のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

北斗の拳 / 2006年日本

2006年03月15日 23時37分39秒 | 映画鑑賞
■ストーリ
 世界大戦による核戦争後の近未来。そこは暴力が支配する
 闇と混沌の世界だった。そんな世でも千八百年の歴史を持つ
 究極の暗殺拳・北斗神拳は、一子相伝の厳格な掟のもとに
 守り続けられていた。長兄ラオウ、次兄トキ、末弟ケンシロウ。
 その伝承権がケンシロウの手にゆだねられた時、時代の歯車が
 大きく回りはじめる。ケンシロウは民衆とともに戦い続け、
 いつしか救世主と呼ばれる道を歩む。
 一方、北斗を離れたラオウは信じた。武力と恐怖による支配こそ
 この世界に新たな秩序をもたらすと。

■感想 ☆☆
 既に伝えていますが、北斗の拳についての知識は皆無です。
 漫画もアニメも見たことがなく、「アニメ特集」とか
 「主題歌特集」などで絵柄を見たことがある程度です。
 かろうじて、主人公は知っている程度。
 そういうわけで、この映画でもきちんと楽しめました。
 北斗の拳大好きっ子の先輩はかなり不満そうでした。
 原作を知っている方には消化不良のようです。
 まったくもって知識がないのりぞうのほうが楽しめる、というのも
 なんだか不思議な話ですが。

 しかし、原作をまったく知らないのりぞうにとって
 この映画の主人公は一体、誰なのかちっとも分かりませんでした。
 勿論、唯一知っているといってもいい知識が主人公の名前なので
 ケンシローが主人公だということはわかっているのです。

 でも、ちっともがんばってないのです。話の中心にいないのです。
 常に苦しんだり、努力したり、苦悩したり、戦ったりしているのは
 彼の周辺の人たちや彼のライバル。というか、そちらに焦点を
 あてすぎているため、ケンシローの出番は中盤までほぼない状態だし。

 おかげでもっとも魅力的に見えたのはラオウでした。
 彼の苦悩が一番、人間的で現実的で、そして誠実だったような気がする。
 彼は力で世の中を治めようとし、戦いに積極的に参加し
 その結果、世の中はどんどん荒れ果てていくわけですが
 そこにはまったく悪意がないのです。(と見えました。)
 彼は故郷のために、大事な人たちのために戦いに参加する。
 力だけでは何も解決しないと分かっていて、それでも力以上の
 解決方法を持っていないために、そうせざるをえない。
 そういう切実な感じが伝わってきて、彼の今後が一番切なかったのです。

 ラスト、解決したようなしないような、誰と誰の戦いだったのか
 そもそもなんで戦ってたのか、とかちょっと話が掴めてないことも
 否めませんが、それでも楽しみました。

 ・・・・でも、漫画を読破するぞ!とは思いませんけど。
 暴力はやはり苦手です。

県庁の星 / 桂望美

2006年03月15日 23時15分28秒 | 読書歴
■ストーリ
 野村聡。31歳。Y県職員一種試験に合格。入庁9年目。
 Y県初の民間人事交流研修対象者6名の一人に選ばれたエリートだ。
 一年間の研修を無事にこなして戻れば、念願の係長になれる。
 ところが、辞令交付式で命じられた赴任先は地方のスーパー。
 もらった予算は使いきるもの!
 人を“使役”してこその“役人”だ!
 大勘違い野郎の「県庁さん」がド田舎のスーパーで浮きまくり。
 生まれて初めてバカと呼ばれた県庁さんはこのまま「民間」で
 やっていけるのか?

■感想 ☆☆☆*
 映画化されたのも納得の作品。
 読んでいる間中、映像がどんどん頭の中に入り込んでくる感じで
 テンポよく読み進めることができた。まさにエンターテイメント。
 小説というよりシナリオのような作品。読者に喜んでもらいたいという
 作者の思いが伝わってくる。

 とてつもなくデフォルメされた「役人」と「スーパーのおばちゃん」。
 彼らがお互いに影響を与え合って少しずつ変わっていく。
 どちらが上、とかどちらが優れている、というわけではない。
 どちらにもいいところ、見習うべきところがあり、どちらにも
 どうしようもないところ、腹立たしいところがある。
 デフォルメされているのに、ごく普通の現実的な人間関係が構築される。

 何かと非難の対象になりやすい「役人」だが、彼ら全員が
 そして、彼らのやっていることすべてが無駄というわけではない。
 確かに彼らのやっていることは「効率悪いこと」なのかもしれない。
 けれども、「効率悪いこと」が無駄なわけではない。
 効率が悪くてもやらなければいけないこと、民間企業が利益重視のために
 追えない理想を追うのが彼らの役目なんだろう。
 そして、その底辺に必要なのが「相手のため」「市民のため」
 「お客様のため」という気持ちなんだと思う。

 そういう気持ちを二宮から学ぶ聡。そして聡と接することで
 がむしゃらに頑張ることを、理想をおうことを思い出す二宮。
 「できすぎ」のあまい作品かもしれない。
 けれど、こういう分かり合える姿ってすがすがしくて気持ちがいい。

 ぜひ、公務員の方々の感想を聞いてみたい作品。 

いい歳旅立ち / 阿川佐和子

2006年03月15日 22時54分12秒 | 読書歴
■内容
 人生なかば?出会いは続く。
 “いい日”を夢見て“いい歳”になった。今からだって遅くない。
  旅立ちはこれからだ!爽快エッセイ集・サワコヒストリー。

■感想 ☆☆☆
 佐和子さんの文章大好きな私は、彼女のエッセイ集を図書館で見かけると
 借りずにはいられません。既に10冊選んでいても、どれかを本棚に返し
 佐和子さんを選ぶ私です。それぐらい好き。

 今回の佐和子さんは小さい頃からの思い出の風景をいつもより
 ユーモア少なめでしっとりと書き綴ります。
 あくまでも控えめ。ユーモアがないわけではありません。
 そういった文章に対する調味料の配分が大好きなのです。

 若い頃は「仕事をしても腰掛になるだけだから」と会社に属さなかった
 佐和子さん。そんな彼女は今も溌剌と働き続け、好奇心の固まりで
 日常生活の面白いことを見つけ出します。日常の怒りも素直に書き綴り
 最近の若者に憤慨し、でも楽しいことも見つけ出して
 最近の若者も捨てたもんじゃないとにんまりする。
 この感情の起伏が若さの秘訣なんだろうな。

 カバーイラストはいつもと同じく和田誠さん。
 彼女の幼少時から今までの姿を年代を追って描いています。
 その姿が本当に阿川さんを彷彿とさせてにっこりしちゃいます。