太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

16年

2022-12-27 08:07:47 | 日記
クリスマスの翌日は、私たちの結婚記念日である。
10時に美容院に行って髪を切って、夫と記念日のランチを食べに「RIGO」に行った。
RIGOは日本人シェフの、イタリアン・スパニッシュレストラン。
最後に行ったのはパンデミック前だから、3年ぶりだ。

雰囲気もいいし、食事も美味しい。
こういう良いレストランが、パンデミックを生き延びてくれて嬉しい。
銀行だった建物をレストランにしているので、頑丈なドアの金庫が店内にある。

スペイン料理のタパスは、スペインの居酒屋スタイルと思えばいい。
小さな盛り付けの小皿がいろいろあって、いくつも頼んでみんなでシェアして食べるのが楽しい。
エビのオリーブオイル煮

アサリとアスパラとトマトのリゾット

写真を撮り忘れたけど、チキンシーザーサラダ。
ガーリックチーズトーストがついてくる。


この店で忘れてならないのは、ティラミス。
以前は四角く切って出されていたけど、このようにカップ入りになっていた。味は同じ。
このティラミスは、私が食べたどのティラミスよりも美味しい。
たまに品切れになっていることがあるから、私はテーブルについたら確認することにしている。

結婚記念日だからといって、何か特別なことはしない。
今日のランチだって、予約もしないで行ってみたし。

私がまだ独身だった頃、女性ばかりの異業種交流会に所属していたことがある。
四十代以上の自営業が殆どで、あとは30代のフリーランスで仕事をしている人や、私のように家族経営の会社にいる人が数人。
月に1度集まって何か企画したり、社会見学と称してどこかに行ったり、世間知らずの私には良い社会勉強の場だった。
その中に、老舗のテイラーを営むTさんがいた。
Tさんはたぶん40代半ばぐらいで、子供がいなかった。いつも素敵なスーツを颯爽と着こなして、朗らかで楽しい人だ。
他の熟女たちが、
「Tさんは結婚記念日や誕生日に、50本以上の豪華なバラの花束なんかもらうのよねー」
と、冷やかすように言うのだが、その根底に黒い嫉妬があることに私は気づいていた。
なぜか、家庭が円満でない人が多かった。
するとTさんは、
「子供がいないと、こういうことでメリハリつけないとダメなのよ」
と言った。
私はそれを聞いて、そんなものか、そうかもしれない、と妙に納得してしまったけれど、自分にいろいろなことがあってからは疑問に思うようになった。

あれはTさんがその場をさらりと切り抜けるための方便だったのか、それとも本心であったのか。
幸せでない熟女たちが、納得したのか、「チっ!」と思ったのか。

子供のいない夫婦というものを、通算27年やってみて思うのは、
そんなメリハリをつけたところで、離れたものが近くなることはなく、現状維持の役にも、立つかどうかわからないということだ。

サプライズも、バラの花束も、豪華なディナーも、プレゼントも、なんだか嘘くさい。
何日も前から、結婚記念日だねー、と言い合い、
思い立ってレストランでランチを食べ、なんということのないことを話し、うちはそれがいいのだと思う。