今年も英語実音テスト問題の音源CDを借り受け、リスニングテストの分析を実施した。分析ポイントは、前年度問題形式との比較。変更の有無、wpm*の確認である。
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3月1日(木)14時40分、英語学力検査の開始チャイムが鳴る。その数秒後「放送を聞いて答える問題」が始まる。この問題が終わらなければ、他の問題に手をつけることは、実質的に不可能である。
平成30年度入試も、試験は全部で7問、求められる解答数が11である。
問題1から問題3
会話を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一、ヒントのイラスト、地図がついている。
問題4と問題5
それぞれ「ある場面」を説明する英文を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、英文の答えが出ている。
問題6
中学生のEmmaとクラスメートのSatoshiの会話を聞き、内容に関する三つの質問に日本語で解答する記述問題である。
問題7
今年の大きな変更点は、問題7である。指示が英語で読まれるだけなのだ。試験開始で問題冊子を開いた受検生たちは、おどろいたことだと思う。指示は以下の通り。
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使用音源
平成30年度 英語録音CD1枚
計時使用機材
WMPと一般的なCDプレーヤーを使用。
計時はWindows 10のWMPによる。ストップウオッチも使用。
・・・毎年同じ作業である。
分析手順
①語数とセンテンスの数をカウント。
②何度も聞き直し、各英文の時間を計測。
③問題~問題の間のポーズを計測。
④はじめから、「以上で問題は終わりです」までの実時間を計測。
⑤前年の数値と比較。
①から④は手作業(耳作業)である。
・・・ここも昨年と同じである。
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以下、音源CD構成と計時データ
トラック1 音量調整のための放送
試験当日朝に試聴のために用いる。
(試験とは関係ない。)
トラック2 無音
トラック1をかけたままにしていると、注意される。
(間違えて、問題を誤放送させない配慮。)
トラック構成も昨年度と同じである。
トラック3(0:35)
0:00- 「放送を聞いて答える問題」のアナウンス。
トラック4(1:08) 問題1
0:01- 問題1から問題3の解答方法の説明
0:25 問題1放送 1回目
0:37 問題1放送 1回目終了
0:39- 問題1 Question1回目
0:47 問題1放送 2回目
0:59 問題1放送 2回目終了
1:02- 問題1 Question2回目
問題1は、AとBの会話である。A→Bが2回。12秒で話者2、総語数34語である。
このペースで会話が続いたとすると、15秒は1分の20.0%なので、34を0.2で割る。
170wpmとする。(160)
カッコ内は、H.29データである。以下同じ。
トラック5(0:52) 問題2
0:02 問題2放送 1回目
0:18 問題2放送 1回目終了
0:20- 問題2 Question1回目
0:27 問題2放送 2回目
0:43 問題2放送 2回目終了
0:45- 問題2 Question2回目
問題2も、AとBの会話である。A→Bが2回。クラスの生徒がどの季節が一番好きかについて。16秒で話者2、総語数40語。
このペースで会話が続いたとすると、21秒は1分の35.0%なので、57を0.35で割る。
150wpm(163)
トラック6(0:49) 問題3
0:02 問題3放送 1回目
0:15 問題3放送 1回目終了
0:18- 問題3 Question1回目
0:26 問題3放送 2回目
0:39 問題3放送 2回目終了
0:58- 問題3 Question2回目
問題3も、AとBの会話。A→Bの回数も同じ。英語の授業がどの教室で行われるかについて。13秒で話者2、総語数39語。
このペースで会話が続いたとすると、13秒は1分の21.6%なので、39を0.21で割る。
180wpm(145)
トラック7(1:05) 問題4
0:01 問題4と問題5の解答方法の説明
0:22 説明終了
0:25 問題4放送 1回目
0:34 問題4放送 1回目終了
0:37- 問題4 Question1回目
0:45 問題4放送 2回目
0:54 問題4放送 2回目終了
0:57- 問題1 Question2回目
この問題は「ある場面」についての説明文を聞き、それについて解答を求めるものである。9秒で話者1、総語数28語、センテンス数3。
このペースで発話が続いたとすると、9秒は1分の15.0%なので、28を0.15で割る。
187wpm(135)
なお、この問題は聞き取るセンテンスの数が前年度の4から3になっている。
トラック8(0:43) 問題5
0:02 問題5放送 1回目
0:11 問題5放送 1回目終了
0:14- 問題5 Question1回目
0:23 問題5放送 2回目
0:32 問題5放送 2回目終了
0:35- 問題2 Question2回目
問題5も問題4と同じパターン。9秒で話者1、総語数27語、センテンス数4。
このペースで発話が続いたとすると、9秒は1分の15.0%なので、27を0.15で割る。
180wpm(168)
なお、この問題は聞き取るセンテンスの数が前年度の3から4になっている。
トラック9(3:02) 問題6
0:01 問題6の解答方法の説明
0:14 説明終了
0:17 問題6放送 1回目
1:29 問題6放送 1回目終了
1:37 問題6放送 2回目
2:49 問題6放送 2回目終了
問題6は、最初の方にも書いたとおり、留学生のEmmaとSatoshiの会話である。72秒。総語数141語、センテンス数23。会話のやりとりが10回である。Satoshi→Emmaが5回である。
このペースで会話が続いたとすると、72秒は1分の120%なので、141を1.2で割る。
157wpm(148)
なお、トラックの長さは3:02だが、録音は2:55で終わっている。最後の問題までの間10秒弱空白になる。
トラック10(4:21) 問題7
0:01 問題7の解答方法の説明(以下の英語による)
Listen to the speech about the experience of an ALT, Ms. Kean, and choose the best answer from A, B, C and D for questions 1, 2 and 3. Then write your answer. Let's start.
0:17 説明終了
0:20 問題7放送 1回目
1:37 問題7放送 1回目終了
1:40- Question 1
1:52- Question 2
2:05- Question 3
2:16 問題7放送 2回目
3:33 問題7放送 2回目終了
3:36- Question 1
3:49- Question 2
4:02- Question 3
問題7は、ALT Ms Keanのスピーチの内容について答える問題である。77秒で話者1、総語数212語、センテンス数12である。
このペースでスピーチが続いたとすると、77秒は1分の128%なので、212を1.28で割る。
165wpm(159)
なお、問題7(トラック10)の4:12のところで、「放送を聞いて答える問題」の終了が告げられる。午後2時40分の英語試験開始のチャイムから、ここまでが12分半。残り試験時間が37分程度。
リスニングテストの配点は100点満点中28点である。
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WPM比較
Questions | H27 | H28 | H29 | H30 | |||
1 | words | 59 | 44 | 40 | 34 | ||
seconds | 23 | 17 | 15 | 12 | |||
wpm | 164 | 153 | 155 | 160 | 170 | △ | |
2 | words | 41 | 57 | 57 | 40 | ||
seconds | 15 | 20 | 21 | 16 | |||
wpm | 145 | 164 | 171 | 163 | 150 | ▼ | |
3 | words | 50 | 48 | 53 | 39 | ||
seconds | 20 | 18 | 22 | 13 | |||
wpm | 136 | 150 | 160 | 145 | 180 | △ | |
4 | words | 26 | 50 | 27 | 28 | ||
seconds | 10 | 17 | 12 | 9 | |||
wpm | 161 | 156 | 176 | 135 | 187 | △ | |
5 | words | 32 | 32 | 28 | 27 | ||
seconds | 12 | 12 | 10 | 9 | |||
wpm | 151 | 160 | 160 | 168 | 180 | △ | |
6 | words | 158 | 158 | 141 | 188 | ||
sentences | 26 | 30 | 25 | 23 | |||
seconds | 60 | 64 | 57 | 72 | |||
wpm | 155 | 158 | 148 | 148 | 157 | △ | |
7 | words | 175 | 195 | 209 | 212 | ||
sentences | 19 | 18 | 18 | 12 | |||
seconds | 72 | 80 | 79 | 77 | |||
wpm | 153 | 145 | 146 | 159 | 165 | △ |
words:語数
sentences:文の数
seconds:英語の流れた時間(単位:秒)
wpm:1分間でどのくらいの語数を聞き取ることになるか。
は、平成24年度~平成26年度3年間の平均値である。
は、平成29年度との比較。△は数値が増加したもの、▼はその逆である。
平成29年度との比較は以下の通り。
問題1:難化
問題2:易化
問題3:難化
問題4: 〃
問題5: 〃
問題6: 〃
問題7: 〃
大幅な難化である。
問題7の説明文(指示文)は39語16秒で読み上げている。計算すると166wpmなので、問題文とほぼ同じになる。説明文と問題放送の間に3秒ほど空きがある。
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試験当日も感じたことだが、全体的にwpmが増したように聞こえた。数字を比較してみても、聞き間違えではなかったようだ。
問題6はまず単語数が多いことが上げられる。それに加え問題文の放送時間が72秒とかなり長い。これら二つへの対応はかなり厳しいと思う。
問題7はセンテンス数が少ないことが目立つ。一文一文が長いことになる。
「平成30年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施状況」(平成30年4月掲載)によれば、学力検査の得点は平均は以下のとおりである。
5 平成30年度埼玉県公立高等学校入学者選抜学力検査結果(全日制の課程)
受検者平均点【第9表】より
\ | 学力検査問題 | 学校選択問題 | |||||
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 数学 | 英語 | |
H.30 | 52.8 | 55.9 | 44 | 51.7 | 55.9 | 43.7 | 58.9 |
44,362 | 44,362 | 34,560 | 44,362 | 34,560 | 9,802 | 9,802 | |
H.29 | 53.3 | 60.6 | 44.4 | 48.5 | 52 | 43.2 | 71.9 |
46,455 | 46,455 | 36,513 | 46,455 | 36,513 | 9,942 | 9,942 |
年度ごと、上段が平均点、下段が受検者数である。
平成30年度は学力検査問題と学校選択問題の数学、英語の問題で前年度のような目立つ得点の差異はないと言える。
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なお、問題、正答、データ分析は、埼玉県総合教育センターウェブサイトで公開されている。
http://www.center.spec.ed.jp/ (新しいウインドで開きます。)
(メニューの「入試情報・説明会案内」から)
・平成28年度~平成30度の問題を公開中である。
今年も分析をするために、東京新聞ウェブサイトの『首都圏公立高校入試特集ページ』を参考にした。問題を見るのならば、このサイトを利用するといい。関東地方の公立高校入試問題を、PDFでアップロードしている非常によくできたサイトである。毎年使わせてもらっている。特記する。
アドレスはこちら。(新しいウインドで開きます。)
http://www.tokyo-np.co.jp/k-shiken/index.html
昨年のエントリはこちらです。
2017-08-14
「平成29年度埼玉県公立高等学校入試 英語リスニングテスト分析」
*このエントリにおけるwpmの出し方(考え方)については、以下を参照されたい。
2010-03-11
「wpm」