<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地





「当機ではANA SKY LIVE TVのサービスを行っております」
と機内アナウンスが流れた。

早朝の大阪空港。
まもなく出発する東北の福島に向かうB737の中で私はアナウンスを聞いた。
「なんやろか?」
飛行機のアナウンスというのは聞き取りやすいようで聞き取りにくい。
とりわき聞いたこともないようなサービスである場合、理解するのに時間がかかることがある。
私の頭がボケているわけではないので誤解のないように。
まさにこの時がそうであった。

「当機はお持ちのスマートフォンで音楽やテレビを見ることができます」
とアナウンスは続いた。
「お〜〜〜、ついに機内で映像配信が開始されたぁ!」
と私は感動した。
ついこの間まで、飛行機といえば電子デバイスの使用を禁止していた。
離陸や着陸、飛行中を含めて飛行機の中で電話をしたりカメラで写真を撮影したら墜落するかも分からない、と私たちは脅されていたのだ。
それが2年ほど前から離着陸でもデジタルカメラの使用が可能になった。
電波を発信する携帯電話は今も使えない。
その厳しいレギュレーションの中でスマホのための映像配信が開始されたのだという。
感動しないほうがおかしい。

しかし感動したのも束の間。
どうやったらそのサービスに接続できるのかさっぱりわからない。
私は自分のiPhoneをあっちっこちひねくり回してはWifi接続を確認したり、アプリが必要なのかとアップストアに接続し「ANA」と入力したものの出てきたのは私の持っている予約アプリかその関連かだった。
やがて飛行機は扉が閉まり、いつものように、
「携帯電話は電波の発信できない状態に設定するか、電源をオフにしてください」
アナウンスが流れた。
なんのことはない。
いつもと同じなのであった。

離陸してから座席前のポケットに「ANA SKY LIVE TV」という二つ折りのパンフレットが入っているのに気づいた。
私は機内誌「翼の王国」の最後のページのほうばかりパラパラめくっていたのだが、新サービスは載っていなかった。
新サービスが専用のパンフレットに記載されていたのであった。

「な〜〜んだ」

で、よくよく読んでみるとこのサービス。
出発時の「ドアが閉まる前」と到着後の「ドアが開いてから」しか使えないことが分かった。
それってなに?
という感じだ。

つまりほとんど見る時間も聴く時間もないANA SKY LIVE TVなのであった。

無意味だ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )