太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

藤沢周平を添削する人

2022-04-04 08:32:54 | 日記
日本の本は、BOOKOFFで買う。
古本ではない本を売る店も一つあるのだが、品揃えが薄い。
読みたい本が決まっているならそこで取り寄せもできるけれど、これが欲しい!ということは滅多になく、棚から選ぶのも楽しみのひとつ。

10年前、私がBOOKOFFで働いていた頃は、日本の本が店の半分ほどを占めていた。
それが年々減ってきて、経営がBOOKOFF USAになってからはますます顕著になり、今では店の片隅の3面ほどに申し訳程度に並んでいるばかり。
1日でも本を読まない日はない私は、どんなにゆっくり読もうとしても、かなりの冊数の本がいる。
従業員内でプロパーと呼んでいた、通常価格の本は4ドルから5ドルなので、まず1ドルの棚を見る。
1度に買うのは10冊ほどで、1ドルとプロパーが半々ぐらい。

その1ドル本。
ページに棒線が引いてあったり、登場人物の名前を〇で囲んであったりするものがある。
読み進めていくうちに、これは誰だっけ?と前のページに戻ることもあるから、〇で囲みたい気持ちはわかるし、
棒線のところにこの人は感動したんだなー、と思ったりもする。
私が働いていた時には、書き込みのあるものは売らずに処分したものだけれど、まあ1ドルだし、そのぐらいはいいとしよう。


それが、今読んでいる藤沢周平氏の本は、いちいち添削してある。
たとえばこんなふうだ。

「しかしこれで洗いざらいお話してくれたというわけでもないでしょう」

というセリフの、してくれた、を棒で消して、欄外に『お話して下さった、話して下された』
と書き直してある。

「稽古をつけてやると言われて、お相手しているうちに」

の、お相手のあとに『を』を書き入れている。

「野瀬さまはおりません」

は、『おられ』ません、に直してあり、

「わしは出かけると申て出ていきました」

は、『申されて』になっている。


間違いではないのだけれど、べつにそのままでもいいんじゃないか。
天下の藤沢周平氏を添削するあなたは一体何様だ?
それでも日本の本は貴重なので、ぐっと堪えて読み進めている。