
鴨川にかかる七条大橋。

いつ見ても連なるアーチが立派な近代土木遺産です。

その橋の西のたもと、七条通りの南に面して松明殿稲荷(たいまつでんいなり)神社があります。伏見稲荷大社の境外末社で、田中社ともいう小さな境内の神社です。平安時代の948(天暦2)年に創始され、初め黒門通り塩小路辺りにありましたが、七条東洞院などを経て、1711(宝永8)年現在の地に移ったとされています。
伏見稲荷大社の春の稲荷祭のとき、この神社の氏子が松明をともしてその神輿を迎えていたことから「松明殿」の名で呼ばれたと言われています。

境内に入ってすぐの西側に、江戸時代中期の僧・木食正禅(もくじきしょうぜん)養阿が寄進した手洗石と井戸があります。井戸には宝暦2年夏と刻まれています。
木食とは米穀を絶ち、木の実を食べて修行することで、高野山でこの苦行を修めた後、諸国を行脚、京に帰って東海道の難所と言われた日ノ岡峠の急坂を削り、人馬・牛車の往来を助けたり、渇水に備えて井戸を掘るなど様々な事業を行いました。
七条大宮の平安高校正門北にも「木食上人供養碑」があるそうです。