松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

連休中に見えてきたこと-虚実について-

2005-05-03 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
先日、活歩(または借歩)という
練習方法があることを知った。
陳式太極拳の関連資料でたまたま見かけたのだが、
要するにスペースが取れない場所で
練習する方法のこと。
以前教室でも行った転身練習のときに
いろいろ教わった足の使い方を駆使して
套路練習をするようなイメージだ。
試しに18式や24式、孫式もやってみたところ、
ひとつひとつの動作ごとに次の動作を想定しながら
「動作の方向」「上体の方向」「足の方向」を
考えることになり、
普段の通し練習とはまた違った
新鮮な練習ができるような気がした。
たまにこんな練習を取り入れてみるのも楽しいかも。

練習量が少ない割には小さな気づきがある。
このところ体がちょっと重いと感じるからなのか、
なぜか虚実が気になる。
例えば弓歩の姿勢時に骨盤が反ってしまう現象は、
骨盤の巻き上げが足りないのが原因だが、
なぜそうなるのかを自分なりに検証してみたところ
結局は姿勢の問題に行き着いた。

外見を観察してみると、
後ろ足側の股関節が伸びてしまっている。
後ろ足の膝が外に開いていないことでもあり
両膝を合わせようとする意識が弱い状態でもある。
骨盤が巻き上げられれば
これらの現象は改善されるのだから、
骨盤が巻き上げられないくらい
無理な姿勢を取っているということなのだろう。
それをあまり自覚していないところが問題。
無理は緊張につながる。

また、虚歩の姿勢時は
骨盤の巻き上げ状態を意識しやすいのだが、
その一方で猫背になりやすいし、
重心をかけようとするあまりに腰がひけて
結果的に骨盤を反らせていることもある。
これらも無理な姿勢だ。
しかも弓歩同様にその自覚があまりない。
体重の移動と重心のバランスにも
もっと意識を配らなければ。

体重移動によって虚実を明確にするというのも
実は難しいと思うようになってきた。
おそらく原則は陰陽バランスだと思う。

最近になってようやく陰陽を
相対性という視点でとらえられるようになってきた。
自然界のすべてのものには陰陽の両面が存在する。
それは陰と陽が単独で成り立つことはなく、
かならず比較対照となる相手との関係性の中で
はじめて陰的あるいは陽的という
性質の表現が可能になるということだ。

この陰的あるいは陽的という
「的」にこめられている意味が実感をともなって、
やっとわかり始めてきたように思うのだ。

いろんなことがスポットのように
ぽつりぽつりと芽生えているのだけれど、
畑となる土壌が緊張状態のままで
改良が進まずにいるのが何とももどかしい。
何とか枯らさないようにして
ぼちぼちと育てていきたいものだが、
最近ちょっと大雑把になっているような気が
しているので、どんなものかなあ。