先程、ネットでニュースを見ている中、
【 急な寒暖差に気をつけろ~冬の突然死を防ぐために 】と見出しを見てしまった。
私は東京の調布市の片隅みに住む年金生活の73歳の身であるが、
もとより予告もなく突然死は困苦するので、どういうことですか、と思いながら記事を精読してしまった。
この記事は、病理専門医で科学・技術政策ウォッチャーされている榎木英介さんが、
ご自身で公開されている寄稿文であり、11月24日に配信され、無断であるが転載させて頂く。
《・・急な寒暖差に気をつけろ~冬の突然死を防ぐために
☆いきなり冬が・・・
今年(2017年)は、秋がなかったのだろうか・・・。
この記事を書いている11月24日現在、北海道には「低温に関する異常天候早期警戒情報」が出ている。
出典:低温に関する異常天候早期警戒情報(北海道地方) 平成29年11月23日14時30分 札幌管区気象台 発表今回の検討対象期間(11月28日から12月7日まで)において、
北海道地方では、11月30日頃からの1週間は、
気温が平年よりかなり低くなる確率が、30%以上と見込まれます。
北海道を含め、各地で早い初雪の便りが聞かれ、
急な寒さに、冬服を慌てて引っ張り出している人もいるだろう。

☆冷え込んだ日には解剖が・・・
私たち病理医は、冷え込んだ朝によく思うことがある。
今日は病理解剖(剖検)があるかもしれないな、と・・・。
経験的に、前日よりぐんと冷え込んだ日に、急性大動脈解離や急性心筋梗塞、脳出血など、
血管が原因の病気が、急に発症して、亡くなった方を解剖させていただくことがある。
急性大動脈解離は、動脈硬化などで、もろくなった血管の壁が割け、そこに血液が流れ込む病気だ。
急性心筋梗塞は、心臓に酸素と栄養を与えている冠動脈という血管が、詰まってしまう病気だ。
脳出血はその名の通り、脳の血管が切れて出血する病気だ。
私が書いた突然死に関する記事は以下だが、もののみごとに秋から冬に集中している。
- 車運転中の突然死を防ぐために~鶴ひろみさんの死から考える(2017年11月17日公開)
- 冬の心筋梗塞に注意を~「レイア姫」キャリー・フィッシャーさんの死から考える(2016年12月30日公開)
- 浴室での死者数は交通事故の4倍~平幹二郎さんの死から考える(2016年10月25日公開)
- 40代突然死の衝撃~前田健さんの急逝から考える(2016年4月27日公開)
- 運転中の突然死は防げるか?梅田事故の衝撃(2016年2月26日公開)
- 突然の死は血管が原因~阿藤快さんの死から考える(2015年11月16日公開)
なぜ冬にこうした血管の病気が急に発症するのか。
それは急な寒暖差が、原因となることがあるからだ。
☆急な寒暖差は危ない
暖かいところから、急に冷たいところに来たりすると、
自律神経の働きで心臓の鼓動が早くなり、血圧が上がる。
これを寒暖差疲労というようだ。
寒暖差疲労は、日本語の医学論文検索サイト「医中誌」で検索しても論文が出てこないので、
実のところ病理医の私には聞きなれない言葉だが。
言葉はともかく、急な気温の上下に対応しようとして、体には様々なことが起こる。
その時に血圧が急に上昇することがある。
単に寒すぎる、暑すぎるではないようだ。
若い人などは、多少血圧が上昇してもなんとかなる。
血管がしなやかで、血圧が上がっても、それに応じて血管が広がるからだ。
ところが、動脈硬化などで、血管が硬くなっていた場合、
あるいは生まれつき血管の壁がもろい人(マルファン症候群など)は、
急な血圧の上昇に、血管の壁が耐えられない場合がある。
いわば血管の壁がタックルされたようなもので、急な力に耐えきれず、血管にヒビが入ってしまう。
大動脈などでは、壁が割けてしまい、急性大動脈解離が発症する。
脳の血管など細い血管では、血管の壁が破れて出血する。
心臓の血管である冠動脈では、急に血液が流れ込むことで、
もろくなった血管の壁が傷つき、そこに血の塊ができて、血管を詰まらせてしまう。
こうして、急性大動脈解離、急性心筋梗塞、脳出血などが発症し、それが致命的になる場合があるのだ。
もちろん、どのようなときに発症するのか、それが死に至るのかは、
その人の血管の状態、体が感じる気温の変化の度合い、服装、救命処置の有無、治療など、
様々なことに影響される。
こうすればよい、悪いとズバッということはできない。
だから「~のことがある」などとあいまいな表現をせざるを得ないのだ。

☆”寒暖差死”をどう防ぐか
では、こうした寒暖差による突然死をどう防ぐべきだろうか。
当たり前のことではあるが、まず第一は、血管の健康を保つことだ。
先天性の病気は別として、動脈硬化は、長い時間かけて進む。
結局、暴飲暴食は避け、適度な運動を心がけ、禁煙するという当たり前のことをすることが重要だ。
それ、分かっているけど、できないんだよねぇ、とおっしゃる声が聞こえてくるが、
若くて血管がピチピチしているときに節制しようとは、なかなか思わないのが人間だ。
実際私自身も、実践できていないので偉そうなことは言えない。
習慣を変える方法は、書籍等を参照いただきたい。
もう動脈硬化が進んで、血管が硬くもろくなってしまった、という場合はどうすればよいだろう。
その場合は、極力急な寒暖差を避けるための工夫をすることが必要だ。
風呂場など、寒暖差を直接受けるような場所では、
脱衣室を温めたり、湯の温度を高くしすぎないことが重要だ。
重ね着をするなど服装には、注意することも重要だし、
水分補給は随時行い、血液ドロドロを防ぐことも重要だ。
〇〇を防ぐためにすべき5つのこと、のようなズバッとした記事を期待した人には申し訳ないが、
結局のところ、自らの健康を見つめ、それに対して対策を立てていくという当たり前のことが重要なのだ。・・》

私は年金生活の14年生の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
雑木の多い小庭の中で、築後39年を過ぎた古ぼけた一軒屋に住んでいる。
私たち夫婦はお互いに厚生年金とわずかな企業年金を頂き、程ほど貯金を取り崩しながら、
ささやかに過ごしている。
こうした中で、私は無念ながら体力の衰えを実感したり、物忘れも多くなり、
もとより健康でなければ、自身の日頃のささやかな願いも叶わないので、
いつの日にか認知症、或いは脳梗塞などの難病に遭遇したら、私自身は困窮する。
こうした対策として、毎日のように自宅から3キロ以内の周辺にある遊歩道、小公園などを
ひたすら歩き、ときおり大股で歩いたり、或いは足早に歩くことが多くなっている。
ここ一週間前の頃から、私の住む地域でも、急速に寒くなってきた。
この時節、私は冬のスポーツシャツで散策してきたが、
急速な寒さが増してきたので、カーデガンに準じたフリースを重ねて、颯爽と歩いたりしている。
或いは我が家の居間は、数週間前から暖房をしている。
もとより寒さに耐えて、風邪をひき、肺炎などになってしまったら、
高齢者夫婦の天敵と思い、暖めている。
そして入浴する前、脱衣場も30分前の頃から、暖めたりしている。
こうした根底には、今年の2月、私と同世代の男性で、ご近所の知人が、
急性心筋梗塞で突然に亡くなり、私は動顛しながら通夜に参列したりした。
今朝は、二階の寝室の雨戸を開けると、一階の屋根が霜(しも)で、
真っ白なベェールのように染められていた・・。
やがて地元の天気情報を視聴すると、朝6時は2度、昼下がりは14度、夜の6時は10度、
快晴の一日になります、と報じていた。
私はいつもように午前中は、平素の買物メール老ボーイで最寄のスーパーに行った後、
帰宅後に近くにある遊歩道、そして小公園を一時間半ばかり歩いたりした。
今回の榎木英介さんの寄稿文を読み、多々教示されたりした。
そして体力が衰えた高齢者の私は、《・・急な寒暖差に気をつけろ・・》、
改めて胆(きも)に銘じたりしている。
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