『 「一度壊れると元には戻らない」
40代から一気に衰える"最重要臓器"をご存じか
全身の健康にも深く関わる』、
と題された見出しを見たりした。
私は東京の調布市に住む年金生活の満77歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、たった2人だけ家庭であり、
そして私より5歳若い家内と共に、古ぼけた戸建てに住み、ささやかに過ごしている。
こうした中で、私はあと3年で、生かされればこのような真情の私は、今回の《・・40代から一気に衰える"最重要臓器"・・
・・全身の健康にも深く関わる・・》って、どのようなことなの、と思いながら、
記事を読んだりした。
この記事は、順天堂大学医学部の小林弘幸教授の『最高の体調を引き出す 超肺活』(アスコム)の中で、
「コロナ禍を乗り切るには、体のどこを鍛えればいいのか。
筋トレよりも、『肺トレ』をしてほしい。
肺は、心臓や全身の血管の健康に深く関わっている。
コロナ禍を乗り切るためにも、肺を鍛えたほうがいい」という、
このような主旨の記事で、【 プレジデントオンライン 】に於いて、2021年7月24日に配信され、
無断であるが、記事の殆どを転載させて頂く。
☆新型コロナが教えてくれた“肺”の大切さ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、
ECMOと呼ばれる特殊な医療機械が、広く一般の方々にも知られるようになりました。
エクモは、重症患者を救う「最後の切り札」として報じられていますが、
実際にどのような役割を果たしているのかまで知っている方は、
少ないのではないでしょうか。
エクモの役割とは、弱ってしまったある臓器をエクモが体外で人工的に代替し、
その臓器を一時的に休ませて、回復や治療の時間を稼ぐことにあります。
ある臓器とは、普段私たちがないがしろにしてきた臓器・肺です。
私が外科研修医時代、エクモの勉強でもっとも驚いたのが、
含まれているガスが、二酸化炭素か酸素かによって変わる「血液の色」についてでした。
二酸化炭素を含んだ濁った血液が、
人工肺を通過すると鮮やかで健康的な色に生まれ変わるさまを見て、
「肺」がいかに健康状態に大きな影響を与えているのかを思い知りました。
そして、知識としてはもちろん知っていましたが、
「酸素は、血液に乗って全身に運ばれていく」ということを、エクモを目の当たりにして痛感したのです。
そんな大切な臓器・肺がいま、病気にかからずとも悲鳴を上げていることを知っていますでしょうか?
今回は拙著『最高の体調を引き出す 超肺活』より、
弱った肺が健康に与える重大な影響から、肺の機能を取り戻す方法までをお伝えします。
☆肺は20代から衰えはじめている
呼吸をするとき、空気は鼻や口から取り込まれ、
喉(咽頭)と、声帯がある喉頭を通過し、気管へと入っていきます。
気管は、左右に枝分かれして気管支となり、それぞれ左右の肺につながっていきます。
枝分かれした気管支は、さらに枝分かれし、最終的には直径0・5ミリほどの太さになります。
気管全体を見ると、木を逆さまにしたような形をしているため、
「気管支樹」と呼ばれています。
その気管支の先端にあるのが「肺胞」と呼ばれる、わずか0・1ミリ程度の部位です。
肺の中におよそ3億から6億個あると言われています。
この肺胞が非常に重要です。
肺胞には、毛細血管が網の目のように取り巻いています。
全身を巡った血液は、心臓を経由して、肺胞までたどり着き、二酸化炭素を吐き出します。
それと同時に、肺胞のなかの酸素が血液の中に取り込まれます。
これが私たちが無意識にしている呼吸のメカニズムです。
このようにして私たちは、酸素を血液に取り込み、腸から吸収した栄養と結合させ、
生命活動に必要なエネルギーを生み出しているのです。
しかし、肺胞が壊れるなど肺が弱っていると、
肺胞から取り込める酸素量が減ります。
これを脳は酸素を運ぶ血液が不足していると認識し、心臓にもっと血液を送るように命じます。
すると、心臓や血管に負担がかかり、肺以外の部位に疾患が発生してしまう危険性があります。
つまり肺は、単に酸素と二酸化炭素を交換するだけの場所ではなく、
心臓や全身の血管の健康とも深く関わっているということです。
これまで多くの方が残念ながら、肺の状態に無関心でした。
じつは肺は20代から衰え始め、とくに喫煙者は40代になると、
急速に機能低下が進行します。
そして残念ながら、重要な役割を果たしている肺胞は、
一度壊れるともとには戻らないのです。
☆年間9万5000人が肺炎で命を落としている現実
肺の機能が衰えると、私たちにどんな不調が降りかかってくるのでしょうか。
真っ先にダメージを受けるのが、免疫システムです。
健康な人の呼吸器には、体に有害な物質から体を守る防御システムが備わっています。
「綿毛」は、1分間に1000回を超える速さで動いており、
気管内部を覆っている粘膜層を動かします。
この働きによって、ウイルスなどの病原体が侵入してきても、
粘膜層が捕獲し、捕らえられた病原体は、
咳とともに口に戻され、食道に飲み込まれる仕組みがあります。
ほかにも肺胞の表面に待機する免疫細胞による迎撃や、
血液中を巡回している別の免疫細胞を呼び寄せ、
徒労を組んで、病原体を撃退する免疫システムも肺は備えています。
これらの免疫システムが肺の衰えによって機能しなくなると、
感染症が重症化する危険性が出てきます。
また、肺の病気といえば、代表的なのは肺炎ですが、
じつは年間約9万5000人もの方が、肺炎によって
命を落としてしまっていることをご存知でしょうか?
肺炎とは、気管支や肺に炎症を起こし、肺の病態が著しく低下した状態を指します。
ウイルスが原因によるものや、
肺胞を包んでいる間質という組織が炎症を起こして発症するものなど、
肺炎と一口で言っても原因は様々です。
☆呼吸筋を鍛える“肺トレ”
このなかで、最近注目されているのが、間質性肺炎という病気です。
間質性肺炎は、ウイルス感染などの急性の場合をのぞき、
1年以上の時間をかけてゆっくりと進行していきます。
はじめは階段や坂道をのぼるときに、息切れする程度ですが、
病気が進行すると服を脱いだり、入浴したりといった日常動作で、痛みを伴う咳が出るようになります。
そしてそのまま放置しておくとやがて重篤化し、命を落とすケースが非常に多いです。
では、肺の機能の衰えは、あきらめるしかないのでしょうか?
答えは、否です。
肺の機能は、何歳になっても高めることができます。
実際、臨床の現場では、肺の手術が決まっている患者さんに、
手術の1週間前から肺の機能を鍛えるためのトレーニングをしてもらいます。
失った肺胞そのものを復活させることはできませんが、
呼吸筋を鍛えることで、呼吸する力を強化し、
血液を取り込む酸素量を増やすことはできるのです。
その方法として、呼吸器研究、循環器研究、自律神経学をもとに考案したのが
「肺活トレーニング」です。
今回は拙著『最高の体調を引き出す 超肺活』から、
肺の力を復活させる「肺活トレーニング」を2つご紹介いたします。
☆呼吸筋を鍛えるトレーニング2選
肺活トレーニングとは、肺のまわりの呼吸筋群を鍛え、呼吸する力を強化し、
肺の機能を高めるエクササイズです。
行う時間帯に決まりはありませんので、
好きな時間帯(できれば食後30分は避ける)に行ってみてください。
無理のない範囲で、毎日1セット~3セットを行うのがよいでしょう。
まずご紹介するのは、胸郭のトレーニングです。
続いて、肩甲骨周りのトレーニングです。
いかがでしたでしょうか?
ご紹介したトレーニングを含めた「肺活トレーニング」を、
一般の方に2週間試していただきました。
そのなかで、肺年齢が91歳だった52歳の男性が、
2週間後に48歳まで肺年齢が若返るという驚きの検査結果が報告されました。
☆死を意識して気づいた「ただ呼吸できる幸せ」
今回は、肺がどんな役割を果たしているのか、
肺機能が衰えると何が起こるのか、
そして肺機能をよみがえらせるためにベストなトレーニング法を紹介しました。
かくいう私も、肺と呼吸の大切さを痛感した出来事があります。
ある日を境に、ゴホゴホと咳が止まらなくなり、
普段通りの呼吸ができなくなってしまいました。
ぜんそくになってしまったのかと思いながらも、
ちょうどニューヨークへの出張が決まっており、さまざまな薬をもって渡米しました。
ところが到着すると症状は、さらに悪化し、
咳が止まらないどころか、数十秒、呼吸まで止まってしまったのです。
呼吸ができない時間は、とてつもなく長く感じました。
「大丈夫、すぐに戻る」と自分に言い聞かせながら、
なんとか平静を保とうとするものの、「死」という文字が脳裏に浮かびました。
現在は、適切な治療によって症状は落ち着きましたが、
思いがけず死にかけたことで「ただ呼吸できること」が、
いかに幸せなことか、ひしひしと感じました。
肺炎などで呼吸器が病気になると、筆舌しがたい苦しみを味わうことになります。
肺の機能の衰えは、自覚症状が少ないため、
「思いがけず病気になる」人がほとんどです。
とくにいまは、新型コロナウイルス感染症の流行で、肺はこれまで以上のリスクを抱えています。
呼吸ができない苦しみを味わわないためにも、
拙著『最高の体調を引き出す 超肺活』内で紹介している「肺活トレーニング」を通して、
いまのうちからしっかりと肺をメンテナンスしていってください。・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。

今回、順天堂大学医学部の小林弘幸教授の『最高の体調を引き出す 超肺活』(アスコム)の御著書より、
肺は、心臓や全身の血管の健康に深く関わっていることに、
多彩な面より、私は多々教示されたりした・・。