先日の旅セミナーでは関空でもLCCの活発な営業状況がレポートされ出席者の注目を集めていたが、もう一つ話題になったトピックが、
「最近の若者は~~~~旅行に行かん」
というものなのであった。
「なんで、旅行に行かんのでしょうか?」
という質問には簡潔な答えが戻ってきた。
「携帯電話ですよ。なんでもかんでも携帯使うから旅に回せる小遣いがない」
なんということであろうか。
電車の中や教室やオフィスやそこらかしこで携帯片手にネットサーフィン、Eメールに熱中している若者は旅には無関心なのだ。
可愛い子どもには旅させろ、と昔から言うが現実は親が与えた小遣いは大部分が携帯電話に消え去っているのだ。
そもそも大学生はもちろんだが、高校生でもスマホの料金を月々何千円も支払っていると、その他のものに回す予算は出てこないのが当然で、そういう子供が世間を何も知らずアホになっていくことも宜なるかなであろう。
そんな時代。
若者に旅をさせるにはどうすれば良いのだろうか。
きっとJTBや近ツーあたりが最も知りたい問題かもしれない。
そもそも、私が子供の頃から大学生にかけての時代、つまり1970年代80年代はテレビでも旅行を題材にした番組は少なくなかった。
海外旅行が珍しい時代には、
「さあ、10問正解してハワイへいきましょう」
というような番組が脚光を浴びていて、憧れのハワイへ行きたいもんだとだれもが思ったものであった。
紀行番組も優れものが多く、オーソドックスな「兼高かおる世界の旅」から、マニアックな「NHKシルクロード」まで様々、
クイズ番組も「なるほど・ザ・ワールド」「世界まるごとハウマッチ?」など、海外に憧れるような気持ちを抱かせるものが少なくなかった。
一方、現在。
テレビ番組なんか、そもそも見なくなってしまった。
紀行番組もNHKのBSで放送、なんていうかなりマニアックなチャンネルでしか見られなくなってきている。
国内旅行を呼び起こす「寅さんシリーズ」も無くなって久しい。
頼みの綱は大河ドラマや朝ドラだが、そんなものをいつまでも観光材料にしていると、その町が「古臭い所や」とせっかくの番組が敬遠される材料になってしかねないのだ。
頼みの綱は読書かもしれないが、読書の方はテレビよりも深刻で、そもそも今の若者は紙に印刷されている活字に触れる人は、かなり少ないのは言うまでもない。
それでも、書籍には優れた旅物が少なくなく、私としては以下の書籍に刺激されて旅を楽しんで貰いたいと思っている。
■当ブログ推薦の紀行もの書籍のメリットとデメリット
1:「深夜特急」全巻(沢木耕太郎著)
メリット=いまさら言うまでもない海外バックパッカーの聖書的作品。乗合バスでデリーからロンドンまでの企画は今ではテロや紛争が頻発している地域を通るため実現不可能な旅になっている。しかしながら20代の若者がたっぷりの時間を使って世界を見て回るきっかけになるには十分すぎる作品だ。
デメリット=この紀行をホントに真似て良好し、行方不明になってしまう危険性が潜んでいると同時に、本当に行方不明になった人もいるみたいだ。
2:「チベット潜入記」(河口慧海著)
メリット=チベットへ初めて入った日本人としてのその勇気と僧侶としての視点は素晴らしいものがあり、しかも中国に侵略される前のチベットを紹介した数少ない書籍として貴重でもある。
デメリット=真似をすると深夜特急同様、行方不明になったり、中国公安に捕まって共産党の教育施設に入れられる可能性がある。
3:「脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち」(スラヴォミール・ラウイッツ著)
メリット:ロシアのラーゲリの怖さを知ることができる。
デメリット:真似したらシベリアのツンドラ地帯で凍死するか、ゴビ砂漠で熱射病死するか、ヒマラヤで雪男に襲われる可能性がある。
4:「エディアランス号漂流」(アーネスト・シャクルトン著)
メリット:危機に瀕した男たちの立ち向かう勇気を学べ、ひとつの生き方を見出すことができる。
デメリット:金にもならない冒険家を夢見るようになり、大学卒業後親の反対を押し切って就職せずに土方のアルバイトをしながら秘境を目指すフリーターになる可能性がある。
5:「東南アジア四次元日記」(宮田珠己著)
メリット:素直に旅は楽しいもの、と思えるようになる。
デメリット:真面目なことで茶化して面白いものと思うようになり、素直な旅ができなくなること。
ということで、若者よ!旅に出よ!