僕はパパを殺すことに決めた(講談社)は、昨年6月、奈良県田原本町で幼い子どもを含む家族3人が焼死した放火殺人事件の顛末を書いたノンフィクションです。
著者は草薙厚子さん。副題が奈良エリート少年自宅放火事件の真実とついています。
事件を起こしたのは奈良県有数の進学校に在学中の少年でした。
この本は供述調書の提供がなかったら、存在しえない本です。
250ページのうち、約半分は供述調書をほぼそのまま引用しています。
昨日(10/14)、少年の精神鑑定をした崎濱医師が刑法の秘密漏示の容疑で逮捕されました。この医師から、供述調書のコピーや、医師自身の鑑定結果、関係者の情報が草薙さんに流れたのです。
先月、崎濱医師宅が捜索されたり、草薙さんが事情聴取されたとき、一部の公共図書館で、閲覧中止になりました。私も図書館にリクエストしていたので、どうなるだろうと思っていたのですが、すんなり回ってきました。
少年の供述調書、父親の供述調書、父方祖母の供述調書、離婚後医師の資格を取得した実母の供述調書、担任だった教師の供述調書、すべて強烈なモノローグです。小説以上の迫力です。
少年の肉親は実母を含めて自己弁護し、責任を自分以外の人間に押し付けているように感じます。中でも暴力をふるう、父親のおろかさが際立っています。
事件の第一報を読んだり、見たりしたときは継母との感情の行き違いが事件の引きがねになったのだろうというのが大方の見かたでした。
そのままの認識でいるうちに次々と新たな事件は起こります。その後、本当に殺したいと思っていたのは父親だったと、続報は出てくるのですが、関心を持たない人間にはもうその情報は伝わりません。
草薙さんは継母の遺族と関わるうちに、少年にわが子とかわりない愛情を注いでいた娘(継母)が不憫だ、真実を世に伝えてほしいと頼まれるのです。
都合のよい、大義名分かもしれませんが・・・。
草薙さんは元法務省東京少年鑑別所法務教官でした。
少年事件や教育問題をご自身の仕事の主要テーマとしています。
『少年A矯正2500日全記録』、『佐世保小六女児同級生殺害事件』などの著書があります。
それだけに、この事件も自分の仕事として、世間を驚かせる作品にしたいという功名心があったのでしょう。
でも、供述調書が著書の主柱となってしまったことに、後ろめたさはないのでしょうか?
それでも私は、この本ができたことを歓迎します。4歳のころから、勉強することを時には暴力で強いられてきた少年を、「辛かっただろうね」と思いやる人間が世の中にたくさん存在することになったでしょうから。

著者は草薙厚子さん。副題が奈良エリート少年自宅放火事件の真実とついています。
事件を起こしたのは奈良県有数の進学校に在学中の少年でした。
この本は供述調書の提供がなかったら、存在しえない本です。
250ページのうち、約半分は供述調書をほぼそのまま引用しています。
昨日(10/14)、少年の精神鑑定をした崎濱医師が刑法の秘密漏示の容疑で逮捕されました。この医師から、供述調書のコピーや、医師自身の鑑定結果、関係者の情報が草薙さんに流れたのです。
先月、崎濱医師宅が捜索されたり、草薙さんが事情聴取されたとき、一部の公共図書館で、閲覧中止になりました。私も図書館にリクエストしていたので、どうなるだろうと思っていたのですが、すんなり回ってきました。
少年の供述調書、父親の供述調書、父方祖母の供述調書、離婚後医師の資格を取得した実母の供述調書、担任だった教師の供述調書、すべて強烈なモノローグです。小説以上の迫力です。
少年の肉親は実母を含めて自己弁護し、責任を自分以外の人間に押し付けているように感じます。中でも暴力をふるう、父親のおろかさが際立っています。
事件の第一報を読んだり、見たりしたときは継母との感情の行き違いが事件の引きがねになったのだろうというのが大方の見かたでした。
そのままの認識でいるうちに次々と新たな事件は起こります。その後、本当に殺したいと思っていたのは父親だったと、続報は出てくるのですが、関心を持たない人間にはもうその情報は伝わりません。
草薙さんは継母の遺族と関わるうちに、少年にわが子とかわりない愛情を注いでいた娘(継母)が不憫だ、真実を世に伝えてほしいと頼まれるのです。
都合のよい、大義名分かもしれませんが・・・。
草薙さんは元法務省東京少年鑑別所法務教官でした。
少年事件や教育問題をご自身の仕事の主要テーマとしています。
『少年A矯正2500日全記録』、『佐世保小六女児同級生殺害事件』などの著書があります。
それだけに、この事件も自分の仕事として、世間を驚かせる作品にしたいという功名心があったのでしょう。
でも、供述調書が著書の主柱となってしまったことに、後ろめたさはないのでしょうか?
それでも私は、この本ができたことを歓迎します。4歳のころから、勉強することを時には暴力で強いられてきた少年を、「辛かっただろうね」と思いやる人間が世の中にたくさん存在することになったでしょうから。
