小屋泊まりで部屋もゆったりしていたので昨日の睡眠不足を補って眠ることができた。お天気も今日はよさそうだ。
同室の体調の悪かった女性も少しよくなったといって0430時には出発していった。もう1人の大荷物のおねえさんも少しあとから元気いっぱい出発していった。なんとも頼もしい限りである。2人とも気をつけてね。
さて私はといえば、今日は雲ノ平に大きな荷物は置いてサブザックだけで秘湯中の秘湯、高天原温泉(2100M)に入りに行くことにして、0615時出発。
高天原はもともとモリブデンの鉱山があったところで、操業廃止後鉱山の飯場の建物を山小屋として転用して営業している。そのときの建物は見事に屋根がたわんで、床もかたむき独特の形をしていたが、2,3年前に建て替わっている。
その山小屋からさらに20分ほど歩いた川原に温泉が出ていて利用することができる。なにせ登山口から最低でも山中1泊、2日間歩かなくては行けないところなので、単に温泉が好きというだけではなかなかたどり着けない。秘湯中の秘湯といわれる所以である。
道の両側から潅木が迫っていて、昨日の雨のしずくが残っている早朝は合羽なしではたちまちびしょぬれになるので、お天気はいいのだが合羽着用である。
薬師岳(2926M)がどっしり大きく、たおやかな姿を見せている
木道を歩いたり
森の中を歩いたり
ハシゴを下ったりして
0725時、薬師沢から沢伝いの道、大東新道との合流点到着。
お天気はいいし、荷物は軽いし、鼻歌気分である。
ここまで来れば高天原はもう近い
小屋の手前はニッコウキスゲが満開で素晴らしい眺め
後は赤牛岳?
0810時小屋へ到着。新築されてきれいになっている
ここからさらに20分ほど下ると川原に温泉が見えてくる。囲ってあるのは女性専用風呂
昨夜同室だった若い女の子は2人とも囲いのない混浴露天風呂に入ったそうだ。ここでおばさんが混浴露天に入らなければ女がすたるというものだ。
というわけで、まずは写真を撮って、小さな板が敷いてあるスペースで裸になり、お湯に入る。熱からず、温からず。絶妙の温度である。あ~極楽。幸か不幸か誰も現れない。
いつまでも浸かっていたいがそうもいかないので上って服を着て、ここから20分ほどのところにある竜晶池を見に行く。池が2つあるだけだが、静かでいいところだ
池を往復しただけですでに汗をかく。もう一度お温泉に浸かりたい気分だが、このあと雲ノ平まで帰る間にまた汗だくになるに決まっているので止めておく。
小屋まで戻って、テラスでゆっくりお茶を飲んで来た道を引き返す。帰りは上りになるが荷物が軽いので楽勝、楽勝。ただ連日の雨で道がぬかるみ、靴もスパッツも泥だらけになるのには閉口する。
森を抜けて木道に戻ると水晶岳(2986M)の展望がいい
右、祖父(ジイ)岳、遠くの尖ったのは鷲羽岳(2924M)?
水晶の双耳峰をバックに私も
1400時前に小屋に戻る。今日はお天気もいいし、テント場の水も引いたと思うので荷物を持ってテント場へ移動する。
祖父岳(ジイダケ)に抱かれたテント場
どこへ張ろうかと思っていたら、太郎のテント場でいっしょだった熟年の男性2人先に張っていて、隣が空いていると声をかけてくれたのでそこへ張らせてもらう。
自分でテントを張るようになって3年ほどだが、まだまだ手際が悪くてテントの達人とはいえないので、ベテラン2人の前で設営するとなると少々緊張する。
テントにポールを差し込んで立ち上げるときにちょっとしたコツと力がいるのだが、1回で立ち上がらず苦戦していたらすかさず手伝って下さる。さらに石をつないで固定するのに、非力なので小さな石を利用していたら、大きな石を持ってきて下さる。恐縮、恐縮。
おかげで無事設営終了。お茶を沸かしてまったりしていると、男性の1人が、小屋から少し西に行った祖母岳に上ると眺めがすばらしいと教えてくれる。まだ1600時で日暮れまで時間があるし、往復1時間もあれば行けそうなので行ってみることにする。
祖母岳(バアダケ2560M)は岳といういかめしい字がついているが、丸い丘のような山だ。頂上まで木道がついていて、頂上にはベンチとテーブルがある。雲ノ平や周囲の山々が一望できる素晴らしい眺めである。
後は水晶岳の稜線。真ん中の建物は雲ノ平山荘。
あんまり気持ちがいいのでベンチに横になって空を見上げていたら知らぬ間に10分ほどウトウトとしてしまった。小屋からこんなに近いのに誰も上ってこないのが不思議である。
今日は温泉にも入ったしこんな素晴らしい眺めも堪能したし、幸せな気分でテントに戻り余韻を楽しみつつ夕食を食べたのだった。