ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

俄かウィスキー(ただし安酒)党員よ、胸を張れ!

2019-12-24 09:37:03 | 暮らし

 正月くらいモルトウイスキーが飲みたいもんだなぁ、たまにゃぁタリスカーなんかも・・なんてあわあわとした夢は、タイヤの破裂とともにぶっ飛んだぜ。突如の縁石乗り上げ・タイヤパンク、痛すぎる予定外支出、モルトだぁ?タリスカーだぁ?なにほざいてんだよ。酒飲めるだけ幸せってもんだろが。

 それに、堂々宣言もした安酒党員なんだ、クリスマス?やお正月?世間のふわふわムードに乗せられてなるもんか。ここは、頑なに日々の慣習のまま、節操を貫き通して、安酒買いに行こうか。

 どうせ安酒なんだ、スーパーで買おうがコンビニで買おうが、どうでもいい、ってそれは違う。まず、コンビニ、あそこは、おう、今日は働いたぜ冷えたビールをグイっとか、で、缶ビール買う場所だし、スーパーだと、夕飯の買い物ついでにちょいウィスキー、これもウィスキーへり冒涜だ。たとえ、安酒ウィスキーと言えども、専門店で!って、なぁに、酒のスーパーやまやなんだがな。

 安酒って言ったって、様々あるからなぁ、10メートル4段の陳列棚の1/5を占める存在感なんだよ。ざっと上げたって、スコッチ系なら、ジョニ赤、ホワイトホース、ティーチャーズ、ベル、カティーサーク、ウィルトンハウス、デュアーズ、・・さらにバーボンあって、アイリッシュあって、カナディアン、それに国産もの多数。お互い肩肘張りつつ競いあう酒たちの中から、本日この1本を選ぶ、この厳粛な儀式は避けて通れない。

 で、今回はカティーサークだ!高い酒ばっか出て来る村上春樹の小説の中で、唯一登場の帆船印だ。樽貯蔵のスモーキーさはほとんどなし、一口目は機械油舐めたような違和感あるんだが、口から喉と通過して行くときにゃ、さわさわと流れ下って行く。へんに押しつけがましい後味がないのがいい。よしっ、正月はお前と一緒に過ごそうぜ。おっ、1000mlの大びんはポイント3倍だってよ!決ぃぃぃめた!

 シュトーレンに入れるナッツやドライフルーツなんかも籠に入れ、レジに差し出す。

 「いらっしゃいませ!」は、いい。「いつもありがとうございます。」って、ええーっ!?えええーっ!!

 あんた俺のこと覚えてるの??ってことは、いつも安酒買いのジイサンってインプットされてるわけ?今日もポイント3倍のお徳用大瓶ですね、って籠の中身品定めしたの?

 いや、そんなことはない。せいぜい2~3週間に1度、顔を出すだけのありきたりの地味ぃぃぃな客だ。見知ってなんかいるわけない。御馴染みさんなんて認知されてるわけがない。きっと、すべてのお客に対して発する慣用表現なんだろう。

 と、思い直しつつも、どうにも居心地が悪い。へぇ、今日も今日とて安酒買いで、すんません、的な卑屈さに視線を落としちまった。な、なんだ!俺は客だぞ、安酒、買って何が悪い。いや、誰も責めてるわけじゃない。見下してるわけじゃない。そりゃ思い過ごしってもんだ。

 もやもやに包囲されつつ、はたと気づいた!そうだ、俺は、俄かウィスキー党員だ!但し書きで安酒が付こうと、堂々宣言して安スコッチに身をゆだねている人間だ。矜持を保ちつつ安酒とともにあることを誓った身だ、金はないけど。下を向いてどうする。しっかり顔を上げろ!胸を張れ!カティーサーク大瓶ポイント3倍増、立派な買い物だぜ。

 さっ、カティーサークチビチビとやりながら、村上春樹「騎士団長殺し」続きを読もうかい。おっと、ここに出て来るのは最高級モルトウィスキーとシーバスリーガルだった。チキショー!

 

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