夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

大型連休の初日、読書好きな私は本屋に寄り、買い求めて至福なひとときを過ごし・・。

2012-04-29 15:58:44 | 読書、小説・随筆
私は東京郊外の調布市に住む年金生活の67歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭である。
そして雑木の多い小庭に古ぼけた一軒屋に住み、お互いの趣味を互いに尊重して、日常を過ごしている。

昨日の朝の9時前に、家内は駅前の病院の皮膚科で治療を受けに出かけた。
片方の眼の周辺に少しかゆみを感じて、ここ2回ばかり治療を受けていたので、
定期健診のような状況であり、まもなく10時半過ぎに帰宅した。

そして帰宅した家内は、直(す)ぐに『駅前に買い物・・行きませんか?』
と家内は私を誘惑したのであった。

外出用に着替えている上、何かしら駅前で見かけた品を買い求めたい意志のようだった。

私は少しためらった後、
『ハイ! 元気よく行きましょう!』
と私は自衛隊の若き諸兄に負けないように明るい声で、家内に応えた。

定年後の私は、年金生活をしているが、もとより年金の収入は減ることもあっても増えることなく、
当然ながら現役のサラリーマン時期より遥かに激減している上、体力の衰えも感じる昨今、
何かしら私は家内に従順となっていると思えて、苦笑したりした。

そして私は家内が外出する時は、殆どボディガード兼お供、そして荷物持ちとなっているのが、
定年後の実情である。

今回、たまたま京王線の『仙川駅』の近くに徒歩で15分ばかり歩き、
ホームセンター、スーパー、ドラッグ・ストアーなど5店を廻り、
その後に食事処で遅い昼食をして、帰宅したのは午後2時半過ぎであった。

この間、家内がスーパーで買い物をしている間、
私は独りで本屋に寄ったりして、喫茶店で待ち合わすることにした。


私は遅ればせながら読書に目覚めたのは、高校に入学してまもない時期であり、
1960〈昭和35〉年の春であった。

創作者より、文字から伝えられる伝達力、創造力が
それぞれ読む時、感受性、知性、想像力により多少の差異があるが、
綴られた文章はもとより、この行間から感じられる圧倒的な魔力であった。

これ以来、小説、随筆、ノンフィクション、近代史、歴史書など乱読をしているので、
早や50数年過ぎたかしら、と何かと読書好きのひとりと思ったりしている。

そして2004(平成16)年の秋に35年近く勤務し定年退職した後、
特に塩野七生、佐野真一、藤原正彦、嵐山光三郎、曽野綾子、阿川弘之、各氏の作品に深く魅了され、
この著作された人たちを主軸に精読している。

ここ数年は、高峰秀子さんの随筆、或いは高峰秀子さんの関する本も加わり、
愚図の私でも、読書にいそがしく、ときおり微苦笑したりしてきた。


私が今回入店した本屋は、都心の大きな本屋を除き、
街の本屋の中で文藝関係に突出していると私が賞賛しているチェーン店『書原』のひとつで、
仙川店に入店した。

そして10分ばかり配列している本を眺めた後、2冊の本は決まった。

ひとつは、高峰秀子・松山善三・共著の『旅は道づれ 雪月花』(ハースト婦人画報社)であった。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4573022031.html
☆【紀伊国屋書店 ホームページ】<==高峰秀子・松山善三・共著の『旅は道づれ 雪月花』☆
  注・ハースト婦人画報社のホームページで紹介しょうとしたら、この紀伊国屋書店 ホームページに転載された。

昨年の晩秋の頃から、《 高峰秀子没後一年 おしどり夫婦の名シリーズ 》として中公文庫より、
逐次、三部作が復刊された。
始めは高峰秀子・松山善三 共著『旅は道づれ アロハ・ハワイ』、
その後に高峰秀子・松山善三 共著『旅は道づれ ガンダーラ』、
最終として高峰秀子・松山善三 共著『旅は道づれ ツタンカーメン』を購読してきた。

今回の『旅は道づれ 雪月花』は、数か月前に店頭でパラパラと立ち読みしたが、
ご夫妻が日本の各地の旅先で、訪れた地、一流の食事処、そして宿泊される旅館、ホテルに、
私の半生は、何かと卑屈と劣等感にさいなまれ、悪戦苦闘の多かった歩みだったので、
たじろいでしまった・・。
そして、やむなく見送ってきたが、私は高峰秀子さんの愛読者のひとりとして30数冊を読んできたが、
最後の一冊と思い決めて、購入したのであった。


もうひとつの本は、曽野綾子・著作の『堕落と文学 ~作家の日常、私の仕事場』(新潮社)である。
http://www.shinchosha.co.jp/book/311420/
☆【新潮社ホームページ】<== 曽野綾子・著作の『堕落と文学 ~作家の日常、私の仕事場』☆

私が初めて作家・曽野綾子さんの作品を読んだのは、
講談社から出版された『われらの文学』と名づけられた文学全集からであった。

この文学全集は、確か1965(昭和40)年の頃から毎月一巻発刊され、全22巻であり、
大江健三郎(おおえ・けんさぶろう、江藤 淳(えとう・じゅん)の両氏による責任編集の基で刊行され、
この当時の老成家した作家を除外した斬新で新鮮なな全集であった。

私はこの以前には、中央公論社から、
確か『日本の文学』と命名された80巻ぐらいであったと思われる文学全集を読んでいたが、
この『われらの文学』は、この当時に最も勢いのある大江健三郎、江藤 淳の両氏による責任編集に寄り、
選定された28名の作家の作品を私なりに精読していた。

そして、この全集の中で、第16巻として『曽野綾子、北 杜夫』が、
1966(昭和41)年5月に発刊されて、
私は初めて曽野綾子さんの『たまゆら』、『遠来の客たち』を含む8作品を初めて精読した。

これ以来、ときおり読んできたが、私はサラリーマンの多忙時期に重なったりし、
ここ5年は見逃してきた曽野綾子さんの作品を購読してきたので、
今回の『堕落と文学 ~作家の日常、私の仕事場』は、私にとっては必読書のような心情となる。


そして3冊目となるはずの川本三郎・著作の『郊外の文学誌』(岩波現代文庫)は、
無念ながら店内の在庫になく、やむなく取り寄せの依頼をした。

私がこの本を遅ればせながら知ったのは、読売新聞の基幹ネットの【YOMIURI ONLINE】に於いて、
読書の専門サイトとして名高い【本よみうり堂】で、書評コーナーであった。
http://www.yomiuri.co.jp/book/bunko/20120402-OYT8T00703.htm
☆【YOMIURI ONLINE】<==【本よりうり堂】<== 文庫本・書評 書評家・青木千恵《 川本三郎・著作の『郊外の文学誌』》☆

書評家・青木千恵さんの簡潔した書評文を借りれば、
《・・
関東大震災発生後、人々は郊外へ移り住み、電車で通勤する中産階級の暮らしが生まれた。

郊外は、時代の激変に耐える個の生き方がくっきり見える場所だったが、
中産階級を描いた文学は「普通」と思われ、多くは語られなかった。
国木田独歩が発見した風景、家庭の幸福を描き続けた庄野潤三作品の凄(すご)み。
郊外の発展と文芸作品との関わりを論じた評論集。
・・》

この書評文に瞬時に魅了され、いずれ読んでみたい本のひとつとなった。

私は私は東京郊外の世田谷区に隣接した北多摩郡神代町(現・調布市)で、
1944〈昭和19)年の秋に農家の子として生を受けた。

その後もこの当時の生家の地域に於いては、田畑、竹林、雑木林が圧倒的に多く、緑豊かな町村であり、
生家は祖父と父が中心となって、程々に広い田畑を小作人だった人の好意を借りて、耕していた状況など、
幼年ながら私は鮮明に覚えていることが多い・・。

こうした幼年期の記憶があるが、その後1950〈昭和30〉年の前後、
急激に住宅地と変わり戸惑いながら、時代の変貌に多感な少年時代の私は、
心の奥底の自己形成まで影響を受けたのである。

そして明治時代の頃から、武蔵野、多摩丘陵など、時代の変貌を学びたく、
国木田独歩の『武蔵野』、徳冨蘆花の『みみずのたはこと』、そして庄野潤三の『夕べの雲』などで、
多々教示されてきたので、
川本三郎さんがどのような切り口で郊外を描くか、読みたい本となっている。

直ぐに読みたい本といっても、本屋で品切れの場合、
もとよりネットでアマゾンなどに注文し、入手するのは簡単であるが、
これでは益々街から本屋が消えてしまうと思い、
齢ばかり重ねた私でも、本屋は街の文化のひとつである、と確信しているので待ちわびるのである。


私は家内と共に初夏の陽気の中、帰宅した後、
定年後から平素の買い物担当となった私は、最寄りのスーパーで野菜ものなどを買い求めたり、
その後に我が家の一面が隣接した歩道が、古き緑葉が散乱していたので、
私は竹の立ち箒(タチボウキ)で30分ばかりで掃き清めたりした。

この間、私は買い求めた『旅は道づれ 雪月花』に於いて、
日本の各地の旅先で、訪れた地、一流の食事処、そして宿泊される旅館、ホテルに、
高峰秀子さんがどのように発露されるか、
或いは松山善三さんが確固たる綴りで、どのように表現されるか、
このように思いながら、至福なひとときを過ごした。

この夜、深夜の1時過ぎまで、高峰秀子・松山善三・共著の『旅は道づれ 雪月花』を読み、
そのように感じられましたか、と昭和60年前後に旅をされたご夫妻に敬愛を重ねながら読んだりした・・。


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