子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2018年J1リーグ第25節 札幌 VS ヴィッセル神戸【3:1】

2018年09月01日 20時15分59秒 | 北海道コンサドーレ札幌
イニエスタとポドルスキが札幌に来る。まだACLに出場したことも,ましてや世界クラブW杯に出たこともないチームが,文字通り世界のトップ選手と,この札幌の地で相見える。東アジアの更に東の端の片田舎に住むサッカーファンにとって,この日は2002年のW杯の予選リーグで,イングランドが宿敵アルゼンチンをベッカムのPKによって破った日と並んで,忘れられない日になるはずだった。
けれども,そんな大事な一戦は,ポドルスキに出された不可解なカードによって,一瞬にして何とも後味の悪い,別の意味で記憶に残るゲームへと変わってしまった。

深井に対するポドルスキのタックルは,ちょうどセンターサークル付近で繰り出されたプレーだった。前半のアディショナルタイムとしては異例に長い「4分」の半ば過ぎだったと思われるが,スライディング自体は得点に絡む決定的なプレーを阻止しようとしたものではなかった。足の裏を相手に向けた,ということだと思われるが,池内主審がレッドカードを出す仕草には,逡巡も躊躇もなかった。プレーのタイミングからも,深井選手の痛み方からも,そこまで悪質な気配は感じられなかっただけに,かえってその「ためらいのなさ」が,異様に映ったのは確かだった。

結果的にこの退場が,後半早々の「イニエスタの交替」というまさかの出来事の誘引となった可能性はある(どうやら足に違和感があったらしい)。ただ,今日のイニエスタのプレーは終始「安全圏内」に留まるもので,たとえば小野伸二が前節の清水戦で見せた,意表を突く,と言うよりも,完全に相手のリズムをつかんで,その拍子の間隙を縫って出される素晴らしいダイレクトパスの,その更に上を行くようなプレーは,残念ながらひとつも見られなかった。
けれどもスーパースターが醸し出すオーラというのはこういうものだ,という,スタジアム全体を支配する空気感のようなものは,確実にそこにあった。世界基準のプレーは観られなくとも,「金返せ!」と怒鳴る客はいなかったはずだ。もしも90分プレーしていれば,涼しい札幌の気候とスタジアム・コンディションが相まって,見事なプレーが出現していたかもしれないが,あのイニエスタが札幌に来るということがひとつの運命であれば,そんな大事な試合をあのレヴェルの審判が捌くことになってしまったのもまた運命。それを「巡り合わせ」と楽しむことが出来たのも,応援したチームが最終的に勝ち点3を取ってくれたからに他ならない。その意味で,点数に繋がった駒井と福森のクロスと,それを仕上げた菅と都倉のフィニッシュには,最大級の賛辞を捧げたい。

ただ,ヒーローインタビューを受けた菅には得点のプレー以上に,後半の完全にフリーとなったチャンスをポストにぶつけた場面の方を,記憶に留めておいて欲しいと思う。終盤にミンテの脚が攣っていたことに象徴されるように,相手に退場者が出ても,1点返されたらたちまち逆転のピンチに陥る悪癖を払拭できるチャンスを潰してしまった選手には,まだ「ACL」という単語は時期尚早だ。今はまだ,ひたすら相手の右サイドを抑えて,背後のスペースを突くことだけを考えてプレーすること。勝ち点や順位やその先を考えるのは,ピッチを離れてからのお楽しみに取っておくべき,と進言したい。
でも,取り敢えずの目標である残留の目安「勝ち点40」への予想外の速さでの到達は,サポーターへの何よりのプレゼントだ。ミシャ,あなたは本当に凄い。そしてそんな人を指導者に据えた社長,あなたこそ成金IT長者を遥かに凌ぐ,本物の経営者だ。Congratulations!野々村さん。


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