ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

見ものは道具?!『予兆 女たちの昭和序奏』

2018-07-12 08:50:38 | 菜の花座

 やればやるほど、演技の質は上がっている。演出として、セリフの意味を伝え、心を話し、相手のセリフに動く感情を説く。で、何度もやり直し。セリフのニュアンスや動作や仕草の印象、求めるものとの違いを知ってもらおうと、必死で言葉を選んで説明する。どうにも我慢できず、演じてみせてしまったりもする。いかん、それはダメだ!と思いつつも。役者の力って、見る力、聞く力、感じる力、そして、真似る力なんだと思う。そして、それはくどいくらいの繰り返しの中で鍛え上げられる。そう、アマチュアの場合。

 劇団の力はどうか?役者、作者、演出、装置、道具、衣装、メイク、スタッフワーク、いろいろある。 今回の舞台のように、時代が昭和前期、しかもリアルな設定となると、装置以下の裏方部分の力は大きい。作者がいかに当時の風物をセリフに盛り込み、演出がそれらしく動きを作り、役者がその時風に演じたとしても、周囲を囲む風景がその時代を再現していなければ、舞台は白々しい。

 衣装選びは、本読み終えてすぐに始まり、今もまだ続いている。髪型も大苦戦中だ。この悪戦苦闘の様子は近日中に書く。今日の主役は道具たちだ。まずは、これかな、蓄音機。

どうだい、凝ってるだろ。今からわずか80年前にゃレコードプレーヤーはこんな形をしていた。動力は手回しハンドルだ。針は釘のような金属製、アームの武骨さが実にそれっぽい。下にはレコード格納庫が付属している。今回は、音楽が大事な構成要素なので、この蓄音機、大活躍する。

 次に頻度の高いのは、

電話機かな。こんな形、知ってる人少なくなってるよなぁ。実は、これ、時代と状況の設定からすると、ちょっと古臭い。いくら貧乏雑誌社でもこの手のものはとっくに卒業してるはず。そう、それと、これが納まる電話室なんて存在もそう。でも、そこはちょっとお遊び、時代考証を無視して敢えて昭和初期風を醸し出してみた。

 出前用の岡持ち。

これも登場頻度の高い大切な道具だ。今なら、アルミ製。でも、昔はこんなだったんだ。店名の文字といい、汚れ具合といい、今だって使用中のようじゃないか。

 汚しで見事なのはトランク。

よくよく見てくれよ。ちょっと見は竹製のようだが、実は今の強化プラスチック製を変造したもの。帯皮なんかすべてフェイクだ。なんか、これ持って入って来ると、満州帰り、みたいに感じるじゃないか。汚しの技の勝利だな。でも、せっかくの名作、たった1度、それも隅っこの方でちらりと姿を見せるだけなんだ。なんと贅沢な!

 こういった見事な道具や舞台装置も、この『予兆 女たちの昭和序奏』の見ものの一つだ。いや、役者たちより見ものかもしれない?そんなこたぁない。が、大いに楽しんでもらいたい。

 劇団員、20名、それぞれが持てる力をフルに発揮して仕上げる舞台、面白くなるのは当然だ。ぜったい、保証付きだ。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする