Music Mania

No Music No Life

ブラック・サバスのアルバムについて

2013年05月11日 | 音楽
オズフェス開催にちなんで、今日はブラック・サバスのアルバムについて書いてみよう。

【オジー・オズボーン期】

ブラック・サバスを代表するアルバムといえば、デビューから最初の4枚だろう。
この4枚はどれも甲乙つけ難い傑作揃いで、それぞれが名盤と位置づけられる。

・「黒い安息日」



個性という点でいえば、この4作の中では飛びぬけている。
なんといっても1曲目のその名も「ブラック・サバス」だ。
このインパクト絶大なヘヴィ・ロックは、彼ら自身を代表する曲として、おそらくデビューから現在まで必ずライブで演奏されている。
全体的には、いわゆるサバス・サウンドはまだ完成されておらず、デビュー前のジャズロックの雰囲気が残っているが、「N.I.B.」や「魔法使い」などライブの定番曲もあり、完成度は高い。
以前は、僕自身このアルバムが最も名盤に相応しいと考えていて、名盤シリーズでも取り上げている。
Black Sabbath

・「パラノイド」



前作よりもぐっと重圧になり、進歩が伺える内容になっている。
このアルバムは「ウォー・ピッグス」、「パラノイド」、「アイアンマン」などサバスを代表する名曲が揃っていて、初心者にも取っ付きやすい内容だろう。
この頃からトニー・アイオミのリフ・メイカーぶりが発揮されてくる。
1曲目の「ウォー・ピッグス」も名リフの宝庫だが、「エレクトリック・フューネル」で聴ける一風変ったサウンド作りも工夫を凝らしていて面白い。
また曲展開も複雑なものが多い。
War Pigs

・「マスター・オブ・リアリティ」



最近僕は、このアルバムがサバスの最高傑作のような気がしている。
このアルバムによってサバス・サウンドが完成し、後の世代に大きな影響を与えた。
ここでもアイオミのリフ・メイカーぶりが発揮されており、曲展開、音作りも含めて、才能が開花した様子がみれる。
ホッと一息ついたようなアコースティック・ナンバーが入っているのも、アルバムにメリハリをつけていてバランスがいい。
Sweet Leaf

・「Vol. 4」



前作で基本的なサバス・サウンドが完成し、このアルバムではそこへ華やかさが加わった。
1曲目はブルース風でちょっと意外な気がするのも、おそらく計算済みのことだろう。
ただし、個人的には先の3枚と比べればちょっと落ちる。
Snowblind


【オジー以外のボーカル期】

ブラック・サバスのボーカリストはオジーだけではない。
80年代以降、多くのボーカリストが出たり入ったりしているが、誰が入ってもクオリティを落とすことなくサバス・サウンドを維持してきた。
ただ、時代に対して合っていなかったり、あるいは時代には合っていてもファンの希望に合っていなかったりなど、評価は分かれる。
この「オジー以外の時代」から2枚紹介しよう。
この時期については、こちらでも紹介したことがあるので、宜しければご一緒に。

・「ヘヴン・アンド・ヘル」



根強い人気のアルバムで、「サバスといえばこれ」という人も多い。
カリスマボーカル、ロニー・ジェイムス・ディオの魅力を最大限に発揮させたアルバム作りが成されていて、完成度は高いものの、まるでロニーのソロにサバスがバックバンドとしてサポートしているかのような印象がある。
何より、アイオミの魅力が発揮されていないのが欠点かもしれない。
僕としてはもう少しサバス・サウンドが強い次作「モブ・ルールス」か、さらにヘヴィ路線によった「ディフューマナイザー」のほうが好きだ。
Heaven and Hell

・「悪魔の落とし子」



こちらはディープ・パープルのイアン・ギランが加入したアルバムで、発売当初は酷評されたが、現在は傑作の一つとして評価されている。
このアルバムの凄いところは、サバス本来が持っている悪魔性と、ギランの内に秘めていた狂暴性が見事に融合している点だろう。
ヘヴィで邪悪なサウンドは、80年代という時代に全く合っておらずアルバム1枚で終了してしまうが、90年代以降時代がヘヴィでマイナーなロックが注目されるようになると、これも再評価されるようになった。
僕個人としては非常に好きなアルバムだ。
Zero The Hero (With The Dark)


【最期にファンの間で駄作とされるアルバムについて】

サバスの駄作認定は「ネバー・セイ・ダイ」と「フォービドゥン」だろう。
どちらもサバスらしくない、というわけだが、その「らしくなさ」が面白い。

・「ネバー・セイ・ダイ」



オジー時代のアルバムだが、サバス史上最もポップなアルバムだ。
「サバス=ダークでヘヴィ」を期待していた人にとって、この明るく華やかな内容は拒絶されるのもよくわかる。
ただし、ブラックサバスという看板を取り外し、1枚のロックアルバムとして聴いた場合、それほど悪いアルバムではない。
2曲目「ジョニー・ブレイド」なんて、なかなかのテクノ・ヘヴィ・ロックだと思う。
レッド・ツェッペリンの「イン・スルー・ジ・アウトドア」に通じる部分があり、それが好きな人は案外気に入るのではないだろうか。
Johnny Blade

・「フォービドゥン」



こちらはボーカルがトニー・マーティンで、ドラムはコージー・パウエル、ベースはニール・マーレイという「これはサバスなのか?」という布陣。
この前に同メンバーで「TYR」というアルバムが作られている。
こちらは様式美系というマイナーキーのメロディ重視のハードロックで、一部のファンに人気だ。
この「フォービドゥン」は「TYR」の延長線にある内容を期待されたわけだが、フタをあけてみるとダークでヘヴィさを強調したメタルだった、期待ハズレだったというわけだ。
僕は「TYR」が好きじゃないので、それよりは「フォービドゥン」のほうがいいと思うが、あまり聴かないアルバム。
Shaking off the chains