今日も朝から天気は上々。モルゲンロートのように赤く染まっていないけどとりあえず朝日があたりだした
前回来た時は装備も十分ではなかったのでここから上には行かなかったが、今日はコルまで上り、条件が良ければ奥穂高岳まで行ってみたい。
0600時、ヘルメット、ピッケル、アイゼンのフル装備で出発。これらを身に着けたのでザックはずいぶん軽くなった。小豆沢を直登、白出沢コルを目指す。
前方に青い服の人が見え、その差を縮めて行くがなかなか追いつくことはできない
斜度がきつく途中でザックを下して休むところがないので、時々立ち止まって息を整え、ひたすら上を目指す
前穂と高度が近づいてきた
しゃにむに上るが先行者にはついに追いつかず、2時間ほどでコルに到着。たしかにしんどいが、夏道のガレ場のザイテンを上るよりは、雪上の上りの方がある意味登りやすくて楽だし時間も短くて済んだ
さてここから奥穂を往復するかどうするか。ここからの標高差は200Mほどだが無雪期でも緊張を要するところなので思案のしどころである。雪は部分的にしかないが、実際に上って下りてきた人の話だと、一か所岩陰でガチガチに凍っているところがあって上りはともかく下りが怖かったとのこと。その一言で止めておこうと即決。
代わりに対面の涸沢岳に上ることにする。雪はないようなのでアイゼンを外していく
涸沢岳には20分ほどで到着。こちらも標高は3110Mと立派なものだが、3000M峰がいくつも並ぶ穂高・槍の稜線では地味な存在
見下ろせば穂高岳山荘、そしてその先奥穂高岳。途中雪面を上がってしばらくは雪がないようだが頂上直下にはまた雪が残っているようだ
前穂と奥穂
前穂稜線
奥穂からジャンダルムへの稜線
ジャンダルム
北側は槍ヶ岳方面。手前が北穂高岳
槍の左、笠ヶ岳方面
お天気はいいが時折風が吹いて寒いのでコルまで下りる。小屋の手前の階段が凍っている。ここでこけたらシャレにならないので慎重にっと
下りるのがもったいないので2時間ほど眺めを堪能して下りることにしたのだが、ここで背筋の寒くなる話を聴く羽目に。熟練者らしい男性がいうには、以前ここからの下りで下の方にいたら、滑落して斜面を滑り落ちてくる男性が、持っていたピッケルで額を切り流血していたところに出くわしたそうだ。命に別状はなかったようだが落ちる途中2名も巻き添えで負傷したとのこと。
滑落停止訓練は何回か受けたがその時は「転びました。今から落ちます」という感じでやっているのでできるのであって、本当に落ちたときにその通りにできるかは別問題。第一こんな斜度のきついところでは練習しない。斜度がきつくいったん滑りだしたらピッケル制動はかなり難しいのかもしれない。却ってピッケルが凶器になってしまうこともあるのだから恐ろしい。斜面では絶対に転んではいけないと肝に銘じて下山開始
「慎重に、慎重に、転んじゃダメ」と呪文のように唱えながら一歩ずつ下りていく。この斜度だと尻スキーも怖くてできない。滑りだしたらコントロールできず前につんのめったり、あらぬ方向にいってしまいそうだ。
ようやく少し斜度が緩んだので前を見ると先日登った常念岳が見える。あちらから見れば今の私がゴマ粒
もうここなら安全というところから少しだけ尻スキーに切り替えてヒュッテまで戻る。下りは上りの半分、1時間もかからなかった。無事でよかった!
最初の予定ではこの後横尾まで下山するはずだったが、下りてしまうのがもったいなくてもう一晩ヒュッテに泊まることにする。ゆったりお茶を沸かしてテラスで日向ぼっこ。日差しが強烈で暑いほどだ。
今回登山者の他にスノボ、スキー持参の人もいて思い思いにカールにシュプールができている。北穂の斜面からもボーダーが滑ってくる。左下のゴミくらいの大きさがそれ。なかなかやるものだ
今回出会ったスキーヤーたちは自分で道具を担いで来ていたが、最近はお金を払えばスキー一式を小屋の荷揚げに合わせてヘリで上げ下げしてくれるサービスもあるとか。そんな時代なのだ。
時間が余るので隣の涸沢小屋まで行ってみる。ここではソフトクリームが有名だが今日はおはぎがあったので食べることに。山でソフトクリームやおはぎとは。これも時代かな
ここのテラスからはヒュッテからとは別の角度でカールが眺められる。
雄大な涸沢カール。今はモノクロの世界だが、秋になればここが錦に染まるのだから自然とは不思議で素晴らしいものだ
よく観れば上部に大きな雪庇ができている
日暮れが遅いので1900時頃までは明るく雲もかからずずっと稜線が見えていた