太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ラテン弁護士 その1

2015-01-21 16:15:11 | 人生で出会った人々
人との出会いは、まさに絶妙のタイミングで、

必要なときに、必要な人に出会えるようになっている。


10年余の結婚生活に突然疑問を感じたのは40才になろうかというときだった。

理由はありすぎるほどあった。

結婚したその日から、夫婦生活が1度もなかった。

相手はものすごく気難しい人で、喧嘩をすると何日も口をきかず、

私はそれが嫌なために、相手を怒らせないように細心の注意を払いながら生きていた。

くさいものには蓋をして、ひたすら波風がたたないようにしていた。

どうしてそんな生活が10年も続いたのか、そのほうが不思議なのだが、

その理由もいろいろあった。

もしも母だったら我慢するだろうと思ったし、こんなことに耐えられるのは私ぐらいしかいない、という方向に

気持ちのベクトルが向いていたから、

我慢すればするほど、私は自分がエラクなったような気がしていたのだと思う。



とにかく、ある日突然、これはおかしい、と思った。

いったん気づいてしまったら、気づく前には戻れない。

友人が、夫だった人が女性と腕を組んで歩いているのを見たよと教えてくれたとき

私は何の感情も沸いてこなかった。悔しくもなし、怒りもなし。

ああもうこれはダメだな、と思った。


ちょうどそんなとき、彗星のように「新しい人」が現れて、私たちは急激に惹かれあった。

私はさっさと古い結婚にケリをつけて、その「新しい人」と新たにやり直したい一心で

懇願する相手を振り返りもせずに家を出た。


そのあとは、離婚したい私と、離婚したくない相手との神経戦だった。


一人の友人が、弁護士を間に入れたほうがいい、と助言してくれたけれど

弁護士料もばかにはならないし、そこまでしなくてもいいと思ったので渋っていた。

友人はあきらめず、半ば強引に知り合いの弁護士を紹介してくれた。

「ただ話を聞いてもらうだけでいいんだから。お願い」

友人の熱意に押されもし、じゃあ話を聞いてもらうだけなら、とその弁護士のドアをたたいたのだった。



年の頃は50代半ば。

元気がよくて声が大きいその弁護士は、笑顔で私を迎えてくれた。

一通り、いきさつを話すと、その弁護士は開口一番言った。


「なんとまあ希薄でお粗末な夫婦関係ですなぁー」


その言葉が、ストンと腑に落ちた。

まさにそうなのだ。

結婚するまでに5年、結婚してから11年、つごう16年も私と相手は一緒にいたのに、

私たちは一切相手と向き合うことをしてこなかった。

それはそのまま、自分と向き合うこともしてこなかったのと同じ。



帰り際、お金を払おうとすると、弁護士はおおげさに両手をふって

「ま、今日のところはいいからいいから。次のときでいいからいいから。ぶはははーー!」

ひたすら明るく元気なラテン弁護士は、ドアまで私を送ってくれて、

両手でピースサインをしながら笑顔で見送ってくれた。




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サイエンス

2015-01-21 10:50:25 | 日記
夫の友人に、フォトグラファーがいる。

その人が、新しい試みを企画しているので実験台になってほしいというので出かけた。



ガレージの前におかれたテントは、現像用。


中はこんなふうになってる。


何をやろうとしているのかというと、

撮った写真を金属の板に現像しようというのだ。




一生懸命説明してくれるんだけど、科学も化学もまったーーーくわからん。

ただ、この鼻にツンと来る匂いは、昔テレビ局で働いていたときの暗室の匂いと同じ。

画面に映る文字を現像していたのだけれど(パソコン導入前の話)、写真の現像と理屈は同じなのかもしれない。




ここで座って写真を撮る。

じっとしている時間は3秒から6秒。


できあがった写真は、

白黒で、セピア色で、金属板の質感がブリキのようで、

まるで100年前の写真のようだ。

普通の写真と同じぐらいの大きさの金属板に現像したけど、

もっと大きなサイズに現像したら、広告やアートとしておもしろいかも。

試作を繰り返したら、この技法で売り込みをするのだそうだ。






せっかく来たので、友人宅のプールでひと泳ぎ。



うまくいくといいがなあ。




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