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信長への愛憎入り乱れた感情を抱きながら、ついに信長の ”首” を獲る決意を固めた光秀。一方、秀吉は家康を巻き込みながら天下取りのために奔走する。武将たちの野望、芸人と百姓の野望、それぞれの野望が ”本能寺” に向かって動き出す。果たして、この “首” の価値は如何に? |
誰もが知るとまでは言わないが、戦国のものがたりの題材として一二をあらそうテーマ・本能寺の変。北野監督が自ら羽柴秀吉として出演、ものがたりをすすめていく。
同監督作品は「座頭市」(’03年)以来。彼独特の暴力描写、画面のトーンも楽しみにしていた。公開から1ヶ月、なかなか日程がとれず、12月23日(土)に鑑賞に出向けた。
冒頭
YouTubeでも一部公開。死者の描写が話題になったが、いかにも北野監督作品だと思う。
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登場人物たち
織田信長
・尾張ことば(尾張弁)で話す。
・かなり狂気に満ちている。わがままである。
明智光秀
・能吏である。
・天下を窺っている。
羽柴秀吉
・超現実主義者。自分のためならば周りはかまわない。
・信じているのは弟の秀長と黒田官兵衛のみ。
かなり極端な設定。でも、ありそうな人物設定である。
みんな悪人顔である。
戦国時代をあつかう大河ドラマならば主役クラスの人物(家康、黒田官兵衛、直江兼続)も出てくるが、信長光秀秀吉3人の関係性が中心に描かれている...ように見えた。
曽呂利新左衛門、アフリカ出身で信長の近習・弥助が予想以上に目についた。
織田信長といえば濃姫、お市の方...
明智光秀は出てくるが、煕子、珠...
羽柴秀吉といえば寧々。浅井三姉妹...
・・・出てこない。
男ばかりの登場人物が、天下を目指して殺し合う、兵に殺しあいをさせる。
・・・”戦う” は違う感じだ。
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首への執着
ややネタバレになるが、山﨑の合戦後の光秀の首実検の際、秀吉は非常に現実主義的なところを見せる。
・・・本音だな、そんなものかもしれないなと思えた。
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北野監督の覚悟
場面場面での首の描写、戦(いくさ)の様子、衆道... 北野監督は「首」が地上波TV他で放送される気がない。そんな前提で撮影したように見える。
「戦なき世を...」は、令和5年の大河ドラマのテーマだが、「斬れば血が出る」「(ちゃんと)人が死ぬ」は、現在は映画でしか描けないのかも知れない。「《万人受け》はいらない。これからもオイラはこんな映画を撮るんだッ」という彼の宣言のように思えた。