太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

大食い

2023-07-27 08:05:37 | 日記
色川武大氏のエッセイを読んでいたら、人はここまで食べられるものかと不思議なぐらいの大食いであった。
色川氏は阿佐田哲也の名前で麻雀放浪記を書いたり、また別名で時代物を書いたりしていることは知っていたが、まさか稀代の大食いであるとは知らなかった。

ふた昔前、日本で大食い選手権なる番組が流行ったことがあった。
当時、ときどきその番組を見ていたけれど、見ているコチラが胸がいっぱいになるほどの量を食べる人達に限って、スリムだったりする。
総量にして何キロもありそうな食べ物が、いったいどこに収まってしまうのだろう。

しかし色川氏の大食いは、そんな比ではない。
1年365日、1日に5,6回食事をし、人並外れた大食いなのである。
たとえば、ある日のメニュー。

朝6時半
ひじき、カレイの煮つけ、オムレツ(玉ねぎとひき肉)、豆腐とわかめの味噌汁、キュウリの漬物

午後1時
ポテトコロッケ2個・ほうれんそう添え、冷ややっこ半分、きんぴらごぼう、ネギの味噌汁、ごはん2膳

午後4時
ソース焼きそばの大盛

午後7時
天ぷら(芋、ニンジン、ナス、エビ、かき揚げ)、もやしと白滝の炒め物、とろろ、なめこの味噌汁、ごはん2膳、きゅうりの味噌漬け

夜12時
中トロの刺身、おから、ほうれんそうの胡麻和え、イワシつみれの吸い物、ご飯2膳、ナスと大根の味噌漬け

真夜中3時頃
トマトシチュー、トーストの厚切り2枚、生ハム、サラダ

この他に毎日食べるもの
野菜ジュース(大ジョッキ1杯)、資生堂パーラーのシャーベット、果物、生菓子があれば1日に4,5個
大好物の混ぜご飯は、1度に4合食べる


これを、1日で食べてしまう。
これが毎日である。
日本人の食卓なら、彼の1食分が夕食のメニューだろう(我が家だったら、4,5日分の夕食だ)。
食べるのもすごいが、これを全部料理する奥方の苦労はいかばかりか。朝6時から、夜中の3時まで、奥方はいったいいつ眠るのだ。
食費のかかりようも半端ではないだろう。

色川氏はナルコレプシーという奇病で、突如眠り込んだり起きたりで、睡眠が断続的になってしまうので、食事のリズムも不規則になり、起きている間中、空腹感に苛まれるという。
さらに円形恐怖症で、リンゴや卵といった丸いものが怖いのだそうだ。
60歳で心臓発作で他界したが、若い頃は痩身の二枚目、晩年も痩せてはいないが肥満までいかない体形である。


よその家が何を食べているのか気になる、というのは多くの人がもつ興味であろうが(「突撃!隣の晩御飯」あの番組、またやってくれないかなァ)、なにをどれだけ食べているかというのは考えたこともなかった。
いろんな人がいるものである。