柿プリンの幟を出しているカフェは築250年の古民家を市が買い取り交流施設としてリノベーションしたものだという。
中へ入ると右手にカフェのカウンターがあり左手奥に続くうなぎの寝床状の土間はテーブル席。
壁隔てて土間の右側は広い上がり框になって広い板の間だ。
「ここで色々なイベントがあるんですよ」
とカフェの人が教えてくれた。
広さはちょっとした集会所ほどもあり奥に小庭が見えている。
絵画展や写真展のようなアートイベントやセミナーなどが開催されるという。
板間への上がり框の横に本棚がありそこには多くの絵本を始めとする児童本が並んでいた。
そこは川村たかしという人のコーナーになっていた。
川村たかしといっても名古屋市長ではない。
あっちは河村、こっちは川村なのである。
川村たかしは昭和に活躍した児童文学作家で私は不勉強でよく知らなかったのだが遠く全国からファンが訪れてくるような人気作家さんなのだそうだ。
この人はここ五條に生まれ、県立五條高校を卒業後国立奈良教育大学へ進学、その後多くの作品を生み出したのだという。
そういえば「新十津川物語」という題名はどこかで聞いたことがあると思った。
すでに故人になっているのだがこの街の一つの文化的シンボルな人でもあるようだった。
ちなみに漫画家の楳図かずお同じ高校の卒業生である。
カフェの中を色々と探索した後、私とカミさん、長い土間に設置されているテーブルの一つに腰をおろした。
そして熟考思案大議論のうえ「柿プリン」「柿パフェ」「ホットコーヒー」を注文した。
なんといっても柿プリンを食べてみたい。
でもメニューで柿パフェなるものも見つけてしまったため柿パフェも食べたくなるという事態に至ったのだ。
そこで二人して散々悩んだあげく少々贅沢ではあるがどちらも注文することにしたのだった。
期待に胸を膨らませながら待つこと数分。
運ばれてきた柿プリンと柿パフェはコーヒーの存在を忘れてしまうほど感動してしまう見栄えと味なのであった。
つづく