太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

わたしは「ノリコ」

2018-06-25 07:08:06 | 日記
職場に出入りする人が、私のことを

「ノリコ」

と呼ぶ。

ネームタグをつけているのだが、どこでどう勘違いしたか、いつも

「ハーイ、ノリコ!」

と声をかけてくれる。

最初にそれに気づいた時に、指摘すればよかったのだけれど、

そのとき私も他のことをしていたし、距離も遠かったので、なんとなく流してしまい、

以来、ずっと私は「ノリコ」のままである。

こうなると、もう指摘するタイミングをつかめない。

実は私の名前は○○なんです、と改めて言うほどの間柄でもないように思うし、

せっかく私の名前を呼んでくれているのに水を差すようで悪い。

しかし、間違ったまま放置するのは、それはそれで失礼ではないか、という思いもあって

その人が来て私を呼ぶたびに、心の中がざらざらとする。



自分のことがめんどくさいと思うのは、こんな時だ。



同僚が、顔に大きなニキビや引っ掻き傷、荒れて赤くなったりしているのを見ても

相手が何か言うまで、私は何も言わない。

それを指摘したところで、本人は百も承知のことである。

言いたければ言うだろうし、そうでなければ聞くのは悪いと思ってしまう。

数年前、まぶたの裏にデキモノができたとき、当時働いていた職場の隣の店で働いていたAちゃんが

私の顔を見るなり

「どしたぁー、その目!!」

と目をまあるくして言った。

私はAちゃんの、そのあっけらかんさがすごく羨ましいと思った。

私はすぐに、こう言ったら相手はどう思うだろうか、などと考え、思ったことを言えないことがある。

他人がどう思うかなど、一晩考えたところでわかるはずがない。

何の気なしに言ったことを、あとになって、あれは言い方がまずかったんじゃないかとか

ぐじぐじ考えることもあり、めんどくさいことこの上ないのである。

何も考えずにさらりと言ったら、案外さらりと受け流してもらえるものだとわかっていて、

それができない。




父の日のプレゼントで、夫の父も旅行で留守のことだし、義父の自転車をチューンナップすることにして

昨日、義父がいつも行く自転車ショップに自転車を持ち込んだ。

夫と店の人が手続きをしている間、店の中を眺めていたら、レジカウンターに大きなサインがあって

そこには日本語でこう書かれていた。

『歩道に乗っていない。自転車、または通りを使う』

そしてそのあとには、なぜか同じ文章がローマ字で書いてある。

カイルアは最近、日本の旅行者が増えているから、そこでも自転車をレンタルするようになったようだ。

歩道を走らず、自転車専用レーンか車道を走ること、という意味なのだろう。

想像を巡らせれば、わからなくもないが、同じ紙が店の外にも貼られていて目立つ。

これは言うべきか、でもおせっかいだと思われるのも心外だし、と思っていると

「どうしたの」

と夫が声をかけてきた。説明すると

「それは言ってあげなよ。指摘して、それを採用するしないは店の自由なんだし」

まだグズグズしている私の代わりに、夫が店の人に説明し、

私は紙に最初の文章だけ、書き直した。

『歩道を走らない  HODO WO HASHIRANAI』

ローマ字も書いておいた。

店の人は、グーグルの翻訳を使って作ったのだと言った。

見知らぬ白人のお客がやりとりを見ていて

「わお!すごいわね、ネイティブは」

と私の肩を叩いた。









さて、今日もその人が来て、やっぱり私をノリコと呼び、

私は笑って手を振り返した。

ノリコは姉の名前だし、そういう意味ではとんでもなく違うってわけでもないしね、

と無理クリな理由をつけて自分を納得させようとしている。















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