■ストーリ
東京の西の近郊の小さな古道具屋でアルバイトをするヒトミ。
ダメ男感漂う店主・中野さん。
きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。
ヒトミと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。
どこかあやしい常連たち。不器用でスケールちいさく、
けれど奥の深い人々と、懐かしくもチープな品々。
中野商店を舞台に繰り広げられるなんともじれったい恋と
世代をこえた友情。
■感想 ☆☆☆
ありそうでなさそうな日常のかけら。
いそうでいないちょっと奇妙な人々。
ごく普通を装いながら、やはり特別なものが詰まった物語。
静かに静かに時が重ねられていく様子が
丁寧に描かれていて、その重ねられた時が
「古道具」を作り出しているんだと気づく。
いろんな人たちが「ごく普通の」日常を送っていて
でも、その「ごく普通の」日常は、絶対に誰かと
重なることのない「特別な」日々。
古道具はアンティークや骨董と違って、
それ自体が「特別なもの」ではなく、ほとんどが大量生産されたもの。
しかし、使われていくうち、時を重ねるうちに
どれもが「他のものとは違う」古道具になっていく。
そういう時を重ねることの愛しさがじっくりと描かれているんだと思う。
ヒトミとタケオの恋愛もじっくりじっくり、というよりは
見ているこちらがいらいらしてくるほど、うまくいかなくて
普段はオトメ度の高いアプローチをする小説の登場人物たちに
こういうふうに素直になればいいのね、と反省を促されている私が
「そんなの、好きって言っちゃえばいいのに!」とか
「ああ!もう!なんでそこで黙りこくるかな!」と
ついつい一言物申してしまいたくなるような不器用なもの。
けれど、中野商店の雑多でちょっぴり埃っぽい空気の中では
こんな不器用な二人もきちんと向き合えるのでは、と思わせられた。
古道具屋さんは「待つ」場所だから。
店主が決して積極的に売り込まず、店頭に並んでいる道具を
必要としてくれる人を待つ空間。
そういう待つ空気の中だったら、いつか二人が大人になる瞬間を
ほんの少し小器用に動ける瞬間を待てる。
そう思いかけた矢先、唐突にこの静謐な時間は終わりを告げる。
いや、終わりではない。
モノも空間も人との関係も永遠ではないけれど
「終わり」というものも存在しないのだろう。
ただ少しずつ形をかえていくんだと思う。
形を変えて続いていくんだと思う。
そう思わせてくれる静かで暖かいラスト。
化粧をするようになったヒトミと
大人の男性のようにきちんと会話を交わすタケオに勇気付けられる。
東京の西の近郊の小さな古道具屋でアルバイトをするヒトミ。
ダメ男感漂う店主・中野さん。
きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。
ヒトミと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。
どこかあやしい常連たち。不器用でスケールちいさく、
けれど奥の深い人々と、懐かしくもチープな品々。
中野商店を舞台に繰り広げられるなんともじれったい恋と
世代をこえた友情。
■感想 ☆☆☆
ありそうでなさそうな日常のかけら。
いそうでいないちょっと奇妙な人々。
ごく普通を装いながら、やはり特別なものが詰まった物語。
静かに静かに時が重ねられていく様子が
丁寧に描かれていて、その重ねられた時が
「古道具」を作り出しているんだと気づく。
いろんな人たちが「ごく普通の」日常を送っていて
でも、その「ごく普通の」日常は、絶対に誰かと
重なることのない「特別な」日々。
古道具はアンティークや骨董と違って、
それ自体が「特別なもの」ではなく、ほとんどが大量生産されたもの。
しかし、使われていくうち、時を重ねるうちに
どれもが「他のものとは違う」古道具になっていく。
そういう時を重ねることの愛しさがじっくりと描かれているんだと思う。
ヒトミとタケオの恋愛もじっくりじっくり、というよりは
見ているこちらがいらいらしてくるほど、うまくいかなくて
普段はオトメ度の高いアプローチをする小説の登場人物たちに
こういうふうに素直になればいいのね、と反省を促されている私が
「そんなの、好きって言っちゃえばいいのに!」とか
「ああ!もう!なんでそこで黙りこくるかな!」と
ついつい一言物申してしまいたくなるような不器用なもの。
けれど、中野商店の雑多でちょっぴり埃っぽい空気の中では
こんな不器用な二人もきちんと向き合えるのでは、と思わせられた。
古道具屋さんは「待つ」場所だから。
店主が決して積極的に売り込まず、店頭に並んでいる道具を
必要としてくれる人を待つ空間。
そういう待つ空気の中だったら、いつか二人が大人になる瞬間を
ほんの少し小器用に動ける瞬間を待てる。
そう思いかけた矢先、唐突にこの静謐な時間は終わりを告げる。
いや、終わりではない。
モノも空間も人との関係も永遠ではないけれど
「終わり」というものも存在しないのだろう。
ただ少しずつ形をかえていくんだと思う。
形を変えて続いていくんだと思う。
そう思わせてくれる静かで暖かいラスト。
化粧をするようになったヒトミと
大人の男性のようにきちんと会話を交わすタケオに勇気付けられる。