おくすり手帳、診察券、あと1つは〈季節の変わり目気をつけたい健康〉 』、
と題された見出しを見たりした。
救急車で病院に搬送されたりした。
そして循環器専門の府中市に所在する『榊原記念病院』に於いて、
10数名の医療スタッフの中で、
私は中央診察台で心電図、造影剤を入れてカテーテル、そしてCTスキャンなどの精密検査、
或いはレントゲン終えたのは、早朝3時半すぎであった・・。
やがて『胸膜炎』(追記・急性冠症候群)と病状とされ、しばらく経過観察したく・・
と入院が余儀なくされて、結果的に8泊9日の入院した、苦い体験がある。
そして幸運にも、この後は再発はなく、今日に至っている。
こうした体験のある私は、知人より『脳梗塞』の場合は更に大変だょ、
と教えられてきた。
今回、改めて学びたく記事を読んでしまった。
脳梗塞は、早期に適切な治療をすることで、かなり症状を改善できる数少ない病気だそう。
だからこそ、いざという時に落ち着いて行動できるように、
覚えておきたいことを過去の記事から振り返る。
(「AERA dot.」2023年3月23日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)
* * *
脳の血管が詰まる脳梗塞。
薬で血栓を溶かすt−PA治療や、カテーテルで血栓を除去する血栓回収療法など治療法は進歩している。
ただし、できる治療は発症後の時間により異なり、
有効な治療を受けるには、「時間との勝負」となる。
脳梗塞は、血管の詰まり方により、
「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」の3タイプに分けられる。
からだの片方のまひやしびれ、ろれつが回らないなどの5大症状がみられたら、
軽くても、すぐに救急車を呼ぶことが必要だ。
その理由を、横浜新都市脳神経外科病院院長の森本将史医師は、
「症状が軽い=軽症とは限らないため」と話す。
「ちょっと言葉が出にくい、足が動かしにくいなど軽い症状の場合、
小さい脳梗塞だからということもありますが、
大きな血管が詰まりかけていて、前兆として軽い症状が起こっていることもあります。
放置したことでその後、大きな症状が起こることも少なくありません」
家族に脳梗塞を疑う症状がみられて救急車を呼んだ場合、
到着までに準備してほしいものとして、東京慈恵会医科大学病院脳神経内科教授の井口保之医師は、
(1)おくすり手帳
(2)かかりつけ医療機関の診察券
(3)発症時刻(症状に気づいた時間)のメモを挙げる。
「昨日の夜寝るまでは元気で、今朝起きたら症状があった」という場合は、
「前夜寝た時間」と「今朝起きた時間」でいいという。
「神経が障害される病気の多くは、
治療しても発症前のように症状を完全になくすことは難しいのですが、
脳梗塞は、早期に適切な治療をすることで、かなり症状を改善できる数少ない病気といえます。
ただし、そのためには一分一秒でも早く治療を開始することが必要で、
この三つは、その重要な情報となります。
いざというときは、慌ててしまうことも多いため、
落ち着いて救急隊や医師に伝えてください」(井口医師)
■薬で血栓を溶かす治療法を検討
脳梗塞は、「発症後の時間」により治療法が異なる。
そのため脳梗塞の疑いがある場合、病院到着後すぐに診察と検査をおこなう。
検査ではとくに、脳の状態をみるMRI検査と、脳の血管をみるMRA検査が重要となる。
「MRIでは、起きたばかりの新しい脳梗塞だけを映し出す方法で、
急性期の脳梗塞かどうかを調べます。
血管が詰まりかけている、あるいは詰まったばかりで、
神経細胞が完全に壊死していない場合は、
ダメージを最小限におさえるため、すぐに血流を再開通させる治療を始めます」(森本医師)
急性期の脳梗塞の治療は、薬で血栓を溶かす「血栓溶解療法」と、
器具で血栓を取り除く「血栓回収療法」が主となる。
血栓溶解療法では、組織型プラスミノゲン・アクティベーター(t−PA)という薬を点滴し、
血栓を溶かす。
ただし、この治療は、発症から4・5時間以内に限られる。
「脳梗塞を起こして時間が経つと、その血管はダメージにより、血管壁がもろくなります。
t−PAで血栓が溶け、血管が再開通すると、もろくなった血管から出血するリスクがあるため、
発症後4・5時間を過ぎたらt−PAは使用できません」(同)
また、以前は就寝中などに発症した発症時刻が、不明の人には治療できなかったが、
2019年に適応が拡大された。
MRIでは、起こったばかりの変化を描出できる画像(DWI)と、
描出するまでに3~6時間かかる画像(FLAIR)があり、
DWIでは脳梗塞がみられるものの、FLAIRではみられないというミスマッチが生じた場合、
4・5時間以内に発症したと判断できる。
「発症時刻がわからない人でも、
2種類のMRI画像で4・5時間以内かを判断した上で、血栓溶解療法ができるようになりました。
これまで治療できなかった人が、t−PAにより救われる可能性が広がったといえます」(井口医師)
発症後4・5時間以上経過した場合や、
出血しやすい病気があるなどの理由でt−PA治療ができない場合、
血栓が大きく溶かしきれない場合は、血栓回収療法をおこなう。
カテーテルを挿入して、血栓を取り除く治療法で、
専用の器具で血栓を絡めとる方法と、血栓を吸引する方法がある。
この治療は原則として発症後24時間以内ならできるが、
細い血管にカテーテルを通すため、出血のリスクを伴う。
技術を要する治療であり、実施できる病院は限られる。
「治療しなければ、ほとんどの人が寝たきりになってしまうような閉塞でも、
経験豊富な医師のいる病院であれば、この治療により血栓の約9割は回収できます。
治療後、早くからリハビリをすることで、
そのうち半数の人は、歩いて自宅に帰れるほど元気に回復します」(森本医師)
森本医師は、いざというときに備え
「脳梗塞の治療に強い病院を調べておくと安心」と話す。
血栓回収療法を実施しており症例数が多いこと、
日本脳神経血管内治療学会の専門医が複数いること、
厚生労働省の認定する脳卒中専門の集中治療室「SCU(Stroke Care Unit)」があることなど、
病院のホームページで確認できることも多い。
SCUには「24時間専門医が常勤」、
「患者3人に対し看護師1人以上を配置」などの認可基準がある。
「脳梗塞は、、症状の急激な変化が多い病気です。
SCUでは、手厚く患者さんをみることができ、
神経症状の変化などにも素早く対応できる強みがあります」(同)
■ためらわずに一刻も早く救急車を
現在は、血栓回収療法を実施できる病院は、都市部に集約されている傾向があるが、
急性期脳卒中の診療体制を整えている地域や病院は増えていると井口医師は話す。
「救急車を呼んだ後のことを心配するより、早く救急車を呼ぶことが大事です。
優れた治療法があっても、24時間以内に治療できるのは3割以下。
時間オーバーで治療できないという事態を減らすためにも、まずは一刻も早く救急車を呼んでください」(井口医師)
(文・出村真理子)
※週刊朝日2023年3月31日号より・・》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。