ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇5月7日

2023年05月08日 14時18分54秒 | 短歌

永田和宏選

病床の母に言えないありがとう言えば死ぬこと知らせてしまう    宮城県 田所純一

サザエさんのようだと思えばお財布を忘れてしまったこともうららか 仙台市 小室寿子

 一首目、これはつらい状況です。私の母は末期がんで告知もなく、2年の闘病の末に亡くなりましたが、父は告知するなということだったのです。本当にそれでよかったのか、私は疑問に思っています。昔はそれが当たり前だったのかもしれませんが、今は自分で治療を決める時代です。その父も、悪性黒色腫で最期は「けりをつけてくれ」と言っていました。確か、その時は私もこの短歌のように、ありがとうと言ったと思います。二首目、サザエさんの歌では、「財布を忘れて愉快なサザエさん」となっています。私は昔から、なんで財布を忘れて愉快なのかわかりませんでした。でも、笑い飛ばせばいいんですよ。この歌は高野公彦氏も選んでいます。

馬場あき子選

馬鈴薯の畑に蝶舞ふ三方原家康敗走わが散歩みち         浜松市 松井惠

 武田信玄と、家康信長連合軍が戦った合戦は、家康が負けて必死の敗走をしました。ちょうど大河ドラマでこのあたりをやっているのでは?武田信玄がほかの戦国武将と手を組んで信長包囲網で彼と対抗していましたが、この合戦のあと、震源が無くなり、それを秘匿していて信長は窮地を脱したってことです。この合戦ではいろんな逸話がありますが、どうもあとから好き勝手に作られたものが多かったような。そうですよね、勝った方は都合のいいように書きますから。これはどの時代も同じです。私たちは、歴史史料を厳しい目で見なくてはならないのです。この合戦で命からがら逃げ伸びたからこそ、あの平和な江戸時代ができたのですから、信玄が死んだことに感謝?でも、もし信玄が生きていて平和国家が築けたのなら、また違った日本になっていたかもですね。若しもというのは言ってはいけないのが歴史ですけど。

佐佐木幸綱選

椅子もろともリフトに吊られ湯舟に入る揚げ物の具になりたるここち 和泉市 長尾幹也

繋がれしまま被曝して置き去りの牛あはれみしムツゴロウ逝く    前橋市 荻原葉月

 一首目、これはお店の厨房にあるフライヤーのことですよね。面白い表現だと思いました。二首目、会の東日本大震災で置き去りにされた牛舎の牛、本当にかわいそうでした。私は動物が大好きなので、ムツゴロウさんも大好きでしたよ。

高野公彦選

地下鉄の中で会釈を交わしおり名の出ぬことをともに秘めつつ   仙台市 沼沢修

 最近はこういうことが多いです。知人なのに、名前が出てこない。お互い様ですよね。

 

 

 

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