定期公演終わった。相変わらずの全力疾走。相変わらずの障害物競走。相変わらずの耐久力競争だった。
それにしても、部員たちはよくやった。仕込みと色作りが長引き、ほとんど出ハケ関係の稽古もできないままに、ゲネプロだった。次々にシーンが変わり、照明が変わり、使う舞台位置が変わる、そんな慌ただしい舞台でありながら、ぶっつけゲネプロ、ぶっつけ本番を成功させた部員たちの底力は凄い!確実に力を付けているってことを、改めて確認できた。
ともかく、一人一人が大きく成長できた定期公演だった。ほんと、最初の台本読みの時はどうなることかと思った。浮いた話し一つない子が、男たちを手玉にとる悪女を演じる。できるのか?主役の兄弟を女が演る。できんのか?固くて融通の利かない生徒が、野田秀樹が演じた天麩羅判官になる、無理だろ?!
2年生は声が出ない、演技が未熟、表情が単調、動きはぎこちない!スタッフだって、初めてが大多数。ピンなんて一年生コンビなんだから。
そんな初めてつくしの連中が、それなりに『カノン』の世界を作り上げることができたんだから。この成長が、この定期公演の何よりの収穫と言えるだろう。ほんと!みんな一皮むけた!!
アンケートはじめ、聞こえてくる感想はおおむね好意的だ。特に衣装の評価が高かった。ただ、難しいとの感想が多かったのが、納得!と同時にえっ、そうなの?って感じだった。前回の『キル』に比べたらはるかにわかりやすい作品だと思っていたのに。まあ、世界そのものは、破滅的で奈落の底をなめ回すような作品だったから、予定調和が身近なこの地の人たちには異質な世界だったんだろう。
やはり、野田秀樹の作品に馴染みのない人が多いってことなんだよな。過剰なせりふ、意表を衝く言葉遊び、思いがけない展開、初めて遭遇する人たちにはすっきり入りにくい世界なんだよな。これが都会と田舎との落差ってことでもある。
観客数は2回合わせて200人。少ないって言えば少ない。まあまあと言えばその通り。高校生の演劇にしては大人の比率が高い客層だった。これが今の置農演劇部の評価の実態ってことだ。大人には評判が広まっているけど、若い人たちは無関心!もっともっと若い人たちに見てほしかったなぁぁぁ。特に、他校の演劇部生徒たちにはね。