ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

今、始まる!『よみがえりのレシピ』

2012-02-27 18:29:30 | 地域文化
 在来作物のドキュメンタリー?うーん、大切な問題だってことはわかるよ、でもね、2時間??持つのかなぁ???って正直思ってマイカルのシートに身を沈めた。初めの話題は、在来キュウリ。授業の中で小学生に栽培指導、うーん、よくあるパターンだよな、置農紅大豆本舗だって小松小でやってるし。この調子だと飽きるかも、ってちょっと心配だった。時々挿入される音楽?音?にもどきっとして違和感あった。
 
 でも、次の焼畑栽培の様子を見て、そんな不安はぶっ飛んだ。知識としてはあったけど、茅場のような所に火を入れて作るんだろうって思っていた。なんと杉林を伐採してだものね。杉を切り出して、倒木を片づけて、ツタの根なんかを掘り起こして、十分に火が回るように朽ち葉や枝、灌木なんかを丁寧に積み重ねて、火入れの後も、裸足で歩けるくらいにするんだって話し、これは凄い!どんだけ手かけてんだ!しかも、その種はたった一人のお婆ちゃんが庭先の一坪ほどの家庭菜園で作りついていたっていうんだから。種を保ってきたお婆ちゃんの言葉がまた良い。「あるもの、なくすわけいかんでしょ」

 ただちゃ豆、甚五エ門里芋、山形赤根ホウレンソウ、金谷ゴボウ、雪菜、次々に紹介される在来作物、名前はまあ、ほぼ知っている。学校で食農科学ってもん教えてる身だから。でも、それを作っている人たちの思いを聞くのは新鮮だった。作りやすいわけでもなく、市場での扱いもなくなり、周りはどんどん栽培を止めていく、そんな中で、一人その種を守り続けてきた人たちの思い、それが「あるもの、なくすわけいかんでしょ」っていうことなんだな。長く作りつがれてきたものには価値がある、との信念。次の世代に渡さねばならないという使命感。種を守ることを生き甲斐だとまで言い切る老人たちの訥々とした語り口は、易々と過去を振り捨てて顧みない今の風潮を深く鋭く突いていた。

 この映画の主役はもちろんこの愛すべき在来作物たちとその栽培者たちなのだが、この野菜たちに日の目を当ててくれた山大の江頭先生とアル・ケッチャーノ奥田シェフの存在は大きい。そう、よみがえりのレシピを準備したお二人だ。学問的興味をはるかに超えて在来作物に惚れぬきひたむきに産地への日参を重ねる江頭教授。個性的な野菜たちの持ち味を斬新を超えて驚きのレシピに蘇らせた奥田シェフ。木訥な在来作物が2人の手で発掘され新しい味覚として立ち現れる。その調理方法のユニークさ、自由さ、どこまでも素材に寄り添おうとするシェフの姿勢。うわぁぁぁっ!喰いてぇぇぇぇ!って生唾のみ込みながら、感動していた。

 お二人の力で、今ここによみがえりのレシピが整えられ、この映画スタッフのお陰で、素晴らしいメッセージとして発信された。でも、映画のコメントにも出た通り、今も山形から、日本から次々に在来作物が消えていっている。その流れは変わっていない。ここに登場した在来作物たちは幸せものたちだ。奥田シェフとの出会いがあった。だが、アル・ケッチャーノでの消費量で救いきれるわけはない。もっともっとその土地の食に密着した形でその素材が取り込まれなくてはならない。かつて、その地に欠かせぬ漬け物であったり料理であったりしたように。地域の食文化として再度その地位を確保出来たとき、初めて在来作物たちはよみがえりのレシピを手にするってことだ。

 地域地域に細々と伝えられる在来作物、真のよみがえりを準備するのは、その地にあってアイディアをひねり出し、工夫を重ね、努力を積んでいく食のコーディネーターたち、つまり、料理人や食品開発担当者などになるに違いない。で、僕も紅大豆に関わる人間として、その末の末の末の末席にあるってことだ。頑張んなくちゃ!ってやる気をこの映画からもらった人、少なくないと思うな。

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おきたまで食は力となるのか?

2012-02-24 22:25:25 | 地域文化
 「おきたま食の力」シンポジュームに紅大豆本舗の生徒ともども参加した。
 シンポジュームは元酒田ル・ポットフーの太田シェフ、アルケッチャーノの奥田シェフ、それと吉亭の若社長、進行は山新の置賜支社長が担当した。話しの内容は三人三様、聞き応えがあった。中でも奥田シェフのユーモアあふれるお話しには聞くべきものが多かった。料理人が地域の食材生産者とつながることで、地域が元気になっていく道筋を、雨が降ると桶屋が儲かる式の展開で楽しく語ってくれて、納得!生産者と金銭関係を超えて手を取り合う姿勢に、かつての有機農業運動の提携が生かされているなと感じた。
 置賜にも有望な食材が多数あるという指摘にも力付けられた。ただ、庄内人は外食が大好きで、ランチタイムのレストランはどこでも女性たちで満員という話しには、はてさて置賜ではどうか?と少し悲観的な気分なった。置賜はやっぱり上杉鷹山様のお膝元、質素倹約の土地柄だからね。庄内のようにはいかんだろう。
 でも、会場は太田シェフや奥田シェフの話と料理によだれを流す人たちで超満員。試食会の開始時など、凄まじい勢いでなだれ込み、殺気すら感じたほどだった。試食では両シェフの料理の他、地元置賜の料理人の腕に撚りをかけた逸品が提供され、参加者は心ゆくまで楽しんでいたね。
 置農は、紅大豆本舗とMOTTAINAIプロジェクトチームが参加し、「マドローム★紅ダリ」と「エコ地鶏」を試食に提供した。残念ながら、今回の参加者は高校生にはあまり関心が無く、見向きもしてくれない人が多かった。やっぱ、名前には弱いんだよね。高校生ってだけで、初手から問題にしない、こういう態度ってどうなんだろう。これは、先週の春待ち市でも感じた。子ども連れのお母さんたち、高校生なんか端から相手にしなてくれなかった。まっ、それは仕方ない現実で、そこから出発するしかない。
 ただ、参加した業者さんたちは、イベントの終了間際、大勢試食してくれて、美味しい、美味しいと賞賛してくれた。中には10個も買ってくれる人なんかもいて、有り難いとともに、とっても嬉しく感じた。こういう機会をたくさん積み上げて、製品は名品になっていくのだろう。
 「マドローム★紅ダリ」、来週は置賜総合支庁の課長会で試食したいってことで注文をいただいている。ありがとうございます。皆さんも、ぜひぜひ、ご利用、ご利用!

 

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あて書きの妙味『アーダコーダと魔女ナンダ』

2012-02-22 21:48:37 | 演劇
 置農食育子どもミュージカル第6弾『アーダコーダと魔女ナンダ』の本読みが終わった。いつものことだが、読み始めた時はどうなることかと思った。もうダメだしばっかり!たった2ページに2時間なんて状態で、こりゃいかん!終わる頃には初演だぞ!?なんてかなり心配した。

 でも、これもいつもののことだが、部員たち、進むに従いぐんぐん役柄を掴んでくれて、わずか4日間で終わることができた。まだまだ未完成の部分、宿題としてお預けの部分も少なくないんだけどね。まあ、終わった。

 で、ちょっとばっかし気持ちよく、振り返ってみるわけだ。まず言えること、それは1年生がどんどん上手くなってるってこと。あの、声出ない棒読み連中が、そこそこ聞いていられる読みになってきた。やっぱ、役をもらうってことは大きいんだよね。役者は舞台で育つ!それと上級生に頼れないってことも。人間、やるっきゃない!って思うことほど心強い味方はないってことなんだな。久しぶりに稽古を見た顧問Mの感想、「1年生、ずいぶん大人になった」、そうその通りだと思う。あんなにダメ男ダメ女だった連中が、結構頼もしくなってきた。

 さて、今回のスムーズに読みが進んだ原因は、あて書きの成功ってことも大きいと思う。部員一人一人の持ち味、力量を判断しつつ、役を振り、人物を動かし、セリフを書く。1年生が圧倒的多数を占める今回は、かなり悩んだ。たった1年見ただけ、それも見習い期間のめだかの群れだもの。どう判断するか!2年生4名、1年生15名じゃあ、重要な役に1年生を抜擢しないわけにはいかない。じゃあ、だれにどんな役あてる?

 正直かなり悩んだ。数少ない舞台経験を思い返しつつ、思い切って配役をした。冒険だった。自信がなかった。でも、それがまんまと図に当たったんだ。ほとんどぴったし!っていうほどに当たった。だから、部員たちも一度掴むと後はすいーっと役にとけ込んで行けたんだと思う。我ながら、見事な人選だったと思う。これで、新作『アーダコーダと魔女ナンダ』の成功の三分の一は決まったようなものだ。残り三分の二は装置と衣装とかぶり物。これがまたかなりの難題だ。でも、きっとやり遂げてくれることだろう。

 ぴたりはまったキャスティングとあて書き、今日はちょっぴりほくそ笑んで、これぞ、あて書きの妙味!なんて悦に入っているんだ。

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やっぱり若さだ!「春待ち市」

2012-02-18 23:26:55 | アート・文化
 春待ち市、良い名前だ。そう、誰もが春の訪れを心待ちにしている。深い雪の壁に囲まれながら、きっと来る春を手招きする。春になれば、人々は集い、そのにぎわいは市となる。心待ちする人と物の行き交いが賑やかに始まる。そんな心はずむ春を呼び寄せようとするする試みが、春待ち市なのだろう。今年初めての試みとして、里の暮らし推進機構が企画し、取り仕切る。今日はその初日。置農紅大豆本舗も紅大豆スイーツの販売で出店した。

 正直、雪雪雪のこの時期だしねぇ、場所はちょっと離れた「まどか」だしねぇ、まっ、あんまり集まんないでねえの。って若干は気乗り薄、まあ、せっかくやるって言うんだから、付き合わなくちゃね、って程度のノリで参加した。だから、お菓子も二日間で200個売れれば上等でしょ、って見積もりで準備してのぞんだ。

 ところが、いざ幕を開けてみると、以外にもひっきなしの来客!しかも、その大部分のお客さんが買い物目当て。そう、まさしく市を待ちかねた人たちでなかなかのにぎわいなのだ。こまつ市でお馴染みの顔が次々と訪れる。さらに、小さな子ども連れも多い。これは2階のキッズコーナーがお目宛てだ。こちらもずいぶんと賑わっていた。なるほどねぇ、こういう親子連れも外に出る機会を心待ちしていたんだ。

 そんな賑わいで、紅大豆本舗も大盛況、二日分と思って準備した200個はすべて完売した。ありがとうございました。お陰で、明日販売する分の準備に追われてしまったけど。まっ、売れて文言ったらバチあたるよね。

 さて、この季節外れの市の賑わい、待ちわびる人たちがいたってことだけではない。時間を掛けて、綿密に準備し、目一杯情熱を注いで取り組んだ人たちがいたからだ。里の暮らし推進機構に集う若い人たちだ。十人もいたろうか、明らかに手弁当覚悟の若い人たちが、実に精力的に働いていた。朝は5時から駐車場の設営や新聞作りに精を出し、開催時間中も常にブログの更新やツィッターで会場の様子を発信し続けていた。もちろん、会場内の様々な雑務もしっかりとこなし、しかも、和やかな雰囲気を醸し出していた。うん!いいぞ、若い衆!!

 こういう試み、これまであっただろうか。記憶にあるのは、10年ほど前、花笠踊りの前座を盛り上げようとして、はかなくも惨敗した例くらいだ。あのころは、若い者の取り組みがほとんど無視されていた。その結果の辛い観客ゼロだった。まぁ、主催者側にも様々問題点はあったのだろうが。

 それが、今、こうして見事に新しい試みを成功させつつある。しかも、これまでにない新しい仕組みを様々に構築しながら。例えば、出店者の広がりだ。今回は川西町を主体としつつも、山形市や庄内からも、さらに明日は福島からもお店が出る。しかも、その出店が、食べものばかりではなく、古物雑貨やお子様小物といった幅の広がりを見せていることだ。ネットによる発信、連携という面でもこれまでにない取り組みとなっている。

 こん斬新な企画を立て、実現してしまう若者たち、彼らの生き生きはつらつとした動きにこそ、地域の未来がほの見えて来るってことなんだろうな。ちなみに、町長は来た。でも、町役場職員は数人?かな?まっ、そんなこたぁ、若い衆、想定内だろうけどね。
http://hmm.jd-s.info/?cat=4

Eozdejp




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紅大豆本舗謹製「マドローム★紅ダリ」優秀賞受賞

2012-02-15 21:46:46 | 地域文化
 置農紅大豆本舗のマドレーヌ:「マドローム★紅ダリ」がやまがた米粉食品コンクールで優秀賞を受賞した。参加した57点のうちの上位10点に選ばれた。この割合だけみれば、あっそ!って程度のことだが、置農以外すべて業者さんとなるとかなり話しは違うはずだ。そう、プロと競い合っての入賞だったんだ。

 このコンクールは米粉食品の普及を目標とするもので、出品は米粉食品の製造・販売業者に限られる。料理好きのママさんとか、お料理サークルといった人たちは参加できない。じゃあ何故置農?そりゃ、置農紅大豆本舗がお菓子の製造販売許可を取り、常時販売を継続してるからなのだ。つまり、紅大豆本舗も業者さんってことなんだね。

 たしかにこの「マドローム★紅ダリ」、美味しいと自信を持ってはいる。でも、他のプロのお菓子屋さんを抑えるほどの実力だ、なんて自惚れるつもりはさらさらない。今回の受賞は、味以外の要素が大いにものを言ったと思う。

 まずは、高校生が作って販売してるってこと。最近は高校生のアイディアを製品に生かしてヒット商品を生み出す、なんて方法がちょっとぱかりはやりだ。お菓子屋さんやラーメン屋さんや、時にはコンビニまでもが、そんな手を使って、あわよくば!と狙っている。学校の方も、生徒の積極的な活動を引き出せて、なおかつ達成感も大きいので、両者互いに得るもの多く、今やこの方法、流行って言えるほどなんだなぁ。

 ただ、自分たちで考えた品物を自分たちが製品化し自分たちが恒常的に製造販売している学校となるとこれはかなり限られてくる。ジュースやジャムなど旧来の加工品ならいざ知らず、お菓子となると、県内では置農だけなのじゃないのかな。全国的にもそう数は多くないと思う。東北では盛岡農業のパンが有名だが。この点が評価その一。

 次に県内産米粉の使用という以外に、紅大豆を使って川西町をアピールしようとしている点だ。形も町の花ダリアの形に仕上げている。地域を元気に!っていう高校生の思いが審査員の心を打ったに違いない。

 そして最後の切り札は、この製品が、町の就労支援施設「たんぽぽ」との共同開発商品だということだ。2年前、一緒に研究しながら作り出し、その後も一緒に製造しては販売を行ってきている。と、ここまで味覚以外の付加価値が付けば、賞に値するって誰だって思うよね。

 そんな幾つものストーリーがあったお陰で、県政テレビ番組「やまがたサンデー5」で大きく取り上げていただくことにもなった。放送は26日(日)午後5時からYBCで放映される。見てください。製造風景から生徒たちの生の声まで出てくるはずです。

 ということで、今日は表彰式だった。4代目の生徒4人を連れて参加した。表彰も無事終わり、記念のトークショーや料理実演も楽しく聞いて、いよいよ生徒たちお待ちかねの試食会!パレスグランデールの広間いっぱいに展開した業者さんの試食ブース。そばありうどんありパスタあり饅頭あり料理あり餃子あり飲み物ありお菓子の種類は数知れず!?いずれも米粉を使った美味しい料理のオンパレードだ。生徒たち次から次と食べ歩き。試食品を完全マスター!気に入ったものには、再度、再々度挑戦し、美味い!大好き!いいなぁぁ!を繰り返し、終了までの一時間半を精力的に食い尽くした上に、さらに大量のお土産までせしめて、大満足で帰ってきた。

 もちろん自分たちの「マドローム★紅ダリ」もたくさんの人たちに試食してもらった。美味しい!どこで売ってるの?甘みの具合が調度いい!頑張って!などの賞賛や励ましの言葉をたくさん掛けていただいて、食欲ばかりが心も存分に満足したことだろう。アルケッチャーノの奥田シェフにも褒めていただき全員名刺までもらって、かなりの舞い上がり方だった。全員が、すっごい経験できたと大喜びの半日だった。

写真、まずは表彰状とともに記念撮影。

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食べるばかりじゃない。ちゃんと説明もしていた。




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そして、奥田シェフからの感激の批評!マイクを持つのはYBC小川アナウンサー。




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