ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇8月1日

2021年08月02日 13時51分55秒 | 短歌

佐佐木幸綱選

信号機つく交差点を出水に泳いで渡るへら鮒の群れ       銚子市 小山年男

廃線の駅舎に残る時刻表過去へ戻らず未来へ行かず       茨木市 瀬川幸子

 一首目、へら鮒が泳いで「渡る」という表現が面白いです。出水は水害で大変なことなのですが、ユーモアがあっていいですね。二首目、後半の表現が素晴らしいと思いました。余計に寂しさが感じられます。

高野公彦選

美しい夜景すなおに喜べぬ原発ありての光と思えば       船橋市 佐々木美彌子

日本にも物が言えない日があった今は言えるが聞く耳はない   京田辺市 鵜飼礼子

 一首目、真夏の電力消費のピークでも、停電もなく使えているのも原発のおかげなのでしょう。エアコン24時間使用できるのも、ありがたいのですが、再生エネルギーを考えるとやはり原発は廃止するべきです。廃炉もままならないのに、原発稼働はありえないですよ。いつまた大地震で原発が大変なことになるかわからないのに。人類はパンドラの箱を開けてしまった、核を自由になんかできないのに。もしかしたら、原子力は人類を滅亡させるためのものなのかもしれませんね。二首目、本当にその通りだと思います。特に菅総理には聞く耳がないのではないでしょうか?質問にもまともに答えない、説明も不十分。安倍元総理からそういう傾向がありましたね。政治家って何のためにいるのか、信頼できない議員の信頼できない国会の信頼できない国、それが日本なのかもしれません。だからいくら言っても人流が減らない。旅行会社がキャンペーンをやっている、移動はだめだというのに。渋谷はゾンビの街になってしまうかもです。

永田和宏選

十薬の花咲く庭はひっそりと妻と会えないコロナ禍続く     さいたま市 吉田俊治

 十薬とは庭の悪者、どくだみのことです。以前住んでいた戸建ては庭が広くて本当に苦労しました。よく、線と脇にもたくさん咲いていますよね。嫌っていたどくだみは、今は健康茶として買っているのが不思議です。さて、この方は奥様が単身赴任なのでしょうか、それとも入院しているのでしょうか。コロナ禍で会えないというのは、どういう事情なのか、読む人の想像に任せるしかないのですが、私は奥様が療養中で不在と考えました。庭の手入れは大変ですが、帰宅するまでご主人ががんばりましょう。

馬場あき子選

放射能いまも骨髄につきおれば遺骨となりても放射能出す   アメリカ 大竹幾久子

弘徽殿派 私の他にいると知り古文なつかし日曜の朝     倉敷市 三村直子

 一首目、作者は原爆の被爆者。ヒロシマとナガサキの原爆は、ユダヤ人虐殺のアウシュビッツと同じくらい、残虐なものです。一瞬にして何万人もの市民を焼き殺しました。核の恐ろしさを被爆国として私たちは語り継いでいかないといけません。アメリカはいまだに原爆の実態を隠そうとしています。おかしいと思いませんか?原爆を落とした爆撃機エノラゲイは、スミソニアン航空宇宙博物館別館に今も展示されているそうですが、広島に原爆を落としたなどの説明はないそうです。ついでにいえば、東京大空襲を計画実行したルメイという米国軍人も私は許せません。正義のためといいながら、平気で人を殺す戦争、こんなことがいいわけがありません。戦争は偏見や差別を助長しますし、絶対にしてはいけないことのはずなのです。夏が来れば思い出す、戦争のこと。今のコロナ禍も、戦争みたいなものかもしれません。二首目、これは朝日歌壇6月20日の佐佐木幸綱選、「悪役の弘徽殿女御を大好きな源氏読者として死ぬつもり(我孫子市 松村幸一)」への贈歌。もともと、和歌とはこのように、歌のやり取りから生まれたものですもの。相聞歌は、なおさらです。素敵ですよね。

 毎日暑い日が続き、ボーっとしています。つい、歌壇のことを忘れてしまっていました。コロナに熱中症と、気をつけなければならないことだらけです。なんとかこの夏を乗り切りましょう!とにかく、外出は控えて、じっと耐えて。ほしがりません、コロナ禍に勝つまではってか?こんな時期に東京でオリンピックなんて、ねえ。とはいえ、見ちゃってますけど。

コメント
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