太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

あれから1年

2022-09-03 09:22:50 | 不思議なはなし
ハワイ時間の9月1日は、母の命日だった。
グループホームから総合病院に入院して10日余、病院に駆け付けた姉から、
「午前11時43分、亡くなりました」
というLINEを受け取ったのが、まるで先月のことのようだ。
死に目に立ち会えなかったどころか、2年も母に会っていないままだったから、1年たった今でもまだ、日本に行けば母がいるような気がしている。

近い親族だけで一周忌をやったときの、みんなで写した写真を妹が送ってくれた。
何年か会っていない間に、若い人たちはどんどん変わってゆく。
大学生になり、東京で初めての一人暮らしを始めた甥の背が伸びて、痩せて、すっかり大人の男みたいになっていた。


マッサージセラピストをしている妹は基本的には地元のサロンにいるが、時々、両親の住まいを借りて出張施術することがある。
母と懇意だった保険の仕事をしている女性の施術をすることになったとき、その前の晩に女性が夢をみた。
夢の中で、両親の家のリビングで、母が女性に向かって

「よろしくお願いいたします」

と頭を下げたそうだ。

「優しくて、きれいなおかあさんでしたね」

とその人が言い、

「それを聞いたら、泣きそうになった」

と妹が言った。
私だって、それを聞いたら泣きそうになった。
姿は見えなくても、母はちゃんとこっちのことを見てる。

妹が、自分の夢には1度も出てこないと文句を言うが、あるとき寝ていて、なにか触った気がして、とっさに「おかあさん!!!」と思ったそうだ。

「でも誰もいないし、思い違いだったみたい」

いやいや、そうじゃなくて。
とっさにそう思ったのなら、それはおかあさんだったに決まっている。

私は母が亡くなった日に、母の不思議な夢を見た。
姉は、母は夢には出てこないが、寝入りばなに「〇〇ちゃん」と呼ばれたので思わず返事をした、と言っていた。
私は夢は見るが、私も母に呼ばれたりしてみたい。
あちらにも事情があって、夢に出やすい人、出にくい人というのがあるのだろうか。



母は、見えない世界のこと、科学的には説明のつかないこと、不思議な話が好きだった。
よく、そういう話をしたし、冝保愛子さんの講演会に二人で行ったことだってあったのだ。
だから母は、実際にこっちに来てみたらこうだったよ、ということを私に話したいんじゃないかな。
そんなことを思い出していたとき、アフターライフの夢は、母のメッセージだったのだ、ということに気がついた。

死んだあとで出される『どう生きてきて、これからどうなりたいか』という質問に、母はなんと書いたのだろう。

「私も急に聞かれて困ったから、アンタは今のうちに考えておいたほうがいいよって思ってサ」

母のそんな声が聞こえてきそうである。



おかあさん ありがとう