鎧も盾も、
神無月十九日、秋の麒麟草― alert
枯草かさこそ、風が鳴る。
風だろうか?
「…、」
風の匂いは乾いている、かすかに甘い黄葉の香。
秋の森ただ樹木は香る、それでも枯草かさこそ近い。
―獣臭くはないな?クマとか鹿にしちゃあ音が軽いし、
かさこそ枯草ゆらす音、重たくはない軽い響き。
なにか動物があるくのだろう、鳥だろうか?
―でも鳥がこんなずっと歩くかな?
考えながら森が香る、甘辛い頭上は桂の梢が黄色い。
この匂いに昔の人は団子屋の幻を見たろうか?
―みたらしっぽいもんなあ、って、まだ音ついてきてないか?
登山靴ゆく秋の道、黄色に草紅葉やわらかい。
頭上おだやかに青い空と黄葉しげる、その背後かさこそ続く。
ちいさな軽い踏み音なにか可愛くて、知りたくなって振りむいた。
「…お?」
枯草の道、黄色い細い尾がゆれる。
よく知っている尻尾、けれど今ここでは意外で瞬いた。
「あ…みたらしと桂の匂いみたいな?」
幻だろうか、あの尻尾?
不思議で見つめる中心かさこそ黄色ゆれて、足もとに鳴いた。
「みゃぁ、」
幻じゃないな?
「おいおい…なんでこんなとこにいるんだよ?」
しゃがみこんだ手もと、黄色ふわふわ指ふれる。
黄色やわらかな大きな耳、見あげてくる青い瞳に笑った。
「母ちゃんとはぐれたのか?こんな山の中で生きてけないだろ、おまえだけで飯どーすんだよ?」
笑いかけた手ふわふわ、可愛い頭すりつけてくる。
掌ふれる頭やわらかで小さくて、ため息ひとつネックゲイター外した。
「一緒に帰るか、ちびすけ?」
笑いかけて小さな毛玉、くるりネックゲイター包みこむ。
抱きあげて青い瞳くるり、丸く自分が映った。
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10月19日誕生花アキノキリンソウ
神無月十九日、秋の麒麟草― alert
枯草かさこそ、風が鳴る。
風だろうか?
「…、」
風の匂いは乾いている、かすかに甘い黄葉の香。
秋の森ただ樹木は香る、それでも枯草かさこそ近い。
―獣臭くはないな?クマとか鹿にしちゃあ音が軽いし、
かさこそ枯草ゆらす音、重たくはない軽い響き。
なにか動物があるくのだろう、鳥だろうか?
―でも鳥がこんなずっと歩くかな?
考えながら森が香る、甘辛い頭上は桂の梢が黄色い。
この匂いに昔の人は団子屋の幻を見たろうか?
―みたらしっぽいもんなあ、って、まだ音ついてきてないか?
登山靴ゆく秋の道、黄色に草紅葉やわらかい。
頭上おだやかに青い空と黄葉しげる、その背後かさこそ続く。
ちいさな軽い踏み音なにか可愛くて、知りたくなって振りむいた。
「…お?」
枯草の道、黄色い細い尾がゆれる。
よく知っている尻尾、けれど今ここでは意外で瞬いた。
「あ…みたらしと桂の匂いみたいな?」
幻だろうか、あの尻尾?
不思議で見つめる中心かさこそ黄色ゆれて、足もとに鳴いた。
「みゃぁ、」
幻じゃないな?
「おいおい…なんでこんなとこにいるんだよ?」
しゃがみこんだ手もと、黄色ふわふわ指ふれる。
黄色やわらかな大きな耳、見あげてくる青い瞳に笑った。
「母ちゃんとはぐれたのか?こんな山の中で生きてけないだろ、おまえだけで飯どーすんだよ?」
笑いかけた手ふわふわ、可愛い頭すりつけてくる。
掌ふれる頭やわらかで小さくて、ため息ひとつネックゲイター外した。
「一緒に帰るか、ちびすけ?」
笑いかけて小さな毛玉、くるりネックゲイター包みこむ。
抱きあげて青い瞳くるり、丸く自分が映った。
秋の麒麟草:アキノキリンソウ、花言葉「警戒、要注意、用心」
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