大田市仁摩町の庵寺(あんでら)遺跡1号墳(直径13mの円墳)は、眼下に潮川河口の小平野と日本海を眺望する丘陵頂部に位置し、庵寺遺跡の古墳群の中心的な存在である。今年度の調査で、横穴式石室(長さ5.5m、幅1.4m、残存高1.3m)を内部主体に持つ古墳時代後期(6世紀後半から7世紀初頭)の古墳であることがわかったが、同時にそれ以前に同所に造られていた古墳(埋葬施設は箱式石棺)を一部改変して造成していることも明らかになっている。
新聞報道では、「庵寺遺跡で、8羽の鳥の文様が描かれた中国・前漢時代の青銅鏡「八禽鏡(はっきんきょう)」が出土した。八禽鏡は直径9.6cmの円形で、重さ約200g。紀元前1世紀後半に製作されたとみられる。4世紀のものと推定される石棺の中に、3つの破片に壊れた状態で副葬品として納められていた。・・・」などと、八禽鏡のことしか触れていないが、島根県(教育庁埋蔵文化財調査センター)の報道発表資料を見ると、もともと築造されていた古墳(4世紀代)を1-B号墳、それを一部改変して造成した古墳(6世紀後半から7世紀初頭)を1-A号墳と呼ぶようである。となると、この八禽鏡は1-B号墳(4世紀代)の箱式石棺から出土したものである。
箱式石棺には埋葬された人の頭骨の痕が残っており、その右隅から3つの破片に分かれた(故意に割ったとみられる)鏡が出土した。この鏡は、中国の前漢時代(紀元前206年~紀元後8年)末期に製作されたものらしい。島根県では3面目の出土という。鏡以外には、管玉1点が出土している。
出土した八禽鏡は『新発見!とっとりしまね発掘速報展』(主催:島根県埋蔵文化財調査センターほか)にて公開される。
1月21日(水)~2月15日(日)鳥取県立図書館(鳥取市)
2月21日(土)~3月15日(日)島根県立石見美術館(益田市)
[参考:中国新聞、
島根県教育庁埋蔵文化財調査センター、毎日新聞]
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