太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

落ち込んだ時に見る写真

2022-04-20 07:58:51 | 日記
カリフォルニアから来た男性が見せてくれたミリタリーのIDを見て、私は思わず吹き出してしまった。
目をまるく見開いた、つまり驚いた顔。

映画「ホーム アローン」のマコーレー君に酷似(頬の手はないけどね)
髪の毛は寝ぐせまでついていた。

「ほんとにこれでいいの?」

私が聞いた。

「いやー、僕もこれはどうかと思ったけど、いいって言うからさー」
「これ見て笑わない人はいないのよ」

奥さんも笑いながら言う。
失礼ながら、何度も見せてもらい、笑わしてもらった。

確かにアメリカは証明写真が自由だ。
運転免許証の写真を撮るとき、日本のように真面目な顔をすると怒られる。
2回目の更新のときも、
「笑って笑って、もっと笑って。まだまだ。歯が見えないわよ」
「日本じゃ笑うと怒られるから、つい・・・」
「なんで笑っちゃダメなの?」
「さあ・・・・」
頭に大きなハイビスカスを付けて、大口あけて笑っている写真も見たことがあるし、
夫のダイビングのIDなど、斜め上を向いて笑っている。


だいたい、日本で撮る証明写真は、不幸顔か犯人顔にしかならない。
前述のカリフォルニア男性のIDのように、見た人が笑ってしまうような写真のほうがずっといいのにな、と思う。

昔、社内旅行で京都に行った際、映画村で芸者の衣装を着て写真を撮った。
家に持って帰って家族に見せたら、家族全員が腹を抱えて笑いころげた。
滅多に笑わない祖父までが、にやりと笑った。
紫系の着物を着て、かつらをつけて澄ました顔は、どう見てもドリフターズに出てきそうな雰囲気。
着物に合わせて、顔を白く塗ったのが悪かったか。
アイラインを引きすぎて、目つきが悪くなったか。
口紅を赤く塗り過ぎたか。
チークは入れないほうがよかったか。
とにかく、1度見たら忘れられないほどのおもしろい写真で、嫁入り前の私としては封印したかったのだが、

「こんなおもしろいもの、落ち込んだ時に見させてもらう」

と言って、母と姉がどこかに隠してしまった。
あれはどこにあるのだろう。
そのあと、実家は二世帯住宅に建て替えたりして、荷物は整理したはず。
ある時、姉にその写真のことを聞いてみたら、
「うーん・・・おかあさんなら知ってるかも」
母に聞くチャンスもないまま、母は写真のありかを墓場まで持っていってしまった。

いつか日本に行く時があったら、なんとか写真を探し出して思い切り笑おうと思っている。