自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

私の男(文藝春秋)~桜庭一樹さん

2008-03-19 | 
インモラルにもほどがある。と、言いたくなる内容。

私が勝手に妹分と思っている林真理子さんは、直木賞の選評で、
「好きになれない・・・。作者がおそらく意図的に読者に与えようとしている
嫌悪感がストレートに効いた。・・・」と書いています。

確かに読んでいると、どよ~んとしてくる。不快感もある。

でも、これぞ小説家が考え抜いて書き綴っていった「小説」だと思う。
力のある作家だと思った。

現在から過去にさかのぼっていく時間の逆流や、章によって、主人公を見つめる主体を変えている手法が面白い。

週刊文春2月21日号の「阿川佐和子のこの人に会いたい」のゲストは桜庭一樹さんでした。

その中で、阿川さんの、
『私の男』は、本当の父親ではないけれど、親戚で父親代わりの中年男性と娘の近親相姦の話でしょ。・・・」
という記述があったけれど、それじゃー普通過ぎる。ただの通俗、低俗な小説に感じちゃう。

始まったのは、北の海の津波で家族を失った9歳の女の子と24か5(?)歳の若者。
だから・・・、すごい!こわい!
しかもその若者こそ本当の父親だと、私は読み取ったけどなぁ。

桜庭さんは意識して、ハサミの飾りのついたピンで前髪をとめる、一見地味な女性。1971年生まれ。

読書は創作のための筋力トレーニングだからと、年間400冊もの本を読むとか。
直木賞作家は簡単には誕生しないんですねぇ。




コメント
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