「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2014・01・01

2014-01-01 14:30:00 | Weblog



今日の「お気に入り」。

人生は些事から成る神は細部に宿りたまうと大きく出ないと誰も聞いてくれないから時々は私も大きく出るが、本当は些事にしか興味がないのである。源平の昔平清盛の弟薩摩守忠度(ただのり)は、都落ちする途次、一首でも勅撰集に採ってもらえないかと馬首を都にとって返し、選者藤原俊成に歌集一巻を託した。
 さざ波や志賀の都は荒れにしを 昔ながらの山桜かな
 これがその歌である。勅勘の平氏の歌だから詠み人知らずとして残っている。
(『文藝春秋』平成十二年六月号) 」

(山本夏彦著「最後の波の音」文春文庫 所収)


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