このサイトに於いて、私はたびたび作家・塩野七生・女史について綴っているが、
ここ数年、遅ればせながら各作品を読んで魅せられている。
特に『ローマ人の物語』に関して、数年前に知ったが、
今年の春先から新潮文庫で読みはじめ、
第24巻の『賢帝の世紀』(上巻)を昼過ぎから読んだりしている。
この女史の作品の数々に於いて、
人々の営みの積み重ねである歴史の中で、足跡を残こされた人物を表現する時、
血の通った生き生きとして甦(よみがえ)る表現である。
その上に、この女史の特有の歴史人物の心情を明示し、更に女史の明確な論理を提示させるのが、
何より魅了させられるのである。
例えば、昼下りに読んだ部分を引用させて頂ければ・・
ローマ帝国で属州地出身で初めて皇帝となったトライアヌスがローマの皇宮で統治の初め頃・・
妻のプロティナも南仏生まれだから、
初の属州出身の皇后ということになる。
教養が高く賢明な女だったが、
美人でも派手でもなかったので、羨望や嫉妬の対象になる心配はなかった。
皇后ともなれば元老院議員の夫人たちの上位になるが、
女とは、同性の美貌や富には羨望と嫉妬を感じても、
教養や頭の良さには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ。
【『ローマ人の物語』(新潮文庫)第24巻 同61ページ
注・原文より勝手に改行を多くさせて頂きました 】
こうした箇所を引用させて頂きましたが、この女史の特有の論理の前には、
読んでいてもしばらく呆然とし、庭先に下り立ち、女の人はそうなのかしら、
と樹木を眺めながら、煙草を喫ったりしている。
私は年を重ねた62歳の身であるが、塩野七生・女史に導かれて、
人生の多面を数多く教示させられている生徒のひとりと思ったりしている。
ここ数年、遅ればせながら各作品を読んで魅せられている。
特に『ローマ人の物語』に関して、数年前に知ったが、
今年の春先から新潮文庫で読みはじめ、
第24巻の『賢帝の世紀』(上巻)を昼過ぎから読んだりしている。
この女史の作品の数々に於いて、
人々の営みの積み重ねである歴史の中で、足跡を残こされた人物を表現する時、
血の通った生き生きとして甦(よみがえ)る表現である。
その上に、この女史の特有の歴史人物の心情を明示し、更に女史の明確な論理を提示させるのが、
何より魅了させられるのである。
例えば、昼下りに読んだ部分を引用させて頂ければ・・
ローマ帝国で属州地出身で初めて皇帝となったトライアヌスがローマの皇宮で統治の初め頃・・
妻のプロティナも南仏生まれだから、
初の属州出身の皇后ということになる。
教養が高く賢明な女だったが、
美人でも派手でもなかったので、羨望や嫉妬の対象になる心配はなかった。
皇后ともなれば元老院議員の夫人たちの上位になるが、
女とは、同性の美貌や富には羨望と嫉妬を感じても、
教養や頭の良さには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ。
【『ローマ人の物語』(新潮文庫)第24巻 同61ページ
注・原文より勝手に改行を多くさせて頂きました 】
こうした箇所を引用させて頂きましたが、この女史の特有の論理の前には、
読んでいてもしばらく呆然とし、庭先に下り立ち、女の人はそうなのかしら、
と樹木を眺めながら、煙草を喫ったりしている。
私は年を重ねた62歳の身であるが、塩野七生・女史に導かれて、
人生の多面を数多く教示させられている生徒のひとりと思ったりしている。