すべてビデオ撮影する。って言ったら、衣装さんが、ダンス衣装アイロン掛けてきますって、そうそう、3年生はそうやってひとつひとつの公演を大切にけじめつけて行くんだ。しっかりと思い出に刻みつつね。






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