久々に音楽映画を観る。ヴァイオリン協奏曲2番が「ラ・カンパネラ」として有名なヴァイオリニストであり作曲家でもあるパガニーニのお話。その奏法は超絶技巧といわれている。CDで時々聴いてはいるが、どの程度の超絶なのか観てみたいと期待しての鑑賞である。
故郷イタリアではその奏法からパガニーニは異端児として扱われ、報われない日々を送っている。女にだらしがなく、ギャンブル好き、しかも何やらクスリまでやっていて、荒んだ生活をしている。天才と狂気はまさに紙一重。そんなとき彼の才能に目をつけたのがウルバーニという男。彼はマネージャーとなりイギリス公演を計画し、パガニーニの気まぐれな生活に振り回されつつなんとかコンサートを成功させる。このあたり、まるで今のロック歌手のような観衆の熱狂ぶりで描かれている。そんななかパガニーニは指揮者の娘シャーロットに夢中になるが、清純な彼女は彼を受け入れることなく去ってしまう。
パガニーニを演じているのはディヴィッド・ギャレットという実際のヴァイオリニストなので、本物の演奏を見せてくれている。うーん、まさに超絶といえる指の動き。ただ劇中パガニーニがサングラスをかけているシーンがあるがその風貌が、しばらく前に世間を騒がせたニセ作曲家によく似ていておかしかった。
実際のパガニーニは他の奏者に真似されることを嫌い、あまり楽譜を残さなかったといわれているが、それでも現在でもその演奏を楽しめるということはあの複雑な奏法がどういう伝わり方をしたのか不思議でもある。
東宝系の映画館での上映だったが、本編の前の予告編やらお知らせが20分ほども続き、しかも大音響。これから音楽映画を楽しもうというときに興ざめだったのが残念だった