寒い日々が続くと晩酌が楽しみになる。
以前、函館を訪れた時に立ち寄ったラーメン屋さんでそこの女将さんと「寒さ」について話をしたことがある。
女将さんによると「函館よりも大阪のほうが寒いですよね」ということだったが、なかなか実感がわかなかった。
北海道の方が断然体感的に寒いと確信していたのだ。
ところが昨日、おとといの寒さを考えると、やはり寒い時の大阪の凍えるような体感温度はなるほど、雪が降りしきる北海道よりももしかした寒のかも知れないと思えるのであった。
函館にいたその日は真冬で雪が降り積もり函館空港を離発着する空の便は欠航。
函館市内見物も箱館山はロープーウェイが運休だったたし、歩いて登るには吹雪になっていて下手をすると八甲田死の行軍になりかねないので、市内を路面電車に乗ってブラブラするしかなかった。
でも、今思い出してみてもそれだけ雪が降ってもメチャクチャ寒いという感じはまったくなかった。
降り積もった新雪をミシミシと踏みしめながら五稜郭の中さえ歩いて見学したものだった。
もしかすると、その時に小さな居酒屋さんで北海道の地酒と小鍋を食べて心と身体が暖かくなったからかも知れないし、ホットビールなる変わりビールを飲んだことも暖かなイメージとして残ることになった原因かもわからない。
なんといってもビールを燗にして飲むなんて発想はそれまでなかったのだから。
燗をするというとやはり日本酒。
最近日本酒人気が丁重で、酒造メーカーはどこもかしこも販売に苦戦しているという。
それと比べると焼酎は善戦していて、居酒屋さんへ行っても清酒よりも焼酎のほうが種類が豊富だったりして私はちょっとがっかりすることがある。
焼酎が嫌い、というわけではなく、日本酒の方がいざというときは食べ物の味を引き出してくれるような気がするのだ。
この嫌いというわけではない焼酎が、最近かなり口に合わなくなってしまって困っている。
きっかけは「燗にした焼酎」を飲んでしまったからであった。
昨年の暮。
忘年会で京都四条河原町にある小さな居酒屋さんで忘年会があった。
京都での飲み会は趣があるようで、無いようで。
しょせんは会社の飲み会なので、場所なんか河原町でも出町柳でも鞍馬でもどこでもいいのだが、この居酒屋さん。何を慌てたのか日本酒の熱燗を注文したら徳利に焼酎を入れ間違えて燗にして持ってきたのが。
運悪くそれを最初に飲んだのが私だった。
「うぇ!これ、焼酎ですやん。焼酎の熱燗なんか、飲まれへんちゅうに」
と指摘する私に、横浜出身の上司が、
「酔っ払いが、何いってんだよ。」
と信じない。
で、再度飲んでみるけれどもやっぱり焼酎。
「飲んでみてくださいって。これ、芋焼酎の熱燗ですよ!」
匂いと独特のアルコールの熱気に気分が悪くなったのは言うまでもない。
考えてみると蒸留酒は燗に向かない。
ビールを燗にして飲めたのは蒸留酒ではないからで、ビールを蒸留したウィスキーの燗、というのももしかあれば飲めたシロモノではないに違いない。
ということで、寒い毎日が続いているが、土佐鶴か司牡丹の辛口のやつで、グイッといきたいと思っている、今日この頃の私なのだ。
| Trackback ( 0 )
|