高野公彦選
天敵の居らぬ人類自らで数を減らせと言ふのか神は 村上市 鈴木正芳
病みてなお親身になりて相談に応じる妻は民生委員 潮来市 根本健助
一首目、人類は過去に大きな戦争を起こしてきました。ドあれだけの人が亡くなったでしょうか。今回も戦争で多くの犠牲者が出ています。ウクライナ侵攻で、食糧難も引き起こされます。ロシアの罪は大きいです。神がさせた戦争と思うしかないのでしょうか。二首目、奥様は民生委員。保護司と同様、なり手が少なくて困っているそうです。民生委員として病身でも活動している姿、尊敬します。このところの事件で、性善説がありえない状況になっていますよね。例の4千万円をネットカジノで使ってしまった件。悪いとわかっていてやったのは確かに罪ですが、彼はギャンブル依存症、もう中毒患者なのですよ。間違えて振込んだ先が最悪だったということでしょうか。刑務所で謹慎している間に依存症を治してほしいものです。
永田和宏選
核のあるこの世に生まれ核のあるままのこの世を去らねばならぬ 観音寺市 篠原俊則
あの戦争止められなかったその理由いまうっすらと分かり始める 東京都 趙栄順
一首目、私もきっとそうなると思います。人類はあけてはならないパンドラの箱を開けてしまいました。そして、核武装で平和を実現させようとする愚行に走っていますが、核の脅威は平和を壊す結果になっているのに・・。もしかしたら、人類の核が地球を滅ぼすのかもしれませんね。この地球に、人類はいいことをしないまま、地球と心中ですか。二首目、大国のプロパガンダに国民が騙される。日本は大国になりたかった小国ですが(今でもですよ)、国民をだまして戦争しました。国民も、気持ちよくだまされたんじゃないでしょうか、ナチスのドイツ国民みたいに。反対すればつかまって拷問で殺される。自由にモノが言えない国は、おかしいのです。物を言うと言っても、誹謗中傷ではありませんよ。安倍元総理の街頭演説にヤジ飛ばしただけで警察に捕まる、それこそ国の横暴です。アメリカも自由の国と言われながらも、人工中絶禁止ですからね、おかしい国です。話はあちこち言っちゃいました。とにかく、自由がないというのは、人権問題です。
馬場あき子選
国護るためと持たされた銃重かった昭和二十年五月のわれは 大阪市 由良英俊
平時なら知ることもなきままの都市指にて辿るウクライナ地図 舞鶴市 吉富憲治
一首目、今年で戦後77年だから、きっと当時は少年だったと思います。重たい銃を持たされて国を守れって、怖かったでしょう。今、ウクライナでそれが起きているのです。彼らは国を守るのに必死です。でも、戦争は人を殺します。殺さなければ殺される、そういう世界が現実にあるのが、本当に恐ろしいです。一刻も早く戦争が終わってほしいです。何より、ウクライナはネオナチじゃないし、どちらかと言えばプーチンの方がネオナチでしょうよ!二首目、本当にそうですね、知らない都市の名前をいくつも覚えました。キエフもキーウに変わりました。それがもう当たり前になっています。あれだけ破壊された都市、復興できるのでしょうか、心配です。
佐佐木幸綱選
廃墟なるキーウの瓦礫の片隅にブランコゆれてぬいぐるみあり 行方市 額賀旭
陽だまりに猫の数匹おのおののご贔屓よりの餌を待ちいる 堺市 平井明美
一首目、キーウが爆撃を受けていた当時の映像にありました。子どもたちがいたはずの街が廃墟となる、日常が壊される、恐ろしい現実です。私はクリミア併合を知らなかった。知らなかったことは罪ではないかと思っています。あの時、世界中が非難していたら、今回のウクライナ侵攻はなかったかもしれない。当時は安倍総理でした、本当、許せないですね。二首目の陽だまりの野良猫、戦争とは無縁な光景に、ちょっとほっとします。
許し合える社会であってほしいのですが、この先どうなってしまうのでしょうか。自分が正義と思っている人が多くて、ぞっとします。