Music Mania

No Music No Life

赤線地帯

2021年08月15日 | 日常
遊郭探訪の動画を見てると、現役当時の様子を知りたくなる。
調べたところ、リアルタイムでの様子が伺える映画ということで、1956年昭和31年の「赤線地帯」という作品があり見てみた。

遊郭モノだけど濡れ場はなく社会問題を提起するもので、現代の作品だと「万引き家族」あたりのニュアンスに近い。
売春防止法が迫るなか、娼婦たちそれぞれの事情による生き様が描かれる。

吉原遊郭の「夢の里」には数人の娼婦が働いている。
主人は売春防止法に反対しており、自分たちこそが貧困に喘ぐ女性を救ってやってるんだと息巻く。
ヨリエは一刻も早くここを出て普通の主婦になりたい夢がある。
ハナエは病気の夫と幼子を養うために住み込みではなく夢の里に通勤している。
ユメコは一人息子を進学させ、いつかまた一緒に住めるよう夢の里の住み込みで働く。
ヤスミは結婚する気もないのに客の男をその気にさせてお金を貢がせている。
ミッキーは本当は金持ちの娘なのに、父親に反発して夢の里にやってくる。
そしてシズコは貧農から売られてきた少女だ。

ヨリエは夢が叶い農家に嫁ぐが、朝から晩まで働かされ、そのくせまともな食事もままならない現実に唖然とする。
結局、朝昼晩の食事が用意され、綺麗な着物を着て、男客相手の仕事以外はしなくていい遊郭に戻ってくるのだった。
ハナエの夫は自分の不甲斐なさから自殺未遂をおこす。
ユメコの息子は、自分の母が娼婦だと知り親子の縁を切る。
息子のために必死で働いてきたユメコは夢を絶たれて発狂してしまう。
ヤスミは自分に大金を貢いだ男をあっさりと捨て去り、殺されそうになる。
ミッキーのところには父親が連れ戻しに来る。
そして、シズコは遊郭で初めててんやものの丼を食べて「こんな美味いもの食べたことがない」と感動する。

この映画では、必要悪としての遊郭が描かれ、女性を救うという名目の売春防止法でありながら、必ずしもそうはならないということを示唆している。
この頃、朝鮮戦争特需の影響で、経済成長が活発な次期ではあるものの、誰もがその恩威を受けられるわけではなく、水面下ではこういう人たちもいたという現実が伺える映画だった。
ついでにテーマ曲はテルミンを使った前衛的な音楽で、今聴いても不気味で斬新である。

Utanç Sokağı - Street of Shame | Akasen Chitai 1956 | Türkçe Altyazılı

遊郭探訪

2021年08月14日 | 日常
花魁ROCKERのライブでは毎回ライブハウスを遊郭に見立ててMCをしている。
そのくせ、遊郭についてほとんど知らなかったりするので、昨年くらいから遊郭について調べたりしている。

昭和33年の売春防止法まで、各都市には遊郭があった。
大都市だけでなく、小さな街にも小規模ながらも遊郭が集まってるところ(いわゆる花街とか赤線地帯)があり、例えば三重県内には日本遊郭一覧に記載されているだけでも33カ所もの花街があり、754もの遊郭があり、1832人もの遊女がいたという。
今も当時の建物が残ってるところもある。

そんな今に残るかつての赤線地帯を訪ねてまわるのを趣味にしている人たちがいる。
性風俗としての興味ではなく、あくまで文化的価値、歴史的価値としてかつての花街を訪れ、ノスタルジーに浸るのである。江戸時代から昭和初期に建てられた現存する遊郭は、今も人が住んでいたり、旅館として営業してたりするところもある。
古い建物なので老朽化も進んでると思われるし、すでに廃墟になってたり、撤去されたり、建て替えられたりもしているところも多い。
現存する姿が見れるのは今のうちということで、マニアの人たちは全国の遊郭を訪ねて動画に残しているのだ。
さすがに現代の姿形に売春防止法以前の賑わいを思い描くには相当な想像力を要するけど、YouTubeで探訪動画を見るのはなかなか楽しい。

♯12遊郭散走 「旧住吉新地」儚き海上の楼閣 三重県 四日市市

クルマからCDプレーヤーが無くなる

2021年08月09日 | クルマ
最近はいろいろ新型車のリサーチをしている。
最近は半導体不足だとかで、契約してから納車まで月日がかかるらしい。
人気車だと平気で半年待ちとかになるので、買い替えは来年とはいえ、あと半年以内に次のクルマを決めなければ車検切れまでに納車されなくなる可能性もあるのだ。

それはさておき、少し気になったこと。

ここ数年に出た新型車には、もうCDプレイヤーがないのだ。
音楽を聴くには、スマホの音楽をクルマのスピーカーから流すというやり方をせねばならない。
幸い、僕はもう10年近くCDではなくスマホから聴いてるので問題ないんだけど、けっこう今でもCD派って人は多いと思う。
サブスクやるほどたくさん音楽は聴かない、でも昔買ったCDはたくさんある。
それらのCDをクルマで聴きたい人はどうするのだろう。
噂によると、車種によってはオプションでもCDプレイヤーを付けることが出来ないらしい。
ということは、サブスクを始めるか、お気に入りのアルバムを有料DLするか、もしくは後付けのCDプレイヤーをFM経由で聴くか、ということになる。
あるいは発想を変えて、CDプレーヤーのあるクルマを選ぶか、だ。

音楽好きの人にはサブスクを強くお勧めする。
僕はApple Musicを月額980円で利用しているけど、ほかにAmazonMusicやSpotifyあたりも人気だ。
多分ここを読んでる人は、積極的に音楽を聴く人が多いだろうから、誰かが作ったプレイリストではなく、単純に好きなアーティストの好きなアルバムをDLして聴けばいい。
いろいろ便利な機能はあるものの、そんなものは無視して、普通に聴きたい曲、聴きたいアルバムを聴けばいいのだ。

クルマでCDを聴くというやり方は、やがて絶滅するであろう。
しかし、それについていけない人も確実に存在する。
そういう人は、クルマを買い替えたら、音楽など聴かず、ラジオを聴くようになるかもしれない。
あるいは、僕と同年代の人って、すでに音楽なんぞに興味など無くなり、ラジオ、あるいは何も聴かない、という人が多数派なのかもしれない。

日本のパンク その2

2021年08月07日 | 邦楽
今日はラフィンノーズの初期の楽曲を集めた「VAP complete tracks」というアルバムから。

17歳か18歳の頃、夕方のテレビ番組「ミュージックトマトジャパン」で頻繁にラフィンの「ブロークンジェネレーション」という曲のPVが流れていた。
ほとんど毎日流れたので、レコードを買わなくても覚えるくらい耳にした。
この番組の裏番組が伝説の「夕焼けニャンニャン」で、ほとんどの男子高校生はそれを見ていたようだけど、一部のロックファンはトマトジャパンを見ていたのだ。
僕と同じく、かわいい女の子よりロックに夢中だったむさ苦しい連中は、すぐラフィンに注目した。
新たなパンクバンド登場か?
ロックンロールバンドか?
BOOWYとどっちがカッコいい?
まだ、ブルーハーツが出てくる前である。
楽器は弾かないけれど変態レベルのロックファンだったF君は、早速ラフィンのデビューアルバムを買ってきた。
僕はカセットテープを渡して録音してもらった。
すごくハマったわけではないけど、わりと気に入った。
個人的にはBOOWYの方がカッコいいと感じたし、メッセージ的には尾崎豊の方が心に訴えてきた。
何より、歌詞が聞き取りにくく、何を歌ってるかわかりにくかった。
でも、勢いがあり、何よりパンクにしてはポップな音楽性が良かった。

地元のバンドで、ザ・ノイズというラフィンのコピバンがある。
すごくいいバンドで、ライブ慣れしていて、盛り上げがうまい。
過去2回対バンしたけど、そのパワフルなパフォーマンスに圧倒された。
彼らのライブを見ると、本家ラフィンを聴きたくなる。
最近のアルバムとかいろいろ聴いてみた。
僕は1枚目しか聴いたことがなかったんだけど、想像以上にハードコアでだった。

さて、VAP complete tracksというアルバム、1枚目と2枚目、シングルや別バージョン、それとライブ音源が入っている。
2枚目のアルバムは初めて聴いたけど、基本的に1枚目の延長線上にあるサウンドで、ポップ路線だ。
こちらの方が歌詞が聞き取りやすく、またメロディの質も上がってるように思う。
もっとブレイクしても良かったのにと感じる。
ただし、コアなパンクファンからするとポップすぎると思うだろうし、パンクを聞かない人からすると、パンクバンドというだけで聴く耳を持たなかったたろう。
非常に難しいところだ。

LAUGHIN'NOSE - BROKEN GENERATION (MV)