萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:雨明の森

2015-04-23 14:56:12 | 写真:山岳点景
雨後、朝陽に澄む



山岳点景:雨明の森

雨あがりの朝、森は大気から澄みます。



梢の水滴が朝陽を反射、その光が新緑あざやかです。
足元でも実生から育つ桜も雫のなか、やわらかな若葉に惹きます。



スプリング・エフェメラル、春限定の山野草たちも夜の雨に潤います。
宝鐸草、ホウチャクソウの俯いた花も雫ふくんで芳香ゆたかです。



早いと三月末から咲く碇草、イカリソウも雫まとっていました。



山吹草にて、ちいさな虫が水滴を飲んでいます。
キリギリスの成長前でしょうか、のどかな貌がかわいくて載せてみました、笑



雨あがりの森はその瞬間ならではの光がきれい、で、朝から行きました。
春だけの山野草スプリング・エフェメラルたちの時季は短くて、なおさら見に行きたくなります。

そして頭上も若葉あざやかな梢がきれいです。



なんて写真を撮ってしまう今の時季です、休憩あいまの気分転換UPしてみました、笑

第77回 昔書いたブログも読んで欲しいブログトーナメント - その他ブログ村
第77回 昔書いたブログも読んで欲しいブログトーナメント

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:花、止まる空

2015-04-22 00:05:06 | 写真:山岳点景
夕花の空



山岳点景:花、止まる空

夕暮時、花あふれる梢に視線も時も止まります。
八重桜は染井吉野が終わって花盛り、春闌ける長閑×寂寥なつかしいカンジです、笑



去年の春に↓
第89回 1年以上前に書いたブログブログトーナメント - その他ブログ村
第89回 1年以上前に書いたブログブログトーナメント

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:雲わたる

2015-04-21 01:36:00 | 写真:山岳点景
凍える花月



山岳点景:雲わたる

週末、本栖湖@山梨県にて。
雲ながれゆく墨彩の瞬間、気温は6度を下回っていました。
それでも咲いた桜たちは淡彩の風光に彩やわらかに春告げます。



第86回 1年以上前に書いたブログブログトーナメント - 旅行ブログ村
第86回 1年以上前に書いたブログブログトーナメント

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第83話 辞世 act.5-another,side story「陽はまた昇る」

2015-04-20 22:00:00 | 陽はまた昇るanother,side story
別離の瞳
周太24歳3月



第83話 辞世 act.5-another,side story「陽はまた昇る」

ねえ君、なぜ今日は付いてきたの?

―いつもの美代さんなら、青木先生と賢弥に気を遣って残るのに?

小雪ふる街路樹の道すこし途惑わされる、だってこんなこと珍しい。
美代が恩師と仲間を置いても付いてきた、いつもと違う今に周太は笑いかけた。

「美代さん、雪のなか見送りさせてごめんね?せっかく温まったとこだったのに、」

雪舞うキャンパスの不合格宣告、あの冷たさから温めたくていつもの店に座った。
いつもどおり主人の笑顔と料理に温められて、恩師も仲間もいて、そんな安息地を後にした友達は微笑んだ。

「ううん、湯原くんといるのが今は温かいの。だから見送らせてね?」

ほら、優しいんだ。

だって今ほんとうに温もりほしいのは自分、こんなふう言わないでも通じあう。
けれど行先は何ひとつ気づかないでほしい、それでも受けとめてくれる友達に笑いかけた。

「僕も美代さんといるのあったかい気持ちになるよ、ありがとう、」
「でしょ?だからいいの、一緒に歩こ?」

いつもどおり朗らかな声、きれいな明るい瞳も笑ってくれる。
でもなにか泣きそうに見えて、気懸りでまぜっかえしに笑った。

「だけど五目そば延びちゃうよ?おやじさん海老をいっぱい載せてくれたのに、海老そばかなってくらい、」

きっと美代の好物だと憶えているのだろう?
そんな優しい店主を想いながら笑って、けれど彼女の明眸まっすぐ見あげた。

「湯原くん、いかないで?」

今、なんて言ったの?

「え…?」

行かないで、なんて君が言うなんて?

―どうして美代さん?

仕事で呼び出された、そう言ってある。
こんな時いつも笑って送りだしてくれる人、けれど今ひきとめた?

「いかないで湯原くん、具合悪いって先輩に嘘吐いて?私が電話してもいいから、病院にいるって私が言ってあげる、ね?」

行かないで、嘘吐いて?

こんなこと君が言うなんて信じられない、どうしたのだろう?
こんなふう仕事を粗末にする女性じゃない、こんな嘘を吐けるひとじゃないのに?

「どうしたの美代さん、仕事ならいつもは仕方ないって、」
「いつもはいいのっ、」

見つめて言って、その手がダッフルコートの袖を捉まえる。
捉まえてくれる手は小さくて華奢で、けれど少し節くれた指に微笑んだ。

「美代さん?どうしたの、いつも仕事がんばってって言うのに…後期試験が不安なの?」

今日、前期試験の不合格を見たばかり。
だから不安定であたりまえ、だから気が済むまで今日は一緒にいてあげたかった。
けれど電話ひとつ呼び出されて行かなくてはいけない、そのはざま紅桃色のマフラーひるがえり抱きついた。

「ちがうけど不安なのっ、お願い行かないで湯原くん!」

お願い行かないで。

そう言われたら自分こそ崩れそうになる、だって君が言うなんて?
しかも抱きついてくれている、こんなこと驚かされてしまう、だってなぜ?

「どうしたの美代さん、僕は大丈夫だよ?」

笑いかけた唇そっと黒髪ふれて、ほら、気づかされる。
こんなにも君は僕より体が小さかったんだ?

―話してると気づかないけど美代さん、こんなに華奢なんだ…ね、

いつも笑顔おおらかな空気、それが彼女を大きく見せている。
だから気づかなかった身長差に鼓動そっと絞められる、その華奢な温もりが泣いた。

「お願い、行かないで…わかんないけど行っちゃダメよっ、行かないでお願い、」

行かないで、って自分こそ言いたかった言葉だ?

―お父さんに僕、こんなふうに引留めたかったんだ…ね、

ほら今も春、雪舞うけれど3月の半ば過ぎて一ヶ月ない。
もうじき父の最期の日がやってくる、あの時と今重なるまま澄んだ瞳が泣いてしまう。

「湯原くん行かないで、お仕事って解かってるけど、でも行かないで?ぜったいダメ…だめよっ、」

ああ、今、気がついた。きっと僕は君の涙が弱点だ?

「美代さん、泣かないで…だいじょうぶだから、」

泣かないで、お願いだから泣かないで。

君に泣かれると動けなくなる、だって今もう足が止められた。
抱きつくベージュのコートの背そっと撫でて、その色に幼い日を見て笑った。

「美代さんのコートね、昔お母さんが着ていたのに似てるよ?きれいな優しいベージュ、」

笑いかける記憶が温かい、そのままに君の体温が愛しくなる。
あのころ幸せだった自分、それは何も知らなかったせいだと今なら解かる。

「僕ね、そのコート好きだったんだ…小十郎の毛並みと色が似てて、やわらかで優しくて。空色のマフラーも小十郎のリボンと同じで、」

唇つむいでしまう記憶が沁みてくる、ほら、瞳の深く温かい。
こんなとき思いだしてしまうなんて、きっと君が言う通りかもしれない?

「ほら湯原くん、お母さんに逢いたくなったでしょう?だからっ…このまま川崎のお家へ行こ?一緒に行くから、ね…っ」

ほら、なんて言うのは君はきっと解かっている。

―僕すら解からないのに、でも気づいてくれてるのかな…僕がどこに行くのか、

このあと自分が行く先は、まだ知らされていないけれどもう解かる。
だって知らされていないのは「秘密」そして「危険」だからだと今もう解かってしまう。

“続いてのニュースです、先月に起きた…の容疑者が逮捕されました、否認するも……季節の便りです、新宿御苑の梅が咲きはじめました”

ほら2月のニュースなぜだか思い出す、これが行先の予告だろうか?
さっき電車でもラーメン屋でも流れたニュースの事件、あの3つ全てが予告かもしれない?

“1月に起きた…の容疑者…が起訴されました、”
“1月に…で起きた強盗殺人の容疑者が起訴されました、本人は否認するも…また余罪の可能性が”

ほら言葉きちんと思いだす、あの全ては自分に無縁じゃない。

―SATが出なかった事件だ、でも似てる、

強盗殺人、容疑者、余罪、それは14年前と変わらない。
唯ひとつ「否認」が違う、そこにある差異を見つめながら大好きな友達を抱きしめた。

「美代さん、後期の試験が終わったら一緒に帰ってくれる?」

約束ひとつ、君に贈らせて?

今もう行かなくてはいけない、けれど一緒に帰りたいのは自分のほうだ。
だから今ひとつ約束を贈らせてほしい、そして自分にどうか餞ひとつ贈って?

「僕ね、今いきなり仕事になったでしょ?きっと三日後は振替の休みになるから…試験の終わる頃キャンパスへ迎えに行くよ?」

ごめんね?三日後に行けるか本当は解らない、だって死ぬかもしれない。

「田嶋先生の研究室で待ってるね、僕ちょうど翻訳のお手伝いに行くんだ、だから試験が終ったら一緒に川崎へ帰ろう?母も喜ぶから、」

この約束ほんとうに叶ったらいいのに?

大学で父の旧友を手伝って、それから友達と待合せて実家に帰る。
きっと母も喜んで一緒に夕食を摂るだろう、こんな約束ほんとうに他愛ない。
他愛ないからこそ今どうしても欲しくて堪らなくて、そんな願いの真中きれいな瞳が見あげた。

「ほんと?…試験お迎えに来てくれるの?」
「うん、迎えに行くよ?指きりげんまんしてもいいよ、」

笑いかけて涙の瞳に自分が映る。
きれいな澄んだ瞳で自分は幸せそうで、やさしい睫ゆるやかに瞬きうなずいた。

「ん…湯原くんは約束きっと守るものね?」
「うん、きっと守るよ?だから今日は賢弥に試験勉強しっかり見てもらって?」

笑って腕ゆっくりほどいて、華奢なベージュの肩すこし離れてしまう。
この肩また抱きしめること出来るだろうか?そのときは合格を喜ぶ涙を見つめたい。

―どうか美代さん夢を叶えて、だって僕の夢でもあるんだ、

東京大学、父と祖母が学び祖父が教鞭とった場所。
あの場所に自分も学んでいたかった、いつか祖父のよう誰かに伝えたいとすら願う。
けれど今もう遠くなるのかもしれない、それでも繋いでくれる大切な手に指そっと絡めた。

「指切りげんまん、きっと美代さん合格しますように…約束だよ?」

願い笑いかけて指切りする、ほら君がもう笑う。
この笑顔ずっと心抱いていたい、そんな願いごと笑って離れた。



(to be continued)

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:桜山、八重垣こもる

2015-04-19 00:08:07 | 写真:山岳点景
花の山



山岳点景:桜山、八重垣こもる

八重桜の山を歩きました。
幾種類の花さまざまな空間に毎春つい見に行きます、笑



桜は最も品種が揃っていた江戸期は「浅葱」という水色一重咲きもありました。
赤、黒、白、黄色、青と五色を基本としていたそうです、で、下の黄緑は「御衣黄」で花色が変化します。



黄緑→黄色→薄紅ぼかし
三色に変化する八重桜ですが、紅ふくんだ黄色を禁色=天皇だけが使う黄色になぞらえ「御衣黄」と名付けられたんだとか。



花色だけではなく形も様々です。
下は「気多小菊」菊と似た小ぶりの花がいっぱいに咲きます。



春麗らか、そんな山歩きの今日でした、笑

桜が一番ブログトーナメント




にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:森の蓮台

2015-04-17 23:30:00 | 写真:山岳点景
緑草叢一白



山岳点景:森の蓮台

山芍薬、三日だけ咲く晩春の花です。
純白に蕊の紅色が映えます、この花は惹かれます、笑



第65回 過去記事で参加ブログトーナメント - その他ブログ村
第65回 過去記事で参加ブログトーナメント
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚357

2015-04-16 10:43:06 | 雑談寓話
平穏無事の日常すぎながら御曹司クンから連絡はこなくなっていた、
接触がなくなれば思い出すことも減っていく、
そんな当たり前をなにげなく秋になり、
で、ある日に花サンの話を聴いた、

From:花サン
本文:おつかれさまー、週末ご予定いかがですか?紅葉が良い時期です(顔文字笑顔)

Re:小田代が原?笑

Re2:あたり(顔文字笑顔)いかがでしょう?

Re3:土曜朝4時半出発でいいなら、笑

Re4:お迎えよろしくお願いいたします!(顔文字平伏)

なんてメール往還して、
で、奥日光@週末は決まり当日の朝4時起きで、

眠いなー、

想いながらも楽しみで頭は冴えて、
迎えにいった花サン宅前、花サンとその母は待っていてくれた、

「いつもありがとうねーまた花がワガママ言ったみたいで御免なさいねー」

「自分も行きたいので歓迎ですよ?笑」

「もーホントいつも優しいんら。ホントねえ?」

と、笑顔で花母は言い、で言った、

「ホントにもう、トモさんならおばちゃんも心配ないんだけど、」

あれ?って思った。



出先ですけど少し書いたのでUPします、
コレや小説ほか楽しんでもらえてたらコメント&バナーお願いします、

取り急ぎ、



にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚356

2015-04-15 08:00:04 | 雑談寓話
「でも私だってホントに彼と結婚したいのかは解んない、」

「前はね、城戸さんのコトすごい話題にしてたんだよ?それが結婚については無反応って怪しいじゃない、自白されてるようなもんだよ、」

なんて会話を花サンとしたその後、
仕事もプライベートもなにげなく忙しく充実して、
それなり忙しかったから御曹司クンのコトもそれなりとり紛れていた、
友達とのメールその他も相変わらずで、

From:ハル
本文:やっと3日ぶりに帰宅できた、ほんまブラックです(顔文字大変)

Re:おつかれさま、ゴハンちゃんと食べてる?

Re2:いま久しぶりの温かいゴハンです(顔文字泣顔)

Re3:今度おいしいもの食べいこうな、落ち着いたら声かけて?笑

Re4:来週は落ち着く思うー楽しみにしてます(顔文字笑顔)


From:歯医者
本文:教えてくれた本、あと1/3くらいだよ。おもしろくて寝不足注意で読んでる。

Re:変なとこ削るなよ、笑

Re2:それは厳禁、笑


From:小林
本文:久しぶりに帰国するよ、ドライブ→土産わたしがてら先生と飲みでどう?

Re:変な土産はいらん、この間のとか、笑

Re:ええーあれけっこう高いのに(顔文字泣)

Re2:泣き落としいらん、悪趣味やろーめ、笑

なんてメール往還あいかわらずで、
そんな感じに平穏無事の日常はすぎながら、御曹司クンから連絡はこなくなっていた、

このまま縁遠くなるのかな?

と、たまーに思い出すたび幸せになってほしいなと願っていた、
いろいろ困ったヤツな御曹司クン、だからこそ普通にちゃんと幸せになってほしい、

で、ある日に花サンの話を聴いた、


出先ですけど少し書いたのでUPします、
コレや小説ほか楽しんでもらえてたらコメント&バナーお願いします、

取り急ぎ、



第74回 過去記事で参加ブログトーナメント - 通販ブログ村
第74回 過去記事で参加ブログトーナメント

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第83話 辞世 act.4-another,side story「陽はまた昇る」

2015-04-14 23:05:06 | 陽はまた昇るanother,side story
送別、その灯



第83話 辞世 act.4-another,side story「陽はまた昇る」

「はい、すぐ行きます、」

応えて携帯電話ポケットにしまう。
すぐ扉また開けて戻った席、温かな湯気ごし笑いかけた。

「すみません、仕事で呼びだされました。先に失礼させて頂きます、」

嘘じゃない、でも隠している。
本音しまいこんだままダッフルコート手に財布だして、けれど恩師が微笑んだ。

「湯原くん、今日は私がご馳走しますよ?もし気になるなら聴講のとき学食のランチおごって下さい、」

おごってください、なんてこの人も言うんだ?

―青木先生がこんなこと言うって、初めてだよね?

こんなこと意外で驚かされる。
なぜ今日に限ってなのだろう?不思議で、けれど素直に頷いた。

「はい、ありがとうございます…美代さん、中座してごめんね?賢弥もごめん、」

ほんとうに、今日こんな日にごめん。

―ごめんね美代さん、このあとも約束してたのに、

今日このまま一緒にいてあげたかった、けれど電話ひとつ呼ばれている。
時間もう気になりながらコートはおる隣、友達も立ちあがった。

「湯原くんを駅まで送ってきます、また戻りますね?」

頭下げる華奢な肩はベージュのコートもう着ている。
いつのまに支度したのだろう?驚いて首かるく振った。

「僕は大丈夫だよ美代さん、青木先生と賢弥とのんびりしてて?」
「いいの、また戻るから、」

ぱさり、紅桃色のマフラー結わえて微笑んでくれる。
その瞳なにか泣いているようで、そんなテーブル越し闊達な声が笑った。

「周太、小嶌さんの言うことは聴きなよ?このあとの約束キャンセルするんだからさ、これくらい言うこと聴いとけな?」

キャンセルする分だけ聴き入れよう?
そう提案してくれる笑顔は眼鏡の眼差し温かい、その隣から恩師も微笑んだ。

「そうですよ湯原くん、女性の申し出は素直に受けましょう?私たちは待っていますからね、安心してください、」

待っています、安心して。

こんな言葉ありきたりだろう、きっと日常だ。
けれど今はやたら響いてしまう、その本音ため息と頷いた。

「はい、じゃあ、」

頭また下げて席はなれて、その後ろ華奢なコート姿ついてくる。
ふたり扉へ歩いて、かたん、カウンター開いて太い声が呼んだ。

「兄さん、また来てくださいよ?」

また来てください。

そう言われるのは毎度のいつもと同じ。
でも今は「いつも」が泣きたいほど愛おしい、そんな本音から周太は笑った。

「はい、また来ます。たくさんご馳走様でした、」

たくさん、本当にたくさんご馳走になった。

この笑顔に温もりに自分はどれだけ馳走になったろう?
ただ優しい記憶から笑いかけた真中、カウンター前の笑顔は沁みとおるほど明るい。



(to be continued)

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

short scene talk ふたり暮しact.85―Aesculapius act.98

2015-04-13 23:56:01 | short scene talk
夕餉閑話
Aesculapius第6章act.38-39幕間 雅樹28歳・光一13歳



short scene talk ふたり暮しact.85―Aesculapius act.98

「きれいな刺身だね、鮃かな?(夏には珍しいよね高かったんじゃないのかな光一どうしたんだろう)」
「ヒラメだよ、堅太のオヤジさんからおすそわけだね(得意笑顔)(きっと雅樹さんコンナ高いモンどうしたんだろ思ってるねっ)」
「また木崎さん海釣り行ったんだね(ああそういうわけか納得)じゃあ堅太くんも?(きっと一緒に行ったろうな堅太も海釣りも好きみたいだし)」
「それがね、堅太は行かないでさ?今日も俺らと遊んだよ、ね、希?(なんで堅太は海行かなかったんだろねイツモ行くクセにさ?)」
「ん、堅太くんと美代ちゃんと楽しかったね(今日も楽しかったな皆で)雅樹先生、今日は僕、山の梅林まで登れました(ハニカミ×得意笑顔)」
「美代ちゃんも一緒だったんだ?(微笑)(だから堅太は海に行かなかったのかな確信は無いけどたぶん気になってるんだろうな)」
「ん、美代ここんとこ毎日一緒だよ?(これってきっとさ)希がいるよーになってから美代きっちり来るね、」
「そっか、希くんと美代ちゃんは仲良しなんだね?(笑顔)(だから堅太もきっと気になって)」
「はい、仲良くしてもらっています…美代ちゃん野菜にも詳しくて楽しいんです(幸せ笑顔)(ほんと美代ちゃんといると楽しいな僕)」
「雅樹さん、ホント希と美代はくっついてるよ?いつも一緒でウンと楽しそう、ちっと妬けちまうくらいだね(ちっと寂しいねでも嬉しそうな二人は嬉しいね)」
「そんなに仲良くなれたんだ、よかったね?(笑顔)(お互いに良い出会いだったかなでも堅太には悪いことしたかもしれないけど)」
「はい、僕すごく良かったです(無垢笑顔)(ほんと僕よかったなここでお世話になれて美代ちゃんと仲良くなれたし先生とも)」


あれこれ加筆まだ終わっていません、で、会話短篇UPしました。
はやく話進めたいので明日からペース戻す予定です、笑

雑談ぽいやつまたUPそのうちに。
小説・写真ほか面白かったらバナーorコメントお願いします、続き書こうって励みになるので、

取り急ぎ、



にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramのブログランキング 人気ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする