ある朝突然といってもたいしたことではない。朝起きて台所の水道を捻ると水が出ない。寝ぼけているのか?洗面所もお風呂も出ない。今日は朝から出かけるのに、なんということだ。うちだけなのだろうか?マンションはとても静かだ。上の階へ聞きにくと、やはり断水だった。皆、炊事も洗濯もできないので静かにしているらしい。連絡をしてくださる家があるので、午前中には出るようになるだろう ということだった。幸い飲み水はあるが、顔は洗えない。何とか、準備して外出できた。
被災地の断水を思うと、文句は言えないと言い聞かせた。そんなことでなく、ある朝突然は起こる。お友達はある朝突然散歩から帰ってきたご主人が亡くなった。彼女は半年は現実を受け止められなかった という。私はある朝騙されていて、貸したお金が戻らないことがわかった。でも、これはお金のこと。生死にかかわらない。働くしかない。騙された私が馬鹿なのだ。その頃は、弱っていたから疑う力もなかったのだろう。
でも、悪いことばかりは起こらない。ある朝突然、幸せを感じることができることもある。そう、朝日の中で、小さな幸せかもしれないけど。生きていたよかったと。