金峯山寺(吉野町)が所蔵する釈迦如来坐像(高さ83.2cm)と、兵庫県所蔵の天部立像(高さ169.5cm)が、約140年前には同じ場所に安置されていた可能性が高いことが、奈良国立博物館・鈴木喜博・上席研究員(日本彫刻史)の研究でわかった。構造や表現が酷似しており、同じ作者が造ったと見られる。
鈴木上席研究員(彫刻史)は「釈迦如来坐像はかつて吉野山にあった寺の本尊だったと考えられる。セットで作られ、一緒に安置されていたが、天部立像は明治時代初期の廃仏毀釈の時に流出した可能性が高い」としている。
金峯山寺史によると、同寺には廃寺となった周囲の安禅寺や世尊寺などの本尊が安置され、釈迦如来坐像も実城寺の本尊だったとされる。
昨年、天部立像は足元の腐った部分を同博物館の美術院(京都市)が修理した際、釈迦如来坐像に似ていることに鈴木上席研究員が気付き、下記の共通点が見られたことを確認した。
目が切れ長で鼻やあごが小さく、目鼻立ちがよく似ている
撫で肩で背中が反っている
衣のしわの表現が同じ
像の底に木を削る範囲を決めるために描いた墨の線がある
左右にわずかに傾くなどの歪みがある
一本の木からの丸彫り
いずれも平安時代初期作
同館の2体の仏像は5月17日まで、同館本館で展示されている。
[参考:毎日新聞、読売新聞]
鈴木上席研究員(彫刻史)は「釈迦如来坐像はかつて吉野山にあった寺の本尊だったと考えられる。セットで作られ、一緒に安置されていたが、天部立像は明治時代初期の廃仏毀釈の時に流出した可能性が高い」としている。
金峯山寺史によると、同寺には廃寺となった周囲の安禅寺や世尊寺などの本尊が安置され、釈迦如来坐像も実城寺の本尊だったとされる。
昨年、天部立像は足元の腐った部分を同博物館の美術院(京都市)が修理した際、釈迦如来坐像に似ていることに鈴木上席研究員が気付き、下記の共通点が見られたことを確認した。
目が切れ長で鼻やあごが小さく、目鼻立ちがよく似ている
撫で肩で背中が反っている
衣のしわの表現が同じ
像の底に木を削る範囲を決めるために描いた墨の線がある
左右にわずかに傾くなどの歪みがある
一本の木からの丸彫り
いずれも平安時代初期作
同館の2体の仏像は5月17日まで、同館本館で展示されている。
[参考:毎日新聞、読売新聞]