何日ぶりのブログ更新だろう。
もうもうとってもパソコンに向かえる状態になかった2週間!まったく休み無しの連続稽古だったから。連日帰宅は23時。
追いつめられてたねえ、とことん。
役者は来ない。来てもせりふは入ってない。小道具はできてない。衣装はそろわない。もちろん、照明プラン?何の話。
それどころか!辞退続出。出演者が決まらない!!本当かよ?!本番の2週間前にだぜ!!!
こっちも堪忍して!の忙しさだったから、後手後手後手で崖っぷち。
演出プランもエンディングの決め手が浮かばない!
台本じゃあの世行きの銀河鉄道を出せって、井上さん無茶言うよ。十数人の死者がそれに乗って下手にはけるって、生徒じゃないけど、無理無理むーーーーり!
まさかなぁ、歩いて袖にはけてくなんて、しょぼいことできないし。
はりぼてみたいな銀河鉄道作るのなんてお断り!だし。
もう!あっちもこっちも行き詰まりの行き止まり。
でも、投げ出せないよ、今回ばかりは。井上さんの追悼公演なんてぶちあげちまったからね。
こうなったら開き直りあるのみ。置農演劇部フルに使って乗り切るって決めた。ごめん!みんな。で、一つ決断すっとあれれって感じでアイディア出てくるもんなんだ。
森の紗幕を下ろしてその奥に、列車シーンの客車?を出して銀河鉄道にでっち上げることにした。紗幕が2間三枚に切れているのでここから奥へ抜けることにした。紗幕の向こうが彼岸ってこと。
列車そのままてのも芸がないのでベッドカバーに使った白布を椅子にかけてみた。裏地のテカテカした感じが葬送をイメージさせてとてもよい。
病院シーンも旅館シーンも下宿シーンもすべて横壁はなしにしてスムーズな転換を心がけることにする。場転で使える曲は、星巡りの歌と種山ヶ原と精神歌。これはどうしても時間がかかる場転とオープニング、エンディングで使うことにして、後は生歌と列車走行音で場をつなぐ。
丸太で作った列車シートとベニヤでつぎはぎした壁パネル。死に行く百姓たちの思い残し芝居に相応しいと考えてひらめいたアイディアだ。
さて、本番。どうやらこちらの演出意図は通じたようだった。列車は思いがけず重厚な作りになって奥の森紗幕とぴたりと絵に成っていた。列車音をオノマトベで出すという井上さんの狙いとも上手くマッチしたように思う。置農演劇部のがんばりもあった。
エンディングも美しく心に残るシーンに仕上がったと思う。アンケートにもそう書いてくれた人がいた。思い残し切符を生きる人につたえていく趣向、改めて井上さんの凄さを納得した。
井上さんが、注文の多い料理店ならぬ注文の多すぎる脚本を残してくれたお陰で、ぎりぎり苦労した。でも、どうにか演出としては井上さんの注文をさばきつつ新しいものを作れたのではないかと思っている。
ねえ、どうですか、井上さん。ここらで堪忍してくれますよね。