馬場あき子選
若者のごとく果敢に臆病にマスクを脱いで往く大通り 仙台市 佐藤牧子
人間に出会いて母親引き返し子熊二頭は木に駆け登る 栃木県 川崎利夫
一首目、佐佐木幸綱氏も選んでいます。もうそろそろマスクは屋外では外していいということになりましたが、なかなか外す勇気がねえ。気持ちはとてもわかります。この2年半で、すっかりマスクが当たり前になってしまったのだから。ただ、熱中症は怖いから、無理しないで、屋外でははずしたほうがいいでしょうね。私は極力、外に出ないようにしています。このところ、飼い猫ハッチは掃除した後のバスタブに寝そべっていることが多くなりました。今までは浴室の床だったのに・・。爪たてないでほしいなあ。気持ちはわかります。二首目も、佐佐木幸綱氏がまた選んでいます。熊だって、そりゃ人間を好き好んで襲っているわけではない筈です。かつて見たドキュメンタリーは栃木県のクマの話でした。生まれた子熊をオス熊に殺されて、本当にかわいそうでした。自然の残酷さが本当にショックでした。生まれてきて大人になるまでが本当に大変。人間世界は、その前の中絶を禁止だとするアメリカ。何という矛盾。若者は戦争で兵士になり、殺す方になり、民間人は簡単に殺される。子熊二頭が無事に大人になっていくのを祈るばかりです。人類が地球を支配するのは傲慢だと思いますよ。核なんか、最たるものじゃないですか。
高野公彦選
菜園を始めてからは目と鼻の先に地球が息をしている 熊本市 柳田孝裕
この国の本屋もやうやく消えどまりううんとでかいか小さきままか 長野県 沓掛喜久男
一首目、永田和宏氏も選んでいます。土に親しむと、地球のことが身近に感じるのでしょう。気候変動や肥料のこと、自然というものを真剣に考えることになるのですね。私は菜園、八王子の庭で試しましたが、負けました。敗北感でマンションに越してきて、ベランダには何も置いていません。虫も苦手なので・・・。でも、虫もつかない野菜って、怖いかもです。二首目、先日、新聞にどこだったか、赤坂だったかなあ、この地域で本屋がなくなりますという本屋閉店の貼り紙のことが書いてありました。あらゆる地域で本屋が少なくなってきて、本当に悲しい現象です。私にとって本屋はワンダーランドでした。父の生前、一緒に丸善に行ったこともありましたっけ。私が子どもの頃は、商店街に「勝山書店」がありました。のらくろーどに移転して、さらに閉店になったとか、残念です。本はめくるのが楽しいのですから、電子書籍なんて私は苦手です。知の宝庫なのに、なくなるってことは、日本人の知的レベルがさらに下がるってことですよね。円安もあって、どんどん日本人が情けなくなっていくことでしょう。斜陽の国、ニッポン。議員だって、選挙の時だけ活動しているだけで、毎月100万円の税金を無駄遣いして平気でいる、誰も庶民の痛みなんかわからないのですからね。これが民主主義なのか、議員にとても希望持てませんよ。腹の立つことばかりです。腐った人間ばかりが目に付くのか、自分も腐っているのか。この暑さじゃあ、みんな腐るわな。
永田和宏選
いちにちを思いださずに過ごす日もありてあれほど好きだったひと 越谷市 黒田祐花
恋なんて、そんなものっすよ。詠み手が若い人だと想定すればです。もしかして、亡くなった人のことだとしても、やはり同じかなあ。たまに思いだせばいいのです。この暑い夏、コロナ禍と熱中症とインフルエンザやサル痘などなど、もう生きているだけで大変なんですから。