若いころ名画座(今や絶滅危惧種!)でよく観たイングリッド・バーグマン、その生涯を本人が撮った16ミリフィルム、残した手紙、日記をもとに彼女の4人の子供たちが母を語るドキュメンタリー映画。今でいう不倫事件でずいぶん非難された時期もあったが、3度結婚し、できた4人の子供たちが皆母親を慕い懐かしく語っている。
彼女自身が映像を撮ることが好きでたくさんのホームムービーを残していたので、最近よくテレビで観られる陳腐な再現ドラマとは別物の貴重なプライベートフィルムで彼女の人生を辿ることができて興味深かかった。
同時代のハリウッド映画の女優のなかでは、肉感的な雰囲気はなく理知的な美しさとたくましくかわいらしさも備えた、私の好きな女優の一人だった。それらはプライベートな生き方にも通じるものだった気がする。
亡くなったのが67歳だったそうでいかにも早い。物持ちのいい人だったらしく、たびたびの引っ越しにも関わらずフィルム、日記、手紙など多くのものも捨てずに残していたとのこと。そのことが今回の記録映画に繋がったのだから捨てないことにも大いに価値がある。
しかし残して価値のあるものならいいが、膨大なガラクタが捨てられない私は真剣にその処分を考えなくてはと頭が痛くなるのだった。