2012年5月4日~5日、三重県桑名市と名古屋に行ってきました。
ふたば館周辺の名古屋市東区白壁地区「文化のみち」は、江戸時代は中・下級武士の屋敷が連なっていましたが、明治から昭和の初めにかけては、近代産業の担い手となる起業家、宗教家、ジャーナリストなど様々な人が居住し、印象深い建物がたくさん残され、名古屋の文化と歴史を感じさせる一帯となっています。
その建物のいくつかを紹介。
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豊田佐助はトヨタ創業者の豊田佐吉の実弟です。
この洋館の左手につながって木造二階建ての和館が建てられています。
1923(大正12)年築。家の中の廊下にガス灯がともされています。
町並み保存地区の伝統的建造物に指定されています。
開館時間 10:00~15:30
休館日:月曜、金曜、年末年始
入館料:無料
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カトリック主税町教会礼拝堂。
1904(明治37)年築。名古屋最古の教会です。
町並み保存地区の伝統的建造物/都市景観重要建築物に指定されています。
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この一帯では明治半ばには陶磁器の絵付け・加工業者などが集まるようになり、昭和の最盛期には日本で作られた輸出用の陶磁器の7〜8割がこの地域で生産(絵付け加工)されていました。
陶磁器商とし活躍した井元為三郎が、1926(大正15)年に建てた邸宅で、和館、洋館、東西二棟の蔵、茶室、庭園が残されています。
名古屋市指定有形文化財/景観重要建造物/町並み保存地区の伝統的建造物に指定されています。
開館時間 10:00~17:00
休館日:月曜、年末年始
入館料:200円
おまけ。
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名古屋市中区大須にあるランの花を中心としたミニテーマパーク「ランの館」。
青い胡蝶蘭が開発されていました。
中部地方のお屋敷を訪ねる旅、桑名の次は名古屋です。
名古屋城の東側、昔武家屋敷があった一帯にある川上貞奴旧宅「文化のみち二葉館 」を見に行きました。
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川上貞奴は「オッペケペー節」で有名な明治の壮士、川上音二郎と結婚、川上一座が興行のため渡ったアメリカ、フランスで 女優「貞奴」として初めて舞台に立ち好評を得ました。
一方、福沢桃介は福沢諭吉の娘婿で養子となり、実業で才能を発揮して財をなしました。木曽川水系の水力発電事業で電力開発を進めました。
川上音二郎の死後女優を引退した貞奴と桃介が事業パートナーとして共に生活したのがこの家で、「二葉御殿」と呼ばれた斬新で豪華な建物でした。
竣工は1920(大正9)年。
設計施工は「あめりか屋」。
創建当時は、文化のみちエリアの北端、東二葉町にありましたが、平成12年に名古屋市に寄贈されてから平成17年にかけて現在の橦木町に移築復元され、公開されています。
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ステンドグラスがふんだんに使われています。
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木製でも優雅な曲線が作られているらせん階段。
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電気が使い始められた時代の模範住宅として建てられたので、階段を照らす灯りにも電気が使われています。
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二階にある貞奴が使っていた和室。
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水まわりも当時としては斬新なものでした。
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家の隅々にまで電気の配線が通されています。
屋根裏に並ぶ碍子の列。
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配電盤。
貞奴は桃介と度々訪れた各務原市鵜沼の地に成田山貞照寺を建立し、死後はそこに葬られています。お寺には桃介との出会いと思い出の場面が描かれて掲げられているそうです。
名古屋市東区橦木町三丁目23番地
開館時間:午前10時~午後5時
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日) 12月29日~1月3日
入館料:200円
館内には川上貞奴、福沢桃介の紹介の他、愛知県ゆかりの文学資料も展示されています。
旧諸戸邸のすぐ隣、敷地を接して諸戸氏庭園があります。
元はここに室町時代に「江の奥殿」と呼ばれた矢部氏の屋敷がありましたが、1686(貞享3)年)に山田彦左衛門が購入、カキツバタ池を中心に築庭、拡張整備しました。
明治時代に初代諸戸清六の所有となり、西隣に新しく御殿を建て、庭園を拡張しました。御殿の玄関は当時の外務省の玄関を模し、広間は西本願寺の広間を模していると言われていますが、内部は見ることができませんでした。
この時は改修工事中でした。
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巨岩がたくさん使われていて、滝組があったり、大規模な庭園です。
池は「潮入りの池」と称され、海水の干満に応じて景観が変化していましたが、現在は海水は入ってきていません。
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藤やツツジがきれいに咲いていましたが、花菖蒲の頃も見物だろうと思われます。
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道路に面した本邸は大店の店造りになっています。付属して小さな洋室があり、ルイ16世様式のフランスのサロン風な調度で統一されているそうです。
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同じ道路に面して煉瓦造倉庫が何棟もあります。
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旧諸戸邸と諸戸氏庭園のすぐ前を流れる揖斐川の堤防。
左側に揖斐川が流れています。
このすぐ側に旧東海道の「七里の渡し」跡と桑名城跡があります。
あの「その手はくわなの焼きハマグリ」っていうあの有名な旧跡です。
これは食べないでは帰れないと、桑名駅に戻って焼き蛤を探しましたが、残念、売り切れていたので、乾燥蛤のお吸い物を買って帰りました。
公開日時:平成24年11月1日~11月30日
月曜休園
公開時間:10時から17時(入園16時まで)
入園料:500円
桑名のお屋敷洋館の中に入って見ましょう。
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玄関のタイル。
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広々とした玄関ホール。
奥には和館部分へつながる廊下が見えます。
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ホールから二階への階段。
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執務室。
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塔部分の内部です。
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日本で一番早く水洗式を取り入れたトイレだそうです。
暖炉のいろいろ。
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二階のサンルームからは芝生とその向こうに日本庭園が見渡せます。
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和室の周りには畳敷き廊下とさらに板敷き廊下がめぐっています。
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和館内部も広い部屋が何室もあり、本格的な造りです。
何とも贅沢な造りのお屋敷でした。
東京をはるか離れた桑名の地になぜこのような豪華な建物が造られたのか。
初代諸戸清六は西南戦争で兵糧を送る仕事を通じて、元勲大隈重信など政府要人の知遇を得たことや、三菱財閥の創始者岩崎家との交流があったことが、三菱の顧問を務めていたコンドルが二代目清六の住居の設計を引き受けた背景にあると考えられています。二代目清六は当時わずか23歳で結婚して住むための家だったそうです。
はあー、出るはため息ばかりなり。
今年のゴールデンウィークに、三重県桑名市にあるお屋敷を見に行きました。
旧諸戸清六邸(六華苑)
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近鉄桑名駅からKバス(コミュニティバス)で約10分、「六華苑」で降りると、すぐ目の前にこんな大名屋敷のような長屋門があります。
でも、門をくぐってちょっと歩き、角を曲がったところにあるのは、、、
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こんな洋館!
意外な取り合わせです。
正面中央が入口、右に4層の塔がくっついています。
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塔は初めの設計では3層の予定でしたが、揖斐川の眺めを希望した依頼者の要望で4層になってしまったため、建物全体に対するバランスは少し悪くなっています。
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でも、素敵!素敵!
夢のお城のような建物です。
この建物は実業家二代目諸戸清六の新居として、1911(明治44)年着工し、1913(大正2)年に竣工した邸宅で、木造2階建て天然スレート葺きの洋館、設計者は鹿鳴館の設計で有名なイギリス人建築家ジョサイア・コンドルです。
洋館とそれに連なる和館、複数の蔵などの建造物と池泉回遊式日本庭園を持ち、総面積は18,000平方メートル余に及んでいます。
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建物は国の重要文化財、庭園は国の名勝に指定されています。
辺りは揖斐川の河口近くで広々とした農村地帯、こんな目新しい建物が建った時はさぞ目を引いたことでしょう。
午前9時~午後5時まで
毎週月曜日が休館です。
入苑料 300円