風・感じるままに

身の回りの出来事と生いたちを綴っています。

返事に困った

2008-11-25 | 日常
        十輪寺(なりひら寺) 京都府長岡京市小塩
 
 天気が良かったので昼前から自転車で紅葉散策に出かけた。平地はまだ少し早いようだが、里山は紅葉間近という感じに色づいていた。山のハイキング道に行ってみた。平日の昼すぎということで、出会う人もなく、静かにのんびりした空気が漂っている。

 この道は一年ぶりだが、以前は急斜面で人一人がすれ違うのがやっとという、自転車で通るのが怖いくらいの道だったのにずいぶん道幅も広くなり整備されていた。夏は賑わったであろうキャンプ場は閑散としていて落ち葉の上を歩く音と風の音だけがやけに響いていた。奥の土手を上って池の端に出てみた。昨日の雨で水は少し濁っていたが、周りの紅葉を始めた木々を水面に映していた。

 ここから北の道に出るところで、木橋の修理をしている人に出会った。市からの依頼で丸太に渡した板が朽ちてきたのを取り替えているという。「ご苦労様です」といってキャンプ場を後にした。

 舗装道に出てからは下り道を一気に街まで駆け下り、腹も減っていたのでラーメン屋に入った。2時前だったので店内は割合空いていた。一人なので厨房前のカウンター席に座った。まもなく注文したご飯、ラーメン、餃子一人前で980円の“餃子定食”がきた。

 食べ始めてしばらくすると、厨房の中で若い男の調理人と年配のアルバイトの女性と思われる二人が言い争いを始めた。女性は、「あなたのやっていることはイジメです」「もう辞めます」と涙声で男に反論している。聞きたくはなかったが、俺の位置から見えるところで、しかも大きな声だったのでこちらまで丸聞こえだった。

 暫くして別の店員がこの二人に注意したので、二人は厨房の奥のほうに行った。が、まだ言い争いは続いているようで、その声が途切れ途切れに聞こえてくる。二人に注意した女性店員が隣の席の食器を片付けに来た際、俺に小さな声で「ごめんなさいね」といった。

 俺は二人のことが気になったが、レシートをもって席を立った。先ほど「ごめんなさいね」といった店員がレジに来て、俺の差し出した1000円札を受け取り、もう一度小声で「ごめんなさいね。ご迷惑おかけしまして、100円割引しときます」と120円のお釣りをくれた。少し戸惑ったが、俺も小声で「どうも」といって店を出た。

 空模様が少し怪しくなってきたので急いで自転車を走らせた。雨は大したことがなくパラパラだったが、帰路も家に着いてからもあの二人ともう一人の店員のことがどうも頭から離れなかった。